burst！～危険な二人～

　この舞台は，絶対ネタバレなしの方がいいと思い、千秋楽を迎えるまでレポは封印してきましたが、先日無事千秋楽を迎え、  雑誌のほうでも解禁になったようなので、アップします。

　会場は、パルコ劇場。ここのところ、剛くんの舞台は、ACTだったり、オーブだったり、大きい劇場が続いたので、久しぶりの小さな劇場。吾郎さんの舞台でしか行ったことがありませんでしたが、見ることだけを考えると、とてもいい大きさ。去年行ったとき、ここで剛くんの舞台見たいな、と思ったぐらいでした。チケットの争奪戦が問題ですが…。案の定、チケットは大変でしたが、とても見やすい。特に今回は二人芝居。これオーブだったら…。

　セットは、同じ大きさの部屋が２つ。最初は、Vの字(客席から逆Ｖ)に並んでますが、途中から並列に。部屋同士は、微妙な距離が。後ろの壁はありますが、横の壁はない。くっついていませんが、離れすぎてもいません。SMAPの距離感？上手の部屋には、ホワイトボード、テーブル（会議室風）。下手の部屋には、ソファーとテーブル（家のリビング風）。いたってシンプル。壁がないので、横を見れば見えるんですが、お互い全く違う場所にいる設定なので、顔を見ることは最後の方までない（最後、ちょっと顔を合わせていますが、あくまでも偶然そっちを見ていたという設定）。

　ストーリーもいたってシンプル簡単に言うと、ある田舎に住む男の家に、国際的犯罪組織が間違って爆弾を仕掛けてしまう。爆弾が爆発するまで時間がなく、自衛隊も警察の爆弾処理班も間に合いそうにない。そこで、東京にいる専門家が電話で男に説明して爆弾処理を行う。

…というもの。

　どちらが、どちらの役か…ここが今回の見せどころ！

　幕が開くと、会議室風の部屋にいるのは剛くん＝ねがみさん。メガネをかけて、髪はきっちりまとめてます。ジャンバーをはおり、白いシャツと黒いズボン（サスペンダー付）。ヘッドセットをつけて電話をかけてます。その電話を受けたのが、寝ぼけ眼で赤いパジャマにガウンを羽織った慎吾君＝青木さん。

　ねがみさんは、爆弾が仕掛けられたということを、必死に伝えようとします。そのため、ものすごい早口でまくしたてます。やっと現実が飲み込めたものの、逃げ出せばいいという青木さん。周りは畑ばかりで、一人暮らし。今からなら十分逃げられる。でも、それを許そうとしないねがみさん。その家の近くに公園があり、そこでしか生息していない干し草を守れという、上からのお達しが。そんなの関係ないという青木さんでしたが、君にしかできない、こんなに求められたことはあるか、と熱く説得され、結局処理をすることに。お互いの意志疎通をはかるためだと、最初に青木さんの説明を聞いてねがみさんが地図を書いてみるがうまくいかない。今度は、ねがみさんの説明で、青木さんがバナナに細工。これはうまくいって、バナナマジック成功！でも、こんなことやってる暇はないぐらいに時間は迫ってる。

　青木さんが、説明も聞かず、部屋に運び込んだ爆弾の缶。缶の形状を伝えるときも、うまく伝わらない。まったく息が合わない２人。缶のふたについていたマークから、ねがみさんの長年のライバル？エンジェルハートの爆弾と判明。がぜんやる気を出すねがみさん。爆弾処理の目的が、処理自体よりも、エンジェルハートとの戦いになっているよう。電話でのやり取りで、爆弾処理が進んでいきます。液体窒素を要求されたり、１・２ミリの誤差しかないコードの太さを見極めろといわれたり、一般人の青木さんにとっては無理難題が突き付けられます。タイムリミットが迫り、一番太いコードを切らなくてはいけなくなった青木さん。コードの太さの差はほとんどない。結局パニック状態の青木さんが、制止も聞かず、コードを一か八かで切っちゃいます！爆発するのか！？

　暗転。「青木さん、あなたせっかちですね」のねがみさんのセリフ。剛くんの声に、慎吾君の声が重なり、最後は慎吾君だけに…!？舞台が明るくなると、ねがみさんが慎吾君で、青木さんが剛くんになってます！役の入れ替わり！

　爆発は防げたものの、爆弾本体に対して、入れ物が大きすぎる。缶の底を開けると・・・一回り小さな缶が。また、二人のやり取りで爆弾処理をすることに。1回目以上に時間がない。しかも、缶にはカギがかかっている。ねがみさんの提案による爆弾のカギを爆発させるという無謀なことも、何とか成功させます。なかなか息が合わない二人でしたが、この短期間の間に二人の息があい、またもや爆発を防ぎます。やり取りする間に、二人の年齢はは1つ違いとわかり、共通にわかるアニメの主題歌が二人の応援ソングに。

　そして…ほっとしたのもつかの間。青木さんが、缶の中に中蓋を発見。青木さん、勝手にそのふたを開け、一回り小さな缶を見つけだす。今までのことを考えると、さらに時間はないはず。ねがみさんは、途中で連絡が入り、干し草はすでに何十年も前に絶滅していることがわかったから、もう逃げても構わないと伝える。この状況では、もう逃げるしかないと。どんなに必死になってねがみさんが止めても、青木さんは爆弾のふたを開け始めます。干し草を守るためではなく、目的はエンジェルハートとの戦いのため？とりつかれたように、缶のふたを開けはじめます。必死に止めていたねがみさんも、また爆弾処理の指示を始めます…。

　というところでおしまい。

　カーテンコールのあと、しんつよフリートーク。ここは完全にフリートーク。その日によって違う…はず。ただ、流れとしては、いろいろ話した後、最後に今後の舞台についてあきらめる慎吾君を、剛くんがはげますためにいったんはけます。そして、スタンドマイクとギターを持ってきます。落ち込んでる慎吾君に「あきらめるな～♪」と、劇中の応援歌をギターを弾きながら歌い始めます。途中から慎吾君も歌いだし、２人でハモリながら歌い、舞台は終了。

　二人の役を本読みの段階で変えたという話があったので、舞台が始まり、「ああ，こっちの役の剛くんも見たかったなぁ」と思いながら見ていたんです。再演あったら、逆の役でやってほしいとまで。その思いが通じているかのように、暗転後の役の逆転！びっくりです！ドキドキしました。まるで三谷さんに心の中を読まれたかのよう。

　同じ人物だから、キャラクター的には同じはずなんだけど、剛くん・慎吾君それぞれが演じると、やっぱり違う人物になります。（相変わらず、剛くん中心で見ているので、慎吾君に関しては軽くなってますが、ご了承ください）

　ねがみさん：剛くんバージョンは、とにかく熱い。早口でまくしたて，あちこち歩き回り（部屋の中だけど）、部屋の中にいる（見えない）仲間に話しかけるときは、本当に客席に話しかけているよう。座っているときも、話ながら資料に目を通したり、お茶を飲んだり、パソコンを操作したり。落ち着きがない。もちろん、慎吾君バージョンも熱いけど、どこか冷静。動きも優雅（にみえる。体が大きいから？）。慎吾くんのほうは、自分が指示したことを、青木さんの動きに合わせて自分もやっていたかな。

　青木さん：慎吾君バージョンは、等身大の青年（劇中”青年”って言ってましたが、設定上剛くんと同い年・・・青年か？）。起きたばかりでぼーっとしていたところから、爆弾処理の中で焦りだすところまで、慎吾君らしい青年。熱いねがみさんに振り回されている感じかな。剛くんバージョンは、さっきまでのねがみさんはどこへ？かわいい青年（笑）設定上、青木さんは学生時代にITの企業を設立し、そこそこ成功したけれど、人間関係がもつれ、会社をやめて田舎に引っ込んだばかり…と言う人物。そのせいか、社会人らしくないというか。世間離れしてるというか。少年っぽいところが残っているというか。かわいくてもいいか…という感じ。そんなかわいい感じの剛くん青木さん。最後、忠告を無視して爆弾のふたを開けはじめたときは、三谷さんがコラムで書いていたように「静かな狂気」が見えます。爆弾のとりこになってしまったかのよう。ここの剛くん、大好きです。

　１００分のお芝居ですが、ずっと二人の掛け合いで進んでいきます。それがまた面白い。ずっと笑いっぱなし。もちろん、爆弾処理だからハラハラドキドキもします。だけど、後半、２回目の爆弾処理が終わったあたり（唯一二人が目を合わせるあたり）から、なんだか涙が出てきちゃいました。なんだろう、この気持ち。無謀な爆弾処理をやり遂げたという達成感が、なんだかしんつよの夢の舞台ができたという達成感として伝わってきているようで。しんつよ、大好きだぁ！と叫びたいぐらいです。

　そして、３つ目の爆弾処理はどうなったのか。この後の２人はどうなるのか。続きがものすごく気になって仕方がない。成功してたら、いつの日か２人が出会う日が来るのか。そのまま会わないのか。失敗した時には・・・。観劇が終わった後も、ずっと考えちゃいます。

　それから、応援歌。「ど根性キャプテン」の主題歌も好きです。本当に応援歌。つい口ずさんでしまう。覚えやすいし。この曲だけでも、音源化してくれないかなぁ。「パワスプ」で歌ってもらうしかないかなぁ。ぜひ、次のアルバムにしんつよの曲として収録を（難しいかなぁ）。

　こんな素敵な舞台。私のつたない言葉では、全然素晴らしさが伝わらない。舞台は生もの、その場で見るモノ…ですが、これはぜひ映像化してほしかった。録画してないのかなぁ。もししていなかったら、お客さんいなくていいから、スタジオにセットを組んでお芝居したのをオンエアー、もしくはビデオ化してほしいなぁ。むりかなぁ…。

　きっと、雑誌で解禁ってことは、全く同じ舞台の「再演」は難しい…けど、千秋楽のお約束があるから…ね。うん。再演、希望してます。待ってます。地方まわって、戻ってくることを。