成田離婚

第１話　これから結婚するあなたへ
　
　星野一朗（剛）と田中夕子が，クリスマスの夜，偶然出会って，恋に落ち，次の年の秋に結婚。マンションを買ったり，ゆうちゃんは結婚退職したり，結婚に向かって幸せ一杯の２人。「ボクについてきてくれるね」と一朗君。
　ところが，結婚式当日，一朗君は高熱を出し，式の途中でダウン。それでもなんとか式を終え，ローマへ新婚旅行。熱が下がった一朗君に対して，今度はゆうちゃんが熱を出します。薬を買ってきてもらうように言われた一朗君，道に迷ったあげく，買ってきたのは下痢止め。観光に出かけても，道に迷うし，ワインクラッシャーにお金を渡しちゃうし（現地の男の人に助けられた）。レストランでは，言葉ができず「ｓａｍｅ」の繰り返し。そして毎日，バスルームでパンツを洗う一朗君です。
　成田に戻ってきたときに，ゆうちゃんの不満爆発。洗濯のことを言われ，一朗君も爆発。大喧嘩。「別れよう」と一朗君。一晩別々に過ごしますが，マンションにゆうちゃんが戻ってきても，「離婚」で話が進みます。会社に行って報告するように言われても，言い出せず，逆にその晩同僚達が遊びに来ることに。ここで発表しようとしても，やっぱり言い出せず。
　みんなが帰った後，ゆうちゃんが用意した離婚届に，サイン＆はんこを押す一朗君。その様子を，まだ帰っていなかった結城さんが見ていました・・・

第２話　君が見せた初めての涙

　　離婚を決めた一朗君とゆうちゃん。それを知ってしまった結城さん。とりあえず，会社のみんなには黙っていてもらうことに。ただし離婚経験者の北村さんには，相談することに。実は，この北村さんは，ゆちゃんの元恋人。一朗君と出会ったきっかけを作った人。ついでに，結城さんは一朗君のことが好きです。
　ところが，会社でそんな話をしていたものだから，偶然離婚の話を聞いちゃったみなさん。それぞれ，みんなには黙っていよう，という心優しい方々です。
　結城さんと北村さんは，とても楽しそうに，離婚に向けての計画表を作成してくれます。それを見ると，離婚まではかなりクリアーしなければならない事が多い。それぞれ，ひとつひとつ２人が話し合わなければならないのですが・・・。
　まず第１関門。ゆうちゃんの両親に報告。ところが，ゆうちゃんのお父さんはとっても短気。ちょっとしたことで，殴ったり，投げ飛ばしたり。そんな話を聞いた一朗君は，どきどき。ただし，殴られたり，投げ飛ばされたりしたのは，ゆうちゃん。それをそばで，おたおたしながら見ているしかできない一朗君。お母さんが，いつものこと，と。
　家を後にすると，ゆうちゃんが泣いているのを，一朗君は見つけます。ハンカチを差し出しながら優しい言葉をかけます。ゆうちゃんは「お父さんには，事後承諾でいいから，離婚届だしてきて」。区役所の前で立ちすくむ一朗君。結局，離婚届を提出できず。その夜，北村さんと居酒屋でお話。一朗君，はじめてゆうちゃんの一面を見たと，うれしそう。怒ったり，泣いたり，一朗君にとっては驚くようなことでも，ゆうちゃんは当たり前だという生活をしてきたんだと。お父さんがいない一朗君には，そんなお父さんとつきあえるのが，うらやましい・・・。
　マンションに帰ってくると，ゆうちゃんが「離婚届だしたの？」と。一朗君は，困った顔をしながら「うん」とうそを付きます。

第３話　夫の浮気と最後のディナー

　売却に出したマンションは，今度結婚するというカップルが購入することになり，離婚に向けて着々と進んでいきます。ゆうちゃんは，離婚届も提出済みと思っているので，あっさりと離婚ができて，ちょっと拍子抜け。その分，現実的な問題が見えてきます。自分には何にも残っていないと。
　一朗君は，やっぱり元気がなく。北村さんの歓迎会をかねて，という名目で，会社の男の人たちだけで本日開店の飲み屋（へそだし，ミニスカの女の子がいるお店）へ行きます。一朗君は乗り気ではなかったのですが。そこで，一朗君が離婚の危機にあることを，全員が知っていると言うことが判明。ますます落ち込む一朗君。そんな彼を励ますように，お店の女の子がほっぺにキス。その瞬間を開店サービスと，ポラロイドで撮られます。その後，赤いカクテル（？）をスーツにこぼされ，さんざんな目にあった一朗君。家に帰ると，一緒にいたはずの北村三階絵にいました。実は，昼間落ち込んでいるゆうちゃんの姿を見つけ，そっと抜け出して励ましにきていたのです。その場はなんとかごまかしましたが。
　最後の思い出にと，ゆうちゃんは「最後の晩餐」を計画。昼間から料理の準備。１ヶ月間だけ通ったイタリアン教室で覚えた料理を作ります。一朗君は，ローマで２人で飲んだワインを探し回り，やっと見つけて帰ってきます。玄関で迎えてくれるエプロン姿のゆうちゃん。今まで見たこともなかったゆうちゃんの姿に一朗君は，うれしそう。手料理すら，初めてです。ゆうちゃんも，ワインをわざわざ買ってきてくれた一朗君に感心。一気に，反省モードです。こんな事になったのは自分もいけなかったんだと。成田であんな事でケンカしなければよかった・・・。そういうゆうちゃんに，一朗君はまだ離婚届を出していない，と言おうとしながらも，きっかけがつかめない。「ちょっと待ってて」と，離婚届を見せようと探しに行きますが，見つからない。戻ってみると，ゆうちゃんはすっかり眠ってしまっていました。ベッドまで運んであげると，指に絆創膏が。そこまでがんばってくれたゆうちゃんに，まだやり直せるよ，と。
　次の日，ゆうちゃんのもとへ，クリーニング屋さんが，お酒で汚したスーツとポケットに入っていた物を届けてくれました。一方，一朗君は，会社にも離婚届がなく，スーツのポケットだと気づきますが，きちんとやり直そうと話せばいいんだ，と決心。そして，家に帰って，荷物整理をしているゆうちゃんに，やっとの思いで「僕たちやり直そう」と言い出しました。ところが，ゆうちゃんは激怒。クリーニング屋さんが届けてくれたのは，あのキスの写真と離婚届。まず，ゆうちゃんは，こんなお店に一朗君が行くとは思わなかったし，女の人とキスをしているのが許せない。しかも出したと行っていた離婚届が，くしゃくしゃになって，お酒でシミができて・・・。泣きながらしわを伸ばしていると・・・離婚届がまっぷたつ。

第４話　離婚成立

　くしゃくしゃになり破れてしまった離婚届。しわを伸ばし，テープで貼って，２人で届に行きました。ところが，書類不備のため受け付けられないと。証人２人の署名印鑑が抜けていました。一朗君は「これは神様が考え直せと言っているんだよ」と言い始めますが，ゆうちゃんは「家も売れちゃったし」と。それでも「もう一度ちゃんと話し合って・・・」と話している一朗君を無視して，ゆうちゃんはたこ焼きを買って食べていました。
　離婚届の証人は，北村さんと結城さんに書いてもらい，書類は準備ＯＫ。はしゃぐ北村＆結城さんは「最後の晩餐だ」と，会社で扱っているタコをゆではじめます。ところが，それを見ていたゆうちゃん，急に気分が悪くなり・・・。ふっと気づいて，カレンダーで確認。
　次の日，ゆうちゃんは病院へ。そこで，妊娠２ヶ月と診断されます。一朗君には何も言わず。症状だけを聞いていた一朗君，会社で話をしていると，それは妊娠じゃないか，と気づきます。家に帰って，ゆうちゃんと話し合いました。ただ，ゆうちゃんは「一朗君には迷惑かけないから」と１人で生む決心をしていました。いつものゆうちゃんらしくなく，すごく悩んだ様子で。一朗君，やり直そうと言いかけながら，なかなか言えずそのままに。
　次の日，一朗君は，北村さんに相談。お父さんがいなかった一朗君は，キャッチボールができず，いつも１人で壁に向かってボールを投げていた。映画「フィールドオブドリームス」を見て，感動して，もし産まれてくる子供が男の子だったら一緒にキャッチボールがしたい，と。ゆうちゃんにちゃんと「やり直そう」と言えていたら，ゆうちゃんも苦しまなくてすんだのに，男としてしょうがないやつだと。その話を聞いた北村さんは，すごく感動し，涙を流しながら「お前にだったら，夕子を譲れる」と言い始めます。さすがの一朗君も，「北村さん，それはどういうことですか」。
　その後，北村さんの家に行き，いきさつを聞きます。元恋人だったこと，レコードが趣味だと言うこと。そして一朗君は帰り際に「去年のクリスマス，彼女と会う約束をしましたか？」と尋ねます。北村さんの答えは「うん」。ゆうちゃんと出会った夜，プレゼントされたレコードは北村さんにあげるはずだったものだ，と一朗君。
　そのまま家にも帰らず，次の日も会社を休んで，考える一朗君。公園のベンチで今までのことを振り返ってみます。そして「過去は過去だ。前を向いていこう」と吹っ切れた様子。「よし，行くぞ」と立ち上がります。
　なにか荷物を持って家に帰ってきた一朗君の目に入ったのは，落ち込んでいたゆうちゃんではなく，妙にあっけらかんとしたゆうちゃん。電話で「妊娠は間違いだった」と明るく話しています。間違いが判明して，スッキリしたゆうちゃんに対して，北村さんとのことも忘れて，一からやり直そうと１日中考えていた一朗君。そんなあまりにもあっけらかんとしているゆうちゃんが，信じられません。「そんなに妊娠していなかったのがうれしいのか。君はそんな人だったのか。」と激怒し，離婚届を持って走り出します。１人取り残されたゆうちゃんは，一朗君が持ち帰った包みをあけてみます。そこには「だれがなんと言おうと，ゆうちゃんのおなかの子はボクの子です。３人でやり直そう」というカードと，赤ちゃん用のナイキのスニーカー。そのスニーカーは，妊娠と勘違いしたゆうちゃんが店先でじっと見つめていた物でした。
　一朗君の気持ちが分かったゆうちゃん。必死で追いかけますが，追いつけず。一朗君は，窓口に書類を提出してしまいます。時間は５時ちょっと前。「お受け取りします」という窓口の人が言ったとき，ゆうちゃんが駆け込んできますが，同時に窓口終了の時間がきてしまいました。

第５話　新しい恋

　離婚届を提出した２人。それでも同じマンションに帰らなければなりません。しかも，帰ってみると不動産屋の小山田さんが待っていました。このマンションを買う予定だったカップルがキャンセルしたという知らせ。新婚１ヶ月で離婚するような人が住んでいたところは縁起が悪いと。「３２日です」と一朗君は訂正していましたが。仕方なく，もうしばらく住むことに。そこへ，九州の一朗君の妹から電話。今度の週末にお母さんと遊びに来ると。断れなかった一朗君。この時，発表するしかないと決定。
　お母さん達が来る当日，会社でも，離婚届を出したことがばれてしまい，いつもの同僚達のつっこみを避けるように，取引先へ。ところが，大事な船荷証券を机の上に忘れてしまいます。結城さんに頼んで，届けてもらいますが，あわてていた彼女，どこかにその船荷証券をなくしてしまいました。５億円相当の証券。なくしたじゃ済まないと，夜遅くまで２人で探し回りますが，見つかりません。
　次の日，ゆうちゃんの両親もやってきて，にぎやかにお食事会を開きます。ここで発表をしなければ，と思った一朗君，おなかの調子が悪くなり，トイレに何度も行きます。これはいつものことですが。いよいよ発表，という時に電話。結城さんからで，泣いている様子。一朗君，あわてて出かけてしまいます。
　結城さんは自分の責任と，会社を辞める決心を。やめちゃうから，とある告白を。実は，一朗君が入社してからずっと彼のことが好きだった。一朗君が結婚したときも，会社を辞めちゃおうか，と思った。それを聞いた一朗君は，困惑しながらも「会社を辞めちゃダメです。もう一度探しましょう」と手を取って走り出しました。
　結局，夜遅くなっても，一朗君は戻ってきませんでした。でも，そのおかげでゆうちゃんはお母さんとじっくり話をすることができました。早くに父親を亡くし，お母さんのこと気遣ってくれていた一朗君。今まで親子喧嘩なんかしたことないこと，家のこともよく手伝ってくれて，特に洗濯は家族全員の分を一生懸命やってくれたこと等。「一朗が，立派な商社に就職して，素敵なお嫁さんをもらって，夢みたい」と本当にうれしそうに。それを聞いていたゆうちゃん，とても感動していました。「一度も親子喧嘩したことのない一朗君をどうしてあんなに怒らせちゃったんだろう。それに洗濯のことも知らなくて」と。泣きながら「やり直しします」と言ってしまい，お母さんに疑われますが，その場はなんとかごまかしました。
　そして，外で一朗君を待つゆうちゃん。一朗君が帰ってくると，お互い話があると。一朗君は，今回お母さんに離婚の話をするのはやめようと。「会社を辞めることになるかも知れないから」。落ち込む一朗君を見て，ゆうちゃんは理由を問いただしますが「いいじゃないか，そんなこと。関係ないだろう」と一朗君。本当はやり直したいゆうちゃんは，素直にそういえず「マンションも売れていないし，あなたが失業したら困る」と言ってしまいます。一朗君は，とりあえず船荷証券をなくしてしまったことを話しました。その夜，一朗君は退職願を書きました。
　次の日，お母さん達を見送ると，ゆうちゃんが退職届だすのを待って欲しい，自分が探す，と言い出しました。５時までという約束。一朗君は仕事の合間に電話であちこちに確認し，ゆうちゃんはなくしたと思われるルートを探し回り。結局５時までに見つからず，一朗君は部長に事情を話し，退職願を出して会社を飛び出します。ところが，船荷証券は村田さんが持っていました。同じ封筒に入った結婚相談所に出す書類と入れ替わってしまっていたのです。部長が取引先へ書類を届け「一朗に連絡してやれ」の一言で，全員が電話をかけました。
　一朗君は，落ち込んでまだ帰っていませんでした。これからどうしよう，と。ゆうちゃんは「せめて，２人がやり直せばお母さんも・・・」と決心，家に向かいます。一朗君が帰ると，外では結城さんが待っていました。「見つかったの」の一言で喜び合う２人。結城さんは，泣きながら一朗君に抱きついてしまいます。一朗君は「見つかったぁ」と放心状態。そこへ，決心をしたはずのゆうちゃんが・・・。


第６話　別々の道

　一朗君と結城さんの抱き合っているところを見てしまったゆうちゃんは，そのまま帰らず。心配した一朗君が携帯に電話をすると，電話に出たのは北村さん。結局，ゆうちゃんが帰ってきたのは，一朗君が会社に行く時間。会社では，北村さんも眠そう。会社のみんなには「女が寝させてくれなくて」と。それを聞いた一朗君は，心中穏やかではありません。大事な見積書の金額を間違えてしまいます。２００億のところを２億と書いてしまいました。部長が珍しく，厳しく一朗君を注意します。落ち込んで出ていく一朗君。実は，部長は前日見たドラマの上司がかっこよくて，まねをしてみただけでした・・・。落ち込む一朗君を，結城さんが慰めますが，「うっとしいです」と一朗君。自分は商社マンに向いていないんじゃないか。英語もできなくて，それで結婚も失敗・・・とかなり落ち込みムード。
　ゆうちゃんはそのころ，就職先を探していました。新婚旅行でブランド物を買いすぎ，かなりの請求がきたことがきっかけ。不動産屋の小山田さんにまで頼んで。希望は「夢のある仕事」。
　夜，ゆうちゃんのことや仕事のことでまだ落ち込んでいた一朗君。ゆうちゃんが帰ってきますが，そんなことは知りません。追い打ちをかけるように，「私の物を勝手に食べたり，使ったりするな」「出世なんかできそうもない」「英語も苦手だし，これからどうするの」等々。「夢のある仕事」を探している，というゆうちゃんに，一朗君は「仕事は血と汗と涙のにじむような思いで手に入れる物だ」と。「仕事を探すより，面倒を見てくれる人を捜した方がいい。でも，もういるか・・・」と北村さんとのことを持ち出します。２人がつきあっていたこと，あのレコードは北村さんにあげるはずだったこと・・・。「ボクは身代わりなんだろう。だったらこんな結婚うまくいくはずないだろ！最初から間違いだったんだ」と，一気に今まで悩んでいたことを吐き出します。「最低ね」と涙を流しながらゆうちゃん。「今まで生きていて，こんなひどいこと言われたの初めて」と。なんで別れてまでこんなケンカをしなくちゃいけないのか・・・。
　ゆうちゃんが家を飛び出そうとすると，仕事を持ってきた小山田さんと美里＆本木君，慰めにきた部長，そして北村さん＆結城さんが次々にやってきました。ゆうちゃんは，それでも飛び出していってしまいます。一朗君が止めに行こうとすると，必死で結城さんが腕をつかんで放しませんでした。
　結局，ゆうちゃんのもとへ行ったのは，北村さん。いつものバーへ。仕事を探さなくちゃ，と話していると，いきなり隣に座っていた人が，うちの出版社で働かないか，と話しかけてきます。大手の出版社で，芥川賞をとった平尾竜之介の担当の仕事をする事に。
　ゆうちゃんと北村さんの一夜は，ただ単に愚痴を聞かされただけ，と知った一朗君はにこやかに。そして，結城さんは，一朗君に語学研修生のパンフレットを渡します。一朗君は，ゆうちゃんにいわれた「せっかく商社に入ったのに，一生これにかけてやるとか，そう言う物はないの？」という言葉を思い出し，決心をします。部長にも相談しました。
　そして，ゆうちゃんも平尾先生の元へ・・・

第７話　君のためにできること

　部長に語学修業生の希望を打診した一朗君。「語学レベルは？」と聞かれ，「レベル８」。実は，修業生になるには，「レベル５」なければ資格がありません。水産２課の面々も，みんな「レベル５」以上。この検定試験は半年に１度。ちょうど１０日後にありました。必死で，この検定試験に向かう一朗君。
　一方，ゆうちゃんは，「かっこいい」平尾先生に舞い上がり。家まで車で送ってもらい，しかもファックスまでもらってきました。そのファックスを取り付けたのは，一朗君ですが。一朗君，平尾先生をおじさんだとばっかり思っていましたが，ゆうちゃんから「２７歳独身」と聞いて，穏やかではありません。会社でも，北村さんとその話をしますが，ふたりとも「書くことだけかっこよくて，顔が変なやつだ」と言い合って，安心しようとします。ところが，他の人からかっこいいと聞かされ，実際に雑誌に載った写真を見ると・・・。
　ちょうどその日，会社の近くで平尾先生のサイン会がありました。それぞれ内緒で行ってみる一朗君と北村さん。結局，ゆうちゃんに見つかってしまい，平尾先生とご対面。ゆうちゃん「前の会社の人たち」と紹介。ムッとしてる一朗君。
　家に帰ると，自分の部屋で勉強をしている一朗君の元へ，ゆうちゃんが差し入れ（たい焼き）を持ってきます。検定試験の事を聞いて，ちょっと気になる様子。でも，「ローマじゃさんざんだったし，受かるのかしらね」と言ってしまうゆうちゃん。一朗君も平尾先生の本なんか読んでいないくせに，と，結局ケンカ。一朗君「絶対受かってやるからな」と，ゆうちゃんが自分の部屋に入ってから叫んでいました。
　素直に言えないゆうちゃんに対して，結城さんは，一朗君の検定試験のために，いろいろ助けてくれていました。参考書を買ってきてくれたり，過去５年間の問題をファックスで送ってくれたり。
　毎日毎日，一朗君は猛勉強。課のみんなも協力してくれました。いよいよあさってが試験と言うとき，またもや４０度の熱を出してしまう一朗君。ゆうちゃんは，ちょっと気になりながらも，「寝ていれば治るわよ」と仕事に行ってしまいます。１人ソファで寝ている一朗君。そこへ，結城さんがお見舞いにきてくれました。お粥を作ったり，もも缶を買ってきてくれたり。お粥を食べた一朗君，「お袋の味だ」と感動。
　ゆうちゃんも，一朗君の事が気になり，仕事中も考えていました。平尾先生に「君は何か別のことを考えているね」と見透かされました。心配して，コンビニおにぎりと薬ともも缶を買って帰ってくると・・・そこにはパジャマを脱ぐ一朗君と，結城さん。あわてて外に飛び出しました。一朗君はただ，汗をかいたパジャマを着替えていただけですが。ゆうちゃんは，外をうろうろし，結城さんが帰るとき，偶然帰ってきたように見せかけました。一朗君も，結城さんがきてくれたことを黙っていました。
　次の日。熱もなんとか下がった一朗君は検定試験へ。ゆうちゃんは，平尾先生と海に。一朗君が先に家を出ました。ところが，受験票を忘れているのを，ゆうちゃんが発見。気にしながらも，平尾先生の車で出かけました。一朗君は，勉強に夢中で受験票のこと，気づきません。受付で気が付きましたが，とりに戻るには間に合わない。「オレはいつもそうだ」と落ち込んで，外で座っていました。ゆうちゃんは，平尾先生と一緒でも，受験票のことが気になり，落ち着きません。結局，家に戻ってもらい，受験票を届けました。もうあきらめて帰ろうとした一朗君の元へ，ゆうちゃんが駆け込んできて「絶対受かってやるんでしょ」。その受験票を受け取り，試験に挑みました。
　試験も終わり，家に帰ると，ゆうちゃんのお父さんが。そして，ちょうど一朗君とお父さんが話しているときに，小山田さんが。マンションが売れそうなことを伝えにきました。そして，何がなんだかわからないお父さんに「ご離婚も大変ですね」と。一朗君，仕方なく土下座して，「すいません。僕たち離婚しました！」と平謝り。ちょうど，ゆうちゃんも帰ってきて・・・。ゆうちゃんの方へ向かっていくお父さんの足に必死でしがみついてとめる一朗君・・・。

第８話　素直になれなくて
　
ゆうちゃんのお父さんに離婚のことがばれてしまいました。ひどく怒られるだろうと思っていた２人。ところが，いつものお父さんと違っていました。涙なんか見せたことのないお父さんが，泣きながら「お父さんには理解できない」と。そして「親子の縁を切る」。そう言って，落ち込んだ様子で帰っていきました。そんなお父さんの様子にショックを受けたゆうちゃん。
　一朗君が会社に行くと，みんなから祝福の拍手。検定試験に見事合格し，修業生の応募資格「グレード５」を獲得しました。今度は，いよいよ行き先決定に。一朗君は，検定試験のことで頭がいっぱいだったので，全く考えていませんでした。そんな一朗君に，部長はロシアの「ハバロフスク」へ行くことをすすめます。日本から近いし，水産のメッカ。しかも，部長の推薦があれば合格間違いなし。本人の希望を全く聞かず，どんどん乗り気の部長。
　まだ，ショック状態から立ち直れないゆうちゃん。平尾先生のところで，ため息の連続。ゆうちゃんは平尾先生に，本当のことをうち明けます。それを聞いた平尾先生，ギリシャへ一緒に行こう，とゆうちゃんを誘いました。一緒にいれば，原稿も進むと。
　一朗君が家に帰り，検定試験に合格したことを報告。「合格できたのはゆうちゃんのおかげだよ」と。でも素直になれないゆうちゃん「ひとつぐらい，いいことしておかないとね」。そして，ハバロフスクへ行くことになるかも知れないと。ゆうちゃんは，ギリシャ行きの件は，黙っていました。ゆうちゃんが部屋へ戻った後，一朗君はゆうちゃんの給料明細を見つけました。「時給７３０円」すごく気になりました。
　翌日，一朗君の会社に小山田さんが登場。マンションの件で，買い手が見つかったと報告するためにきたのですが，一朗君は断ってしまいました。一朗君は北村さんと昼食を食べながら，マンション売却をやめた理由を話しました。お父さんに勘当されてしまい，ただでさえ行くあてもないのに，仕事はアルバイトで時給７３０円。そんなんじゃやっていけないから，せめて住むところさえあれば，なんとか生活はできるだろう，と考えたから。ゆうちゃんのために，ローンを定年まで支払う覚悟で・・・。
　また平尾先生のところでゆうちゃんは，元気がありません。平尾先生，ゆうちゃんの話を聞こうとしたのが間違い。何時間も愚痴を聞かされてしまいました。その分，次の小説のヒントは得たようですが。
　次の日，ゆうちゃんのお母さんが訪ねてきました。お父さんが，元気もなく，ご飯も食べないと。実は，お母さんはまだ離婚のこと・勘当のこと，どちらも知りませんでした。ゆうちゃんがうち明けると，お母さんは家に帰り，お父さんを攻めます。「いざというときに腰砕けなんだから」と。そして，一朗君のお母さんも読んで家族会議をすることに。
　その家族会議の日。２人は家で，そわそわしていました。いよいよこの日がきてしまったと。どう報告しようかと，悩んでいるときに，玄関のチャイムが。親たちではなく，小山田さんでした。マンションをどうしても買いたいという人たちが一緒にきていると。それは，同僚の村田さんと彼女，本木さんと美里さんの二組でした。二組とも結婚が決まり，このマンションを買いたいと。一朗君が売らないと言っているのを，ゆうちゃんが聞いてしまいます。ここからいつもの大喧嘩。どうして勝手に売るのをやめたのか，がきっかけですが。ゆうちゃんが平尾先生とギリシャへ行くこともわかってしまいました。結城さんのことまで。マンションを売らないのは「帰ってきてから結城さんと住むためだ」とゆうちゃんは言ってしまいます。それを聞いた一朗君は，爆発！「かわいそうだと思って・・・君にあげようと」興奮しているゆうちゃんは，素直に受け止めず「いらないわよ，こんなもん」「こんなイヤな思い出，家ごと全部うっぱらっちゃえばいい」。お互い「勝手にしろ」「どこへでも行っちゃえ」とものすごい言い争いに。「やめろ！」と怒鳴ってとめたのは小山田さん「お客様ですよ」。玄関 には，ゆうちゃんの両親と一朗君のお母さんと妹が・・・。

第９話　最後の夜・・・・言い出せなくて

親たちがやってきて，離婚の事とそれぞれの外国行きを報告。みんな「どうしてこんな事になってしまったのか」と。母親達は泣いてしまいます。ゆうちゃんのお父さんは「２人とも大人なんだから，そう決めたのなら従うしかないだろう」と言って，帰ろうとします。ゆうちゃんも一緒に・・・。一朗君のお母さんは，次の日，黙って帰ってしまいます。全く，一朗君と話すこともなく。お母さんが帰った後を見て「ごめんな，かあちゃん」と一朗君。外では，お母さん達をゆうちゃんが待っていました。ゆうちゃんは，お母さんに謝りたいと。お母さんは，少しの間でも娘が一人増えてうれしかった，とゆうちゃんを攻めることはしませんでした。
　マンションの方は，大じゃんけん大会の末，村田さんが買うことに。本当なら，一朗君がハバロフスクへ立つ，来年の１月以降でしたが，彼女の方が風水によると今度の土曜日に引っ越しをしないと，別れることになる，と信じて，その日の引っ越しを主張。ゆうちゃんはすでに実家。一朗君は，仕方なく承知しました。その後，荷物の整理をする２人。大きな荷物を抱え，家を出るゆうちゃんを見送り，何も言えなかった一朗君は，ただ苦しむばかり・・・。
　マンションの引き渡しの金曜日。一朗君は，ゆうちゃんのお父さんの元へ，マンションの引き渡しの件を報告に行きました。お父さんは「お前達２人は，あきれるくらい子供だ」「お母さんを大事にしなさい」と，静かな調子で叱咤激励します。そんなお父さんの言葉を，一朗君は本当のお父さんに怒られた気がした，としみじみ受け取っていました。
　マンションでは，ゆうちゃんが荷物の運び出しを終了させていました。がらんとした部屋。なんだか感傷に浸るゆうちゃん。そんなゆうちゃんの元へＦＡＸが。黙って先にギリシャに行ってしまっていた平尾先生からでした。次の作品はやはり１人で書くことにしたから，君は日本に残りなさい，と。
　その日は，ハバロフスク行きの面接の日でもありました。１名の定員のところ，希望者は１名。それでも一朗君，やはり緊張して，うまく受け答えができません。離婚が商社マンにとってマイナスになること，英語検定試験でグレード５になったのがつい最近であることが問題に。そして，離婚の原因を聞かせて欲しい，という面接官の言葉に，どうこたえようかちょっと躊躇。しかし，ここからは今までの一朗君とは違いました。今までのことを思い浮かべながら，離婚の原因は自分が未熟だったこと，と話し出しました。未熟だったから，自分の感情のままに行動してしまい，みんなを巻き込んでしまった。そして会社を辞めようと思ったことも。あまりにも正直に話す一朗君を見て，一緒にいた部長はハラハラしていました。でも，そう言うことがあったから，今の自分の仕事に疑問を感じ，何か大きな物を見失っていないか，このままじゃいけない，と思うことができた。「離婚は最大の挫折でしたが，離婚なんて事になっていなかったら，修業生には応募していなかったと思います」と。いつもの一朗君とは違い，一回り大きくなった一朗君でした。面接官も，「おもしろいやつだ。ハバロフスクで がんばってもらおう」と合格をつげました。そして，部長に向かって，「君の部は，今時珍しいほど温かいね」と，ドアを開けるとみんなが。一朗君が心配で，廊下で見守っていたのでした。
　結城さんは，持っていなかったパスポートができた，と一朗君に見せます。コレさえあればいつでも会いに行けると。１人で盛り上がっていました。そんな結城さんに一朗君は「ハバロフスクでは１人になって考え直したいんです」。結城さん「それって，そう言う意味なの？」。「ごめんなさい」と一朗君。
　一朗君が，家に帰ると，部屋の中はすでにがらんとしていました。残っていた思い出のレコードをターンテーブルに乗せ，音楽が流れはじめると，寝室のドアが開いてゆうちゃんが，お別れに乾杯をしよう，と。段ボール箱に布をかけただけのテーブルに，ろうそくをともし。一朗君「ゆうちゃんがいるとは思わなかった。この前出ていってから，もう一生会えないと思った」。ゆうちゃん，今夜だけここに泊まりたいと。ほんの少しだけどいい思い出があるから，その思い出だけを考えながらお別れしたい。２人で雪がちらつきだした窓辺に立ち，一朗君はゆうちゃんの手を取りました・・・。
　次の日，村田さん達が荷物を運び出す一方で，一朗君とゆうちゃんは，最後のお別れ。そこへ，一朗君は電話だと呼ばれました。部長からの電話で，急遽，ハバロフスク行きが中止になったという知らせ。ゆちゃんの元へ戻りましたが，そのことは内緒にしました。これからの行き先が見えないまま，それをお互いに伝えることができず，別々の道を歩いていきました・・・。

最終回「これから結婚するあなたへ」

　一朗君がハバロフスクへ行けなくなった理由は，今修業生として現地に行っている人が，そこの社長夫人と不倫の末駆け落ちしてしまい，二度と修業生を受け入れない，と社長がカンカンになっているから。そんな，一朗君とは全く関係のないことで取りやめになり，思いっきり落ち込む一朗君。会社のみんなは励ましますが・・・。そんなとき，一朗君がロビーの公衆電話で電話をかけているのを，結城さんが聞いてしまいます。「いろいろあったから，田舎へ帰って考え直そうかなって思って」と言っているのを。それで，会社を辞めて田舎へ帰るんだと思った結城さん，会社のみんなにも話してしまいます。なんとか，一朗君を励まそうと考える皆さん。結城さんは，みんなでクリスマスパーティをやろうと提案しますが，賛成してくれたのは，予定のない北村さんだけ。みんな予定があり，渋い様子。
　ゆうちゃんは，本木さんと北村さんから一朗君のハバロフスク行きがなくなったことを聞かされます。ゆうちゃん自身も，ギリシャ行きがなくなり，同時にクビになったことを北村さんには報告。なんとなく落ち込んでいるゆうちゃん。北村さんは，家に帰ってから，一朗君にゆうちゃんが行かなくなったことを伝えます。一朗君は，とりあえず北村さんのところにお世話になっていました。「あいつの落ち込んでいる姿は見たくないよな」と北村さん。そんな話を聞いて一朗君は「安心します」。北村さんがゆうちゃんの相談相手になってくれていることに感謝しました。
　クリスマスの前日。一朗君は，ゆうちゃんのことが気になり，電話をかけます。話したいことがあるから明日会おうと。よく待ち合わせをした，あのベンチのところで。
　当日。水産２課は珍しく（？）大忙し。待ち合わせの時間は６時。いきなり，本木さんから大量のコピーを頼まれます。２課のコピー機はふさがっており，下の階へ行ってコピーをとる羽目に。コピーが終わった頃には，待ち合わせまで後わずか。ところが，課に戻ってみると，すっかりパーティの用意ができあがっていました。クリスマスパーティ＆一朗君を励ます会だときいて，困ってしまった一朗君。なんとか抜けだそうとしたところへ，部長が「留学先が決まったぞ」とやってきます。ハバロフスク行きがダメになって以来，何かと忙しそうだった部長。人事に掛け合って，別の留学先を見つけてくれました。その留学先は「ローマ」。早速行ってくれ，と明日出発することに。その後，部長に捕まり，パーティの横でしみじみと部長が語るのを，あせりながら聞いている一朗君。部長が，あの面接の時の顔が忘れられず，なんとかしたい，とがんばったんだ，と話してくれますが・・・。
　やっと抜け出すことができましたが，待ち合わせの所にはもうゆうちゃんはいません。必死で探す一朗君。会社の前に戻ってみると，ゆうちゃんが待っていました。ローマへの留学が決まり，明日出発になったことを，まずゆうちゃんに伝えます。そして「話ってなに」というゆうちゃんは，一朗君が持っていたあのレコードに目を留めます。一朗君「これは，ゆうちゃんが本当に好きになった人にあげて」と渡そうとします。「そんな簡単じゃない」とゆうちゃん。一朗君「でも僕たちは簡単だったじゃないか」。これがきっかけで，また大喧嘩。今までの出来ことを，ひとつひとつケンカのネタにして。そして，一朗君，レコードを突きつけながら「この１年をなかったことにすればいいんだ！こんなイヤな思いしなくて済むんだ！」。ゆうちゃんも「忘れてやるわよ，一朗君のことなんか！」。そのとき，花火が打ちあがります。思い出の花火が。そして花火に歓声を上げる水産２課のメンバーがいました。駆け出すゆうちゃん。みんなは「行ってやれよ」と一朗君に言いますが，一朗君はつらい顔をして，そのまま反対の方向へ。一朗君を追いかけてのは，結城さん。「２人のケンカを見ていて，吹っ 切れた」と。ゆうちゃんを追いかけたのは，北村さん。「さっきのケンカ，お互いに『好きだ』と言い合っているみたいだぞ」と，ゆうちゃんを自分の家まで連れていきます。２人で落ち着いて話すように。ところが一朗君はすでに部屋を出た後。「最後まで迷惑をおかけしました。ゆうちゃんをよろしく」というメモとレコードを残して・・・。
　次の日，北村さんは，ゆうちゃんに電話で一朗君の出発便を伝えます。「後悔だけはするな」と。ゆうちゃんは，出会ったときと同じ赤いコートを着て，成田に向かいます。一朗君が搭乗口へ向かおうと歩き出すと，ゆうちゃんに出会います。ゆうちゃん「初めてあったとき，何かを感じたんだもん。このレコードは一朗君以外の人に持っていて欲しくない」とレコードを差し出します。一朗君は，前夜本当に言いたかったことをやっとここで言えました。ここまでがんばれたのはゆうちゃんのおかげだと。今のままじゃダメだ，かっこいい男になろう，とおもったのもゆうちゃんがいたから。「ボクはいつも君に照らされていたような気がする。ゆうちゃんは，ボクの太陽だ」。でも「そろそろ行かないと」と一朗君「本当にお別れだね」。２人ともつらそうな顔をしています。お互い背を向けて歩き出しますが・・・一朗君が振り向くと，ゆうちゃんも振り向いて・・・。
　今までの思い出が，部長の声で聞こえてきます。そしてここは，一朗君とゆうちゃんの結婚披露宴会場。１回目と違い，会社のメンバーと小山田さん，そして身内だけの小さなパーティですが，２人ともとっても幸せそう。「先を越されるなんて」と本木さん。「マンションを買い戻そうとしているんだって？」と村田さん。「そうなんです」と小山田さん。「これでよかったんだよね」と北村さんと結城さん。無事に乾杯も終わり，めでたしめでたし・・・・と思ったら，「私のワイン飲まないでよね」とまた喧嘩が始まりました・・・