| 第１話 彼女が寝ている間に | 第２話 夢のようなデート |
| 第３話 ホテルで二人きり | 第４話 悲しいウソ |
| 第５話 帰れないふたり | 第６話 二人が射とめた物 |
| 第７話 突然の告白 | 第８話 スタア，ふられる |
| 第９話 サヨナラ | 第１０話 運命のプロポーズ |
| 最終回 永遠のキス |
| 第１１話 ２０４２年。とある出版社。ある女優の取材を任された記者・幸田いおりは，全くやる気がなかった。元々芸能記事をやる気はなく，しかも「おばあちゃん女優でしょ」と。彼が渡された資料にあるその女優の名は・・・桐島ヒカル子。クリスマスイブに１軒の古い洋館風の家へ出向く。幸田の仕事は，ヒカル子の女優人生を１冊の本にまとめること。写真を１枚撮らせたが「資料はお持ちなんでしょ。それでお書きください」と取材を断るヒカル子。ヒカル子は今まで４０年間一切プライベートの取材は断ってきていた。取材を断られた幸田の目に，映画「運命の椅子」で主演女優賞をもらったとき盾が目に入った。幸田は「この映画についてお聞かせください。それまで主演女優賞を取り続けたあなたが，どうして主演以外で出演したんですか？」とヒカル子に食い下がってみる。ヒカル子の視線の先には，古びた椅子が１つ・・・。祖に椅子に座り「一人の男性のおかげで成功した映画なんですよ。生涯でたった一人巡り会えた理想の人。でも彼は・・・」と話し出すヒカル子。４０年前，サンマルコハムで草介と別れたときのことを思い出す。「彼を失っても，私には新しい映画と愛してくれる人達が待っていてくれたの・・・」。 ４０年前（現在）。ヒカル子は金田中監督の映画の撮影に入っていた。短いシーンだが，何度も何度も繰り返す。その日はカメラを回す段階にまで行かなかった。金田中監督は「焦らず，ゆっくり，じっくりやっていきましょう」とヒカル子を励ます。ヒカル子は役作りに悩んでいた。そんなヒカル子に「セリフを読まないことです。気持ちを入れて自分の物にしてください」とアドバイスする金田中。 そのころサンマルコハムでは，みんながスポーツ紙でヒカル子の電撃婚約・・隆太郎との婚約のことを知った。そこへ現れる草介。みんなは必死で新聞を隠すが，妙に元気にクリスマス企画を提案する草介は「みなさんの心遣いありがたいんですけど，朝のワイドショー見ちゃいました。ボクも１ファンとしておめでたいことだと思います。この３ヶ月間いい夢をみました。前向きに仕事します」と宣言。ホッとするみんな・・。 ヒカル子は隆太郎の両親と食事をした。母親は，今までのヒカル子の婚約破棄の遍歴を心配していた。ヒカル子は「隆太郎先生は私のことを心から幸せにしてくれると確信しました。ふつつか者ですがよろしくお願いします」と今度は真剣であることをアピールしていた。事務所では「ヒカル子さんは間違った道に進もうとしています。止めないと」と真剣に悩んでいる三枝の姿が。みんなは驚くが麗子だけが「ヒカル子さんの胸をドックンドックンさせているのは中田草介さんですもんね」と賛同している。翠と三枝，二人きりで話すが，翠は「あなたの気持ちわかるけれど，結局あの二人はご縁がなかったってことじゃない？」と。それでも三枝は「お二人は何らかの誤解か行き違いあったんですよ。今ならまだ間に合います。正直に向き合う場があれば。どうしても幸せになっていただきたいのです」と力説。 そして三枝は，サンマルコハムへ結婚式の招待状を持ってやってきた。そしてサンマルコハムのみんなにお願いしたいことがあるという。それは「もう１度だけお二人を引きあせたいんです」と。最初は不思議がり反対したみんなだったが，「彼女のことはご本人よりもわかっていると自負しております。本当にこれが最後です」と言う三枝の真剣さに協力することにした。草介が会社に戻ると，みんなが待ちかまえていた。ヒカル子からクラテッロサンドの注文が入ったとみんなが言う。勿論草介が作った物で。不思議がるが，仕事だからとクラテッロサンドを作り始める。 一方ヒカル子は，まだあのシーンの撮影が上手くいかない。金田中に「役になりきるってことですよね？」と質問をするヒカル子。金田中は「ジャンヌ・モローはね，こんなことを言っています。演じるというのは職業ではなくて，いきることだと。あなたは女優である前に，桐島ヒカル子と言う女性なんです。私が欲しいのは役ではなくてあなた自身なんだ」と・・・。映画の撮影現場へ向かう草介。サンマルコハムの面々も一緒についてくる。三枝が出迎え，ヒカル子が撮影しているスタジオへ。ちょうどあのシーンの撮影が始まるところだった。演じているときに草介の姿が目に入った。「あなたはご自分がどなたかご存なはずです。私も自分が誰だか知っています。どんなにお慕いしても，私には手の届かない存在であること，十分承知しています・・・その言葉をずっと待っていました。あなたを愛しています」と言うセリフを草介に向かって話すヒカル子。やっと金田中のＯＫが出た。 ２０４２年。「そのシーンで，助演女優賞をとることができたの。それが私の一番誇らしい賞与」とヒカル子は思い出に浸る。幸田が「その男性とやっと心が通じ合えたんですね。その後は上手くいったんですか？」と尋ねると，首を横に振り「いいえ。上手くいかなかったんですよ」と語り出すヒカル子・・。 ヒカル子と草介は二人で外に。草介が作ったクラテッロのサンドイッチをうれしそうに食べるヒカル子。「あなたのおかげでずっと上手くいかなかったシーンもＯＫが出ました。一人の女性としてあのセリフを言うことができました」とヒカル子。そんなほほえましい二人を見つけた麗子は「絶対にこうなると思っていたんですよぉ。三枝さんのおかげですね」と笑いながら去っていった。この言葉に顔が曇るヒカル子。草介が「三枝さんが会社に注文に来てくださったそうで」と説明すると，急に機嫌が悪くなり「三枝に頼まれてあなたは来たんですか？だとしたらおかしいですね。だって，三枝に頼んだ覚えはないんですから。三枝がいけないんです。あなたは私に二度と会いたくないのに。三枝が迷惑な錯覚を起こして申し訳ありませんでした」と怒って言ってしまう。この一部始終を見ていた隆太郎。その後，隆太郎とヒカル子が二人であう。隆太郎は「撮影所にハム屋さんが来ていましたね。何かあったの？あんなに怒っている君見たことなくて・・」と。ヒカル子は「間違って配達されたの」とその話をすぐに切り上げ，新婚旅行の話を始める・・・。 サンマルコハムの冷蔵庫の中で４人はすす家をそっとして置いてあげようと相談。ただ牛山だけがまだ脈があるんじゃないかと考えていたのだが。４人が冷蔵庫を出ると，一人で黙々と仕事を続ける草介の姿が・・・。ヒカル子の方は，事務所に戻り「頼んだ覚えないんだけどな」と不機嫌。そして「私と隆太郎先生との結婚に異議がある人は今すぐ言って！」と言い出す。誰も異議を唱えることができない。麗子だけが「ヒカル子さんは草介さんなのに・・なんで？」と疑問に思っていた。 サンマルコハムに隆太郎がやってきた。披露宴のハムの相談と言っていたがそれは口実。隆太郎は「彼女のことまだちゃんとわかっていないのかもしれません・・ボクは小さな人間です。いくら幸せだと彼女が言ってくれても，女優だからひょっとしてやさしい演技しているんじゃないかって・・確かめてみたかったんです。中田さん，ボクとヒカル子さんの結婚，祝福してくれますか？」と。「もちろんです」と言う草介の言葉を聞いて，気持ちが晴れたのか清々しい感じで帰っていく隆太郎。 結婚式前日。ヒカル子のマンション前。翠と三枝がヒカル子を送ってきた。渋い表情のままの三枝は「先日は出過ぎたまねをして申し訳ありませんでした」とヒカル子に謝る。ヒカル子は「もういいのよ。映画も上手くいったし，あの日草介さんに会って，迷いが吹っ切れたの。二人には最後まで迷惑掛けてごめんなさい」と穏やかだった。何か言いたげに帰れない三枝がやっと・・「あの・・中田さんに申し上げたこと，ヒカル子さんにも申し上げます・・ホントにそれで良いんですか」。「くどいわ」とヒカル子。 サンタの格好をしてビラ配りをしている草介の元に三枝がやってきた。「夜が明けたらヒカル子さんは結婚してしまわれます。端的に申し上げます。ヒカル子さんが愛していらっしゃるのは中田さんです」と力強く言い出す三枝。草介は「錯覚ですよ・・・」と逃げ腰。「誤解や言葉の行き違いをしている場合ではないんです！」と三枝が説得してもどうしようもない草介。三枝は語り出す「私はヒカル子さんをお慕い申し上げておりました。ですから，ヒカル子さんには本当に好きな人と結ばれて欲しいんです。中田さんはヒカル子さんを好きになってしまったとおっしゃいましたね。それは私にではなく，ヒカル子さんに伝えるべきことなんじゃないでしょうか」。草介は「三枝さんは気持ちを伝えることができたんですか？１度でも・・・」と尋ねるが，「滅相もない。側で見守るだけの人生を選びました」と三枝。「ヒカル子さんからすれば私は化石です。でも，あなたは違う！ヒカル子さんを幸せにできるのは，隆太郎先生でも，勿論渡しでもない。中田さん，あなただけなんです！」。眠れぬ１夜を過ごすヒカル子と草介・・・。 結婚式当日。サンマルコハムでは，みんなが結婚式に向かおうと立ち上がる。一人考え込んでいた草介だが，「はい」と力無く立ち上がって一緒に教会へ。控え室では花嫁姿のヒカル子が，事務所の面々に囲まれている。みんなが祝福する中，麗子が「どうして？」とまだ疑問を投げかけていた。いよいよ式が始まる。扉が開き，バージンロードを歩くヒカル子。そのヒカル子をじっと見つめる草介。まだ麗子は「おかしいよ」とつぶやいていた。神父が「神と私達一同の前で結婚の誓約を交わしてください」と話し出した・・・。ヒカル子との思い出が走馬燈のように浮かんできた草介。神父が「この結婚に異議ある者は申し立てよ。異議のないものは永遠の沈黙を持って答えよ」と話すと，麗子が立ち上がり「はい！異議あります・・だっておかしいでしょ？本当に好きな人が別にいるのに結婚するのはおかしいでしょ」と。この言葉に立ち上がったのは牛山「オレも異議あるぞ。だっておかしいもんはおかしい」と。するも次々に「異議あり」と立ち上がっていくサンマルコハム＆クラウディアの面々。草介は黙って座っている。ブタさんキーホルダーを握りしめながら・・・。そしてすくっと立ち上がり，通路に立ちヒカル子の正面に立つ。「ヒカル子さん。こんなことに気づくのにずいぶん時間がかかったしまいました・・いえ。本当はずっと前から気づいていました。でもボクは，何もすることができませんでした。今それを後悔しています。ヒカル子さん・・・ボクはあなたが好きです。結婚してください」。ヒカル子は，もう隆太郎の方を見てはいなかった・・・これに異議を唱えたのは新郎側。新婦側と新郎側が争い始め，教会の中はめちゃくちゃ。その騒動の中，草介の手から落ちたブタさんキーホルダーがヒカル子の元へ転がってきた。その争いの集団をはさみ，じっと見つめ合う草介とヒカル子。 騒動もおさまった教会。ヒカル子と隆太郎が二人きり。「なんとお詫びして良いのか・・私の方のお客さんどうかしていますよね。ホントにごめんなさい」と謝るヒカル子。隆太郎は「正直に答えてもらえますか？」と，自分がプロポーズしたときすでに愛してくれている人がいるというのは草介のことだったことを確認する。そして「もし先にボクが出会っていたら結婚してくれましたか？」と。ヒカル子の答えは「やはりこうなっていたと思います」。これを聞いてすっきりした隆太郎「順番じゃなかったんだ・・・ホントに彼のこと好きなんですね」と。「はい。隆太郎先生，ありがとう」とヒカル子。 一人会社に戻る草介。すでにみんな戻っていた。草介が「みなさん。最後の最後までお騒がせして申し訳ありませんでした。隆太郎先生には正直なんと謝って良いかわかりません。ですが私，ようやく自分の気持ちが言えてすっきりしました。ありがとうございます」と晴れ晴れとした表情で話すと，みんなは笑顔。そして４人は一斉に出ていってしまった。不思議がる草介の目に入ってきたのは，あの椅子に座って居眠りしている花嫁姿のヒカル子。目が覚めたヒカル子は「さっきの言葉，もう１度言っていただけませんか」と。草介は呆然としながらも「ヒカル子さん。ボクはあなたが好きです。結婚してください。返事はすぐでなくてもいいです」と。ヒカル子は「いいえ・・その言葉をずっと待っていました。愛しています。もっと近くに来てください・・もっと近くに。ここにいるのが本物の私です」と，今度は偽物ではなく本物のキス・・・ 「それでその先は？」と幸田。「ハッピーエンドよ」と微笑むヒカル子・・・ 今度は草介とヒカル子の結婚式。幸せそうな二人。場所も神父さんも同じ。「ホントに今度は大丈夫ですね」と念を押す神父。力強くうなずく二人。「この結婚に異議のある者は？」と神父が尋ねると，みんな一斉に隆太郎を見る。隆太郎は「いません！一人もいません」と。みんなが見守る中結婚式が進められた・・。 その時の記念写真が，今（２０４２年）でも飾られている。「いいお話を聞かせていただいてありがとうございました。早速本にまとめます」と幸田が急いで戻ろうとすると，「ちょっと待って。それはあの人の許可をとってからじゃないと」と草介を呼ぶ。草介は「それは大変申し訳ないんですが，ヒカル子さん一人の記事の方が本は売れると思いますよ」と。ヒカル子が「草介さんがマスコミ嫌いなのはわかっているけれど，私はずーっと前から世界中の人に自慢したかったのよ。世界一の夫を」と言うと，「何バカなこと言っているんですか」と草介。「バカって言うヤツがバカなんです」とヒカル子が言うと「わかりました。ヒカル子さんの好きにしなさい」と穏やかに許可する草介。子のほほえましい二人の様子を笑顔で見つめる幸田。「ありがとうございました。今から戻って記事にまとめます・・さっきから気になったんですが，あれは？」と幸田がある者に目を留める。「これは私がこの人からもらった最初のプレゼント。ブタさん」とヒカル子はあのブタさんキーホルダーを手に取った。ヒカル子と草介に「メリークリスマス」と見送られて社に戻った幸田。 上司がどうせやる気がないだろうと思ってみてみると，「タイトルが決まりました」とやる気を出している幸田の姿が。そのタイトルは「スタアの恋」。 「ここに椅子がある。彼女の人生を１８０度変えたイスだ。この世には運命の恋というものが本当にあるのだろうか。奇跡のような偶然がそれまで遠い世界に住んでいた二人を結びつける。そんなことは起こるはずないと二人は思っていた。しかし，たった一つの椅子が彼女と彼のを結びつけた。彼女は彼にウソのキスをした。だがそれは，本当の恋が始まる合図だった。彼は彼女に人生を教えた。彼女は彼に愛を教えた。奇跡のような偶然は，運命に変わった。そして二人は永遠に結ばれた・・・」。 幸田が帰った後の中田家。クラロッテが手に入り，それでサンドイッチを作ることに。部屋のドアから見える二人の姿は・・・若い草介とヒカル子だった。いつまでも幸せそうな二人・・・そのそばにはあの椅子が。 「ここに椅子がある。これはこの椅子だけが知っている二人の恋の物語だ」・・・End |
| 第１０話 「ボクの心の中の雨もいつかあがるんだろうか・・・こちら側の彼女を忘れることができたら・・・」 金田中がヒカル子の事務所を訪れていた。「ある劇場で素敵な女優さんを見つけ，この映画に出て欲しいと思いました」と，あの椅子の話「運命の椅子」の映画の出演依頼に来ていたのだった。その役は重要な役だけれど，ヒカル子に取っては今までで一番小さな役になるだろうと言う金田中。翠はその言葉にちょっと渋るが，ヒカル子はやる気満々。そして金田中は，あの劇場に中田が来なかったことを不思議がる。その話に顔が曇るヒカル子・・。一方サンマルコハムでは，草介が劇場に行かなかったことを責められていた。自分の気持ちを伝えず逃げてはいけない「もう会いたくありませんと言われない限りな」とみんなに言われ，草介は・・「壁の向こう側にノコノコと会いに行き，きっぱり言われました。きれいさっぱり忘れて仕事に打ち込みます」と無理に笑顔を作って仕事に励もうとしていた。 ヒカル子は，麗子とラーメン屋でドラマの収録をしていた。ラーメンを食べているシーンだが，麗子がどうしてもセリフが言えず，ＮＧの連発。ヒカル子は平気な顔をしていたが，２１回目のＮＧで倒れてしまう。そこに登場したのは，偶然同じ店にいた医者・市川。「食べ過ぎで意識がもうろうとしているだけです。とりあえず家の病院に運びます」と市川はヒカル子を抱え込んだ。その病院とは，動物病院。そこで意識を取り戻すヒカル子。事務所に戻り，ヒカル子の体を心配している翠は「本当にその役やる気？」と金田中監督の仕事を心配する。それでも「やりたいの」とヒカル子。セリフの少ないメイドの役だった。 いつもの居酒屋で，サンマルコハムの面々が飲んでいた。ひたすら「ヒカル子」の名前を連発する男３人。それを聞きながら，ひたすらビールを飲み続ける草介。ヒカル子に気持ちを伝えられないと言われるが，草介は「昔の彼女に告白するのに７年かかったんですよ。ヒカル子さんに告白なんてできるわけないじゃないですか」。するとつぼみは「そうやって逃げてばかり。なんで私が草介さんをあきらめたのかわからないじゃないですか。正直に気持ちぶつけて断られるのが怖いんですよね。自分が傷つきたくないんですよね。心に芽生えたことを伝えられないのは，思っていないのと同じことなんですよ。乗り越えられない壁を作っているのは草介さんじゃないですか」。それでも「今日はすいません」と先に一人帰る草介。ヒカル子が仕事を終え，マンションに帰ってくる。玄関先で三枝は何か言いたそうだったが「薬忘れないでください」しか言えなかった。草介がアパートに帰ると電話が鳴った。草介は出ず，留守番電話にメッセージが。「ヒカル子です・・・・先日は・・・（ピー）」。それを辛そうに聞いている草介。 市川の病院に，ヒカル子・翠・三枝がお礼にやってきた。早々に帰ろうとするヒカル子だが，なぜか翠は長居しようとする。お礼にもらったワインを見て，市川は「ハムを買っておけば良かったな」とつぶやく。それに敏感に反応したのはヒカル子「ハムお好きですか？」。翠は，ヒカル子と市川の仲を何とかしようとしているようだ。事務所に戻り，今度のパーティに市川を呼ぶという話に。翠が妙に乗り気だった。翠とヒカル子が二人きりで話す。翠は「派手な恋愛で輝くのがスタアの証拠だと思ってた。でも，幸せじゃなかったのね。ちゃんと生活している人のぬくもりが欲しかったのね。来る仕事全部引き受けて気持ちをごまかすなんてヒカル子らしくない」と。ヒカル子は「金田中監督のあの役はどうしてもやりたいの。社長や三枝のおかげでいい仕事ができてきた。今まで自分から動いたことがなかった。でもあの舞台をやって良かった。初めてお芝居をしていてワクワクした。楽しかったぁ。社長や三枝のおかげよ。それから，もう一人・・・」。「中田草介さんね」と翠。ヒカル子は「草介さんに出会って世界が変わったの。あの人が私を変えてくれたの。なのにひどいことを言ってしまって，きちんと謝りたい。そしてこの気持ちをまっすぐにあの人に伝えたい」。この言葉に「勘違いしていた」と翠「一般人なら誰でもいいってわけじゃなかったんだ。これからは何でも自分できめなさい。仕事も，中田さんのことも」とヒカル子を応援する。 サンマルコハムにヒカル子から電話がかかる。パーティーのハムの注文だったが，草介は手が放せないと電話に出ない。次屋が注文を受ける。つぼみは「最後のチャンスかも知れないですよ」と励ますが，草介は「ボクは気にしていません。仕事ですから」と無理をしている。一方ヒカル子はパーティーの衣装をきめるのに珍しく迷っている。周りの人間は，市川のために衣装を選んでいると思っていたが，麗子が「向こう側の人は？」とヒカル子に聞くと「お呼びしたけど，来てくれるかしら」とうれしそうに話している。 パーティー当日。仕事としてやってきた草介に翠は「ゲストじゃないけれど，ゆっくり楽しんでいってね」と以前と違って優しい。ヒカル子は草介を捜している。仕事をしている草介を見つけ笑顔になるヒカル子。なかなか近づけない二人。つぼみは牛山を連れてヒカル子の前に。「草介さんはダミーで，牛山さんと社内恋愛しています」と宣言。その間に，草介は自分で作ったハムサンドを持ってどこかへ運んでいた。ひたすら仕事に徹していたのだった。その途中，偶然市川に出会う。ハム好きの市川に，ハムを勧める。その時，麗子のマネージャーがヒカル子が待っていると市川を呼びに来る。市川が去った後，そのマネージャーから二人のことを聞かされる。ヒカル子と市川が楽しそうに話をしている現場も目撃してしまう。でも，その時は草介を見つけたヒカル子が草介の元へ。「こうでもしないと会ってくれないと思いました。ごめんなさい。あんなにひどいことを言ってしまって。あなたのおかげで舞台が成功したんです。なのに来てくれなくて，ものすごく寂しかったんです。後でお話ししたいことが。絶対に待っていてくださいね」と告げて去っていった。それを偶然聞いていた所長。「しっぽ巻いて逃げるつもりか？最後のチャンスだぞ」と励ます。 一人つぼみの言葉「心に芽生えたことを・・・」を思い出していると，今度は金田中と出会う。草介の様子に悩み事があるとわかった金田中。「自分でも自分のことが・・・難しいですね」と言う草介に「本人にしか解決できないですから。でも１つだけ」と，「フォレストガンプ」のセリフ「人生とはチョコレートの箱みたい，食べるまで中身がわからない」と言う言葉を草介に伝える。その言葉に納得する草介。何か決心した様子。 そのまま草介がヒカルこのいる部屋に向かうと，市川と話しているのが見えた。市川が「ハムに詳しい人は特別な人なんですか？」と質問すると，「いいえ」と恥ずかしそうに答えるヒカル子。そして市川は「ヒカル子さんという一人の女性が好きになってしまいました。ボクは心に思ったことを言わずにはいれない男なんで・・・ボクと結婚してくれませんか？」と言い出す。その言葉にヒカル子が「ありがとうございます。そう言う人を待っていたような気がします」と答えたところで，草介は辛そうにその場を去っていった。でも，ヒカル子の言葉には続きがあった。「でも，先生にお会いする前に，そう言う人に出会うことができました。申し訳ありませんが，先生の申し出にはお応えできません。今からその方に会いに行きます。私のこときっと待っていてくれると思うんです」。市川は「わかりました。もしあなたペットが体調崩したり，何かに傷ついたときには来てください」と。そしてヒカル子は草介の姿を探しだした。でも，どこにも草介の姿がない。草介は一人会場を後にしていたのだった・・・。 次の日のサンマルコハム。草介は所長に「所長の言ったとおりです」と笑顔を無理矢理作っている。所長は「納得できたのか」と。草介は「はい・・ホントに吹っ切ることができました」と言うが，そんな草介の姿を見て「あいつは明日も吹っ切っているんでしょうね」と次屋。その夜，サンマルコハムに三枝が，ハムの代金の支払いと言うことでやってくる。いつもの居酒屋で飲む二人。三枝は「今までのプロポーズ騒ぎは，早く壊れてしまえって思っていました。でもリュウタロウ先生は違います。プローズしたら断る理由がありません・・」。草介も「ボクもそう思います」と言うが，三枝は「あなたそれで良いんですか」と。草介は「ボクはバカです。絶対に手に入らない人を好きになっちゃいました。でもこれで心の底からあきらめがつきました」と吹っ切ろうとしている。「もう一度伺います。あなたはそれでいいんですか？」と三枝が念を押しても，草介は「こうする以外他に方法があるんですか」。 草介が誰もいなくなった会社に戻ると，あの椅子に座って居眠りしているヒカル子の姿が。まるで初めてあったあのときと同じ。あの日と同じように，眠っているヒカル子を起こさないよう，電話の線を全部ぬいた草介。あの日と同じように，くしゃみをして目を覚ますヒカル子。「お帰りなさい」と言うヒカル子に，「何がお帰りなさいですか。風邪ひきますよ」と草介。ヒカル子は「私はいつも草介さんを驚かせたり，困らせたりしてましたけど，今日で最後にします・・・」と言い出す。その先の言葉を遮るように「リュウタロウ先生のことですね？プロポーズするの聞いちゃったんですよ」と無理に明るく話す草介。ヒカル子が「違います」と言っていても，全く耳に入らない。「ぴったりですよ」と草介。「万が一ボクがヒカル子さんを好きになっても，言い出せないですし，結婚なんてとんでもないですし・・・それはつまり思っていないことと同じことなんですよね・・・だってボクは，こんな素敵な人がこの世の中にいるって言うのが信じられなくて，あなたみたいな人がずっと側にいたりしたらボクの心臓は壊れそうです。とても耐え切れません・・リュウタロウ先生はヒカル子さんにぴったりな方だと思います。絶対幸せにしてくれますよ」。ヒカル子は「それは・・つまり・・・」と聞いていたが，最後には「そうですね」と笑顔を作る。草介は「久しぶりに笑いましたね。ヒカル子さんが笑うとボクもうれしくなります」。 草介が入れたコーヒーを飲みながら，楽しかった思い出に浸る二人。「生まれて始めてのことがたくさんありました」とヒカル子。草介は「違う世界のヒカル子さんと同じ時間を過ごせるなんて思ってもみませんでした。ヒカル子さんと出会えたのは，ボクの人生の中で最大の事件です。すごく楽しかったです」と。そしてヒカル子が「これからも楽しい時間はいっぱいありますよね？」と言うと，「えぇ，ヒカル子さんもリュウタロウ先生と一緒に作っていけますよ」と草介。「そこに草介さんはいないの？」というヒカル子の言葉に「ええいません・・」と無理に平静を装って答える草介。この言葉に帰ろうとするヒカル子は，もう一度「もし私が草介さんと同じ時間の中にずっといたいと言ったら？・・・それは無理ですよね」と。「無理です」と答える草介。「ヒカル子さんはいつかボクの目の前から消えていく人だと思っていました。やっぱりボクはスクリーンの向こう側のヒカル子さんのファンだったんです。ずっと応援しています。どうかお幸せに」。そして，「ありがとうございます。こちら側の桐島ヒカル子は消えます」と去っていくヒカル子。ヒカル子は雨の中濡れながら，市川の元へ。「傷ついたらいつでも来て良いって言ってくれたから・・・」。一人残った草介。ヒカル子が去っていったドアをじっと見つめている。同じその場所で，初めてであったときのことや今までの楽しかったことを思い出し，胸を押さえ慟哭する草介。外はまだ雨が降り続けていた・・・・。 |
| 第９話 「さようなら。こんなことになるんだったらあなたなんか愛さなければ良かった・・・出会えなければ良かった」ヒカル子のドラマのセリフ。ドラマの撮影後は急遽オフにしたという三枝に「１００万年先までいらない」と言うヒカル子。そのころ草介はつぼみとボーリングデートを楽しんでいた。例の「イスの話」が完成したという金田中を接待する翠と三枝。「任せられる女優さんがイメージできない」と言う金田中が帰った後，「ヒカル子じゃ無理だって言われたんだよね」と落ち込む翠。そして「じっくりと舞台やらせてみるっていうのは？」と提案する。ヒカル子の事務所。ヒカル子が，スペシャルドラマを断ったことに文句を言っている。そんなヒカル子に翠は「舞台をやってもらいたいから」と説明する。ヒカル子は「他の仕事ができなくなるなら舞台やりたくない」とだだをこねる。「今までお願いごとしたことある？１度ぐらいお願い聞いてくれてもいいんじゃない。じっくり舞台に取り組んで欲しいの」と翠が説得。舞台以外の仕事は全てキャンセル。時間があいたヒカル子は，体力作り＆セリフの練習に全力投球。セリフ練習の相手は三枝が一生懸命している。そして向かえた顔合わせ。ヒカル子が挨拶をすると，周りは何か変な雰囲気・・・。 サンマルコハムには，雑誌の取材が来ていた。その内容は「スタアと熱愛騒動で日本一有名になったサラリーマン」というもの。勝手におもしろおかしく取材に答えている所長と次屋。そこへやってきた草介は「帰っていただけませんか！」と強引に記者を追い返す。珍しく怖い。「あんなに怒らなくても」と所長。その記事をヒカル子の事務所の面々が読んでいた。つぼみとつきあっていることまで書いてある。そこへヒカル子がやってきて「まだ結婚なされていないようね」と。それを聞いた麗子は，つぼみをいつもの定食屋に呼び出す。偶然牛山もやってくるが，二人に気づかれないように別のテーブルへ。麗子は「草介さんと結婚するんでしょう？」と言い出す。つぼみは何も知らない。「ヒカル子さんが言ってたよ。草介さんから聞いたって」と麗子。その話を聞いて怒りがこみ上げる牛山・・・。 会社の冷蔵庫。牛山が草介に「つぼみと結婚・・・？つぼみがお前の運命の人なのか？つぼみとの出会いは運命的だったか？違うだろう？」と問いつめる。草介は「そうなんですよね。ヒカル子さんとだってそうですもんね。偶然出会っただけで・・・」とヒカル子の話になってしまう。牛山は「まさかまだヒカル子さんのこと・・・」と疑う。草介は「そんなことないですよ」と強く否定するが・・・。ヒカル子は舞台稽古が始まっていた。うまくいかないヒカル子に，周りの反応は冷たい。サンマルコハムの冷蔵庫。今度は所長が「舞台やるって知っているか？みんなで見に行こう」と草介に。草介は「ボクは・・・興味ないんで」と。そんな草介に「無理矢理忘れようとしているんじゃないか？つぼみちゃんじゃなくてヒカル子さんなんだろう」と所長。草介は「比較するのがおかしいですよ。何言っているんですか」と強く否定するが・・・。ダメだしばかりの舞台稽古。落ち込むヒカル子を見守るだけの三枝・・。サンマルコハムの冷蔵庫。今度は次屋「どうしてつぼみに惚れたんだ？」。「家庭的なんですよ。そう言う人がボクにあっているんです」と草介。次屋が「好きな人は別な人じゃないのか？ヒカル子さんじゃないのか？」と問いつめると，「別の世界の人ですよ！ただ単に出会っただけなんですよ」と強く否定するが・・・。 ヒカル子の事務所。ヒカル子は「なぜ舞台にこだわるの？何のためにやろうとしているの？」と疑問をぶつける。翠が「あなた自身のため。舞台に立ってみればわかるんじゃない」と言うが，「全然わからない」と不満げなヒカル子は事務所を出ていく。三枝も「私にも理解しかねます」と言うが，翠は「きっとわかってもらえるから」。 草介はヒカル子の巨大ポスターをじっと見つめていた。それを見守るつぼみ。しばらくしてつぼみの存在に気づく草介。「麗子さんに聞いたんですけど，結婚するって言ったみたいですね。どうして？」とつぼみ。草介は「それは・・ボクがちゃんとつきあうって言ったから」と説明する。するとつぼみは「ヒカル子さんにじゃなくて，私に言ってくれたら嬉しかったりして」。「ごめん」と謝る草介。でもつぼみは明るく「東京タワーに行こう」と。「彼氏できたら東京タワー上るのが夢だったの」。そのころヒカル子は，一人ステージに立っていた。不安げな様子・・・。 草介が溜息をついて歩いていると，反対側から同じように溜息をつきながら翠が歩いてきた。偶然，出会う二人。翠の方から「お茶しない？」と誘ってきた。翠は「ちょっとヒカル子とあってね・・・こんなの初めてなの。もっと大きくなって欲しいって思うんだけど・・・」とヒカル子のことを語り出す翠。草介がジュースを３杯飲み終わるまで続いた。それでも話したりない翠。二人で歩きながら話し，着いたのはヒカル子の舞台が行われる会場。「お芝居の楽しさを味わって欲しい」と言う翠。「会ってくれない？あなたじゃないとダメみたい」。草介は，会社に早退の連絡をした。理由がわからず，みんなはつぼみに理由を聞く。つきあっているからと。でもつぼみは「所長！草介さんが好きなのは私じゃありません！・・・草介さんはヒカル子さんが好きなんです。私，草介さんが好きだからわかるんです」。所長は「どうなるもんでもないじゃない」。「わかってますけど。あんなにヒカル子さんのこと思っている草介さんを見たら・・」とつぼみ。「別の世界」にこだわるみんなに，牛山が問う「オレとヒカル子さんは違う世界の人間か？」。「当たり前だ」とみんな。牛山は続ける「金ちゃんとヒカル子さんは同じ世界の人か？」。「そうだろう」と。「だったら，オレと金ちゃんは違う世界の人間だ。でも，オレと金ちゃんは友達なんだ」と。するとつぼみが「住む世界の違いってなんなんですか？」と問いかけると，誰も答えることができない。「草介さんはヒカル子さんのこと好きなんですよ。人を好きになるのに，住む世界の違いなんて関係ないじゃないですか」とつぼみ・・・。 草介は，一人舞台稽古を見つめていた。休憩に入り，やっと草介を見つけるヒカル子。草介は「すごいですね。ヒカル子さん，ほんと幸せですね。こんな大きな舞台に立てて，たくさんの人に拍手もらえて，想像つかない達成感があるんでしょうね。本当に羨ましいです」と笑顔で話す。でもヒカル子の表情は暗く「そうでもないですよ・・・お芝居よかったですか？」と。草介は「ヒカル子さんしか見ていないから。だからヒカル子さんがよかったです。・・・ただヒカル子さんがもう少し楽しそうにしてればいいかなって思ったんですよ」と感想を言う。するとヒカル子は「何もわからない人に言われたくありません！のんきな感想なんか言わないでください」と怒り出す。口げんかになる二人。ヒカル子「こんな言い合いしているなんて変ですよね。私から見たら，草介さんの方が幸せです。本当に好きな人と一緒にいられるじゃないですか」と。何も言えない草介。ヒカル子は「お返しします」とあのブタさんキーホルダーを手渡す。「もう２度とお会いすることはないと思います。つぼみさんとお幸せに」。草介が出ていった後，涙ぐむヒカル子。 いつもの壁画の前。今までのことを振り返る草介。壁画を見つめ，ブタさんキーホルダーを見つめ・・・。それを握りしめると，何かを決心した可のように歩き出す草介。 舞台の初日。草介が会社に行くと，すでに全員が来ていた。昨日のお詫びに「残業でも何でもします」と言うと，所長が「ダメです」と。牛山は「金ちゃんは映画界ではすごい人だけど，金ちゃん・牛ちゃんの仲なんだよな」。次屋は「サイン会で，ヒカル子さんの夢はお嫁さんになることだって言っていたぞ。結婚したいって気持ちは，スタアも一般人も同じだ」。「娘がいじめられたとき，助けてくれたのはヒカル子さんだ。そんなことあり得ないことだよな。だけど来てくれたんだ」と所長。呆然としている草介に，つぼみが「失礼な上に鈍感ですよね。好きな人がいるのに私とデートして」と。所長「住む世界が違うって言ってたけれど，そんなのは関係ないって気づいた」。牛山も「お前とヒカル子さんの間に壁なんかないんだ。あるとしたら，それは草介が勝手に作った壁だ」。つぼみは「好きになったら住む世界なんて関係ないんですよ」。次屋も「ヒカル子さんの所へ行きたいんだろう。だったら行けよ」。そしてつぼみから草介に，ヒカル子の舞台のチケットが渡される。 楽屋で開幕を待つヒカル子の元へ，麗子がやってきた。「今日，金田中監督とサラリーマンが見に来るそうですよ」と麗子はあっけらかんと言う。何かを感じるヒカル子。そのころ草介は，会社を出るところだった。「あの，みなさん。ホントにありがとうございました」とお礼を言って出ていく。黙って見送る３人。つぼみは一人で何かを作っていた。そんなつぼみに「ごめん・・・」と草介。つぼみはしばらく草介を見つめた後，頬をたたいた。つぼみは「早く行かないと，間に合いませんよ」と涙を浮かべながら言う。そしてつぼみは自分で作ったクラテッロサンドを草介に渡す。「ありがとう，つぼみちゃん」と草介。 楽屋に三枝が開演５分前を告げに来た。舞台袖に行くと，演出家が「楽しんでやってきなさい。それがお客さんに届くから」とヒカル子に。ヒカル子はその言葉を聞いて，草介の感想を思い出した。そして「はい」と答え，いよいよ舞台が始まる・・・。袖で心配そうに見つめる翠。三枝は，客席で一緒にセリフを言いながら夢中で応援している。そして金田中監督も，温かい目で見守っている。ただ・・・三枝と金田中の間に空席が１つ。いつもの居酒屋に草介の姿があった。あのブタさんのキーホルダーを握りしめていた。会社では，４人がいつものように飲み会をしていた。失恋をしたつぼみは，みんなから牛山を薦められるが・・・「イヤです。なんで会社で見つけなくちゃいけないんですか」と怒っていた。 ヒカル子の舞台は，順調に進んでいく。じっと見守る翠の後ろで，満足げに見ている演出家。まだあの席は空席のまま・・・。とうとう舞台が終わった。カーテンコールが終わり，まだ拍手はやまない。共演した女優さんはヒカル子に「すばらしかったわ」と。ヒカル子は「楽しんでやらせていただきました」。まだ拍手はやまない。ヒカル子への拍手だった。涙で見守る翠に，その女優は「彼女は本物のスターだわ」と。そして一人カーテンコールに答えるヒカル子。その時たった１つ，空いている席を見つけてしまう。一瞬顔が曇りながらも，笑顔で拍手に答えていた。草介は，あの居酒屋でじっとしたまま・・・ |
| 第８話 ヒカル子の様子がおかしい。どこか具合が悪いよう。そして，取材中恋愛に関しての質問になると，胸が苦しくなってしまった。心配する三枝と翠。病院で検査をしてもらうが，どこにも異常はない。「胸がドクンドクンする」と言うヒカル子。これを聞いた麗子は「まさか！？」と言うが，誰も相手にしてくれない。二人きりでエステに行ったときに，麗子は「同じ症状に１００回なったことがあるんですよ・・・それは恋です」と。でも，ヒカル子には理解できない。今までの「恋愛」は，盛り上がっているときは気持ちが良くて，終わったらすっきり。「美容と健康に良かったのよ。この胸の痛みはなんなのかしら・・・」。 一方，草介。あのヒカル子の壁画に落書きがしてあるのを見つけ，ハンカチで消そうとしている。そこへつぼみが通りかかる。二人で鍋をする約束を。そのまま出勤すると，次屋が会社で寝ていた。二人が鍋をやる約束をしているのを聞いて「鍋の誘惑に負けたのが地獄への一歩だ」と，草介を説得している。次屋は鍋の誘惑から結婚が決まったそうだ。その次屋は夕べは飲んでいて家に帰らず，無断外泊だという。「無断外泊は良くないですよ。電話で謝った方がいいですよ」と草介。奥さんのことを否定する次屋に草介は「好きだから結婚したんでしょ」。これも次屋も所長も否定。ただし，奥さんがいないから言えること。 所長・牛山と飲んでいるとき，次屋は草介とつぼみが鍋の約束をしていることを，所長と牛山にばらしてしまう。急に胸が痛くなる牛山・・。「あんな女房の顔見たくない！離婚届突きつけてやる！」と次屋が叫んでいると，妻・律子がやってきた。次屋は「ボクが悪かったです。反省しています」と，急におとなしくなる次屋に，離婚届を突きつける律子。「一生帰ってこないでください」。そう言い残して出ていった。 草介のアパートにつぼみも来て，二人で鍋をすることに。離婚騒動のことを知らない草介は「次屋さん，今日は帰りましたかね」と次屋のことを心配している。さらに，麗子も押し掛けてきてしまった。麗子はヒカル子の症状を話し，「あれは恋！誰なんだろう，その相手。草介さんじゃないことは照明されているのでご心配なく。心当たりないですか？」と草介の気持ちも考えず，あっけらかんと話す。これに怒りだしたのはつぼみ。「芸能人には一般人の心の痛みがわからないんですよ！」とつぼみ。この言葉に納得し，麗子が帰ってしまうと，でも，自分の言動に反省をする。草介は「つぼみちゃんの言うことわかりますよ。あの人達は，宇宙人みたいな所ありますよね」とやっぱり優しい。やっと二人きりになったのに，今度は酔っぱらった次屋が転がり込んできた。もう泥酔状態でどうしようもない。仕方なく帰っていくつぼみ。次屋は離婚届を握りしめていた。次の朝。「着替え取ってきて，ここに当分いよう」と言い出す次屋。草介は「ただの夫婦喧嘩ですよね？離婚なんてやめてくださいね」と言うが，「ケンカできるうちはよかった・・・」と次屋。 次屋は着替えを取りに家に戻り，仕事は遅刻する。それを所長に伝える草介。離婚を納得しない草介だが，所長は「修復不可能だ」と。女はみんな怖いと言い出すと，つぼみがそれに逆襲。冷蔵庫の中では，牛山と草介が二人きり。牛山は「桐島ヒカル子，桐島ヒカル子・・お前の心の中はスタアのことで一杯だ」とまるで呪文を唱えるように。草介が不審がると「つぼみと鍋食べたろう」と問いつめる。「食べてないです」と昨日のことを説明すると，一人喜ぶ牛山。 ヒカル子は，三枝に「こんな風に胸が痛くなったことある？」と聞いている。三枝があると答えると「いつ？」。三枝は答えに困り「お教えできません」と。ヒカル子は「みんなあるのねぇ」とこの「症状」がなにかまだぴんときていない様子。そして麗子に「草介さんの所へ行ってきた」と言われると，「誰？」と答えながらも，妙に元気になるヒカル子。ただ麗子がつぼみと鍋を食べていたことを告げると，なんでもないかのように答えながらも，いきなり倒れ込んでしまう。それでも何とか仕事はこなし，今日の仕事は終了・・・だったが，仕事が終わると急に元気がなくなる。そして，まわりにあった機材に「お疲れさまでした」と挨拶する始末。事務所でお払いをしてもらっても，何の効果もない。 次屋が家に帰ると，子ども達だけがいた。塾に向かおうとする長男に，無理をしているんじゃないかというと「お母さんが，勉強しないとお父さんみたいにダメな人になるって」と答える。この言葉に何かを考えた次屋は子ども達を連れ出してしまう。次屋が向かったのは，ヒカル子のサイン会。次屋の姿を見つけ，急に元気になるヒカル子。「サンマルコの・・・」と言ったが次の言葉が出ない。「・・・所長さんは元気ですか」と言ってしまうヒカル子。次屋は「元気です。牛山もつぼみも元気です」と。今度はヒカル子「あの・・確かもう一人。クラテッロサンドを作るしか能のない，いつもどこかぼけっとした所のある・・・」と，どうしても草介の名前が言えない。次屋が「草介ですか。元気です」と。また胸が苦しくなるヒカル子。そんなヒカル子の姿を見て，次屋の一番下の娘が「草介さんって人が好きなのね」とヒカル子に言う。まだ訳が分からないヒカル子。 ロケ現場。ヒカル子は「今日，小さな女の子が変なこと言っていた」と，その言葉を気にしていた。まだ胸が痛むのか，ボーっとしている。ボーっとしたまま歩いていると，石につまずき転んでしまい，意識がなくなる・・・。草介がヒカル子の壁画の前にいると，携帯にヒカル子が入院したと麗子から連絡が入る。病院まで走っていく草介。そのころヒカル子は，夢を見ていた。数年前，事故でなくなった元恋人・レーサーのピエールが，ヒカル子のことを呼んでいる。ここは「サンズ」だと。ピエールについていこうとするヒカル子を止めたのは草介だった。草介と腕を組んで戻ってくるヒカル子。そして，意識が戻った・・・。草介が受付で尋ねると，ヒカル子は入院していないと言う。不思議がっていると，草介は連れ出されてしまう。外には翠と三枝。翠は「あなた，いても立ってもいられなくなって，ここに来たんじゃないでしょうね？たとえヒカル子が入院していても，あなたに心配していただくことではありません。まさかヒカル子とまだ特別な関係があるとでも思っているの？」ときっぱりと草介に言い放つ。草介は「すいませんでした。関係のないボクがこんな所に来てご迷惑でしたね」とその場を立ち去るしかなかった。最後に三枝に「このことは外部に漏らさないように」と念を押されて。会社に戻り，冷蔵庫の中で「なにやっているんだ」と自分を問いつめる草介。 次屋は，子ども達を色々なところへ遊びに連れ出し，最後に会社にやってきた。みんな楽しい１日を過ごしたようだった。そして「このおじちゃんが草介さんか」と子ども。会社には律子がやって来ていた。塾や勉強をさぼって遊んでいた子ども達に「そんなことしていたら落ちこぼれになって・・・安月給のサラリーマンにしかならないの！」と怒鳴りつける。そして子ども達が喜んだおもちゃやヒカル子のサインを投げ捨てる。そんな律子の頬をたたいたのは次屋。「親が子供の夢奪っても良いのかよ！」。子ども達それぞれの夢を律子に教える次屋。今日一緒に過ごして初めて知ったこともあった。でも，そうやって怒鳴りつけながらも「怖いけど，良いところもあるんだよ」と律子を認める次屋。家を追い出されて「目の前が真っ暗になった。停電になったみたいに」と。そして「離婚しないぞ！」と叫び，離婚届を破り捨てる。律子も「ごめんなさい」と次屋に従う。所長も「家みたいになる前に，停電治って良かったじゃない」と。次屋一家は，家へと帰っていった。 ヒカル子の病室に麗子がやってきた。ヒカル子は麗子に，倒れたときに見た夢を話した。連れ戻したのが草介だと言うことは言わずに。「どうしてあの人が私の夢にキャスティングされたんだろう」と不思議がるヒカル子に，麗子は「ヒカル子さんは，その人が好きなんですよ」。「子どもにも同じこと言われた」と言うヒカル子に，「じゃ，決まり！子どもには大人に見えないものが見えるって言いますからね。その人がヒカル子さんが胸を痛めていた人ですよ」と麗子。 ヒカル子は，病室であの夢と草介の言葉「体中が心臓になったみたいにドクンドクンって」と言う言葉を思い出していた。三枝に「原因が分かったの。こんな気持ちになったの，初めてだったの。この気持ちをあの人に伝えることができたら，解決するのね」と。三枝が「どうなされるつもりですか」と尋ねると，あの土手で思いっきり草介を振ったことを思い出し「今更スタアの私から告白できない・・・行かないわ。明日のスケジュールは？」と仕事をすることを決心。しかし，三枝がスケジュール帳を取りに行っている間に，ヒカル子はどこかへ消えてしまった。 つぼみと草介。また今度鍋を食べようと言うつぼみに，少し考えた草介は「今夜はダメかな・・・」。草介はつぼみと自分のアパートへ鍋の材料を持って帰る途中。「次屋さんの家族見ていたら，温かい物が食べたくなった」と言う草介。つぼみが買い忘れた物を買いに行き，草介一人がアパートに向かうと，そこにはヒカル子が待っていた。二人で近くの公園へ。ヒカル子が「ご報告があってまいりました。実は私・・・」と言いづらそうにしていると，「あのボクからもお話したいことが」と草介。「次屋さんが言っていました。ヒカル子さんのおかげで，ユウキが出たって。スタアって素敵ですよね。みんあに夢や勇気を与えられるなんて」。ヒカル子に今日あったことを話す。そして「最後は次屋さんかっこよくて。そんな次屋さんたちを見ていたら，羨ましくなって・・・ボクもああいう家庭作りたいなって思いました。平凡で贅沢はできないんですけど，それでもあったかい，ぬくもりのある家庭。そういうのっていいですよね。それで・・実は，ボク・・・小泉つぼみさんと真剣につきあおうと思っているんですよ。結婚を前提として。今日，その決心が付きました」。この言葉に，自分の気持ちを隠し無理して笑顔を作りながら「大変素敵なお話が聞けて，スタアの桐島ヒカル子もうれしいです。どうかお幸せに」と言うヒカル子。「ありがとうございます」と草介。一人寂しく去っていくヒカル子を，じっと見送るしかない草介・・・。 |
| 第７話 ヒカル子の周りで不審なことが相次ぐ。マンションに無言電話がかかってきたり，マンションを見上げる妙な男が目撃されたり。事務所にはＦＡＸも。その内容からストーカーだろうと判断され，ヒカル子は厳重な警備と共に行動することになった。そのころサンマルコハムでは，例年行われているケヤキ祭の会議で盛り上がっていた。話は盛り上がっているが，話している内容は毎年同じ。やることも，例年通りハムサンドの屋台。実行委員は「つぼみ。それから・・・」という所長の声に，自分をアピールする牛山だが，例年通り「草介」の声。ちょっとがっかりな牛山。草介が，冷蔵庫で仕事をしていると，つぼみが手伝いに来てくれた。そしてイタリアンレストランの割引券があるから，と誘われたが，草介はいつも通り会社のメンバーと行くと勘違いし，それだったらいつもの居酒屋の方がいいと言ってしまう。ちょっとがっかりなつぼみ。 ヒカル子は，どこに行ってもＳＰと一緒。撮影現場も，エステにも，デートにさえも。さすがのヒカル子も，自由に外出ができずストレスがたまってしまった。そんなヒカル子に社長の翠は，ホームパーティを提案する。サンマルコハムでも，ヒカル子がストーカーにねらわれているというスポーツ紙の記事を読んで，心配していた。そこへ現れたのは三枝。「ハムを注文しに来ました」。日曜日のホームパーティー用のハムを注文に来たのだった。草介が対応するが，ヒカル子からの注文は「サンドイッチが食べたい」「中田さんにシェフとして来ていただきたい」と言うことだった。所長＆他は「ずるい」と騒ぐが，「招待されたわけではないですから」と冷静な草介。それでも「女優の部屋に入れるだけでもいい」とうらやましがっている。 そのホームパーティー当日。草介がヒカル子のマンションにやってきた。ＳＰから厳重なボディチェックをうける。すると次々と「中田草介の助手」として，サンマルコハムの面々が顔を出した。結局，全員で押し掛けてしまったのだった。ヒカル子の部屋に驚くだけのみんな。草介はつぼみと仲良くハムを調理している。そんなつぼみがそばに来たとき，牛山が告白しようとすると・・・つぼみは草介の元へ。そしてつぼみがその草介に話をしようとすると・・・草介はヒカル子の元へ。草介は初めて作ったハムサンドをヒカル子に試食してもらっていた。「おいしい」というヒカル子の言葉に「今年はこれにしようかな」と。お祭りの屋台に出すハムサンドのことだった。ヒカル子にお祭りの話をする草介。「ホントは焼きそば出したいんですけどね。おいしいじゃないですか，お祭りの焼きそば」と草介が言っても，「解らないですけど」と言うヒカル子。「お祭りは大好き。今年はリオのカーニバルに行きました」とスケールの違う話になってしまう。ヒカル子が他のゲストの元へ行った後，翠が草介に「あなたはゲストじゃないのよ」と。「わかっています」と草介は寂しそう。 草介の部屋に，サンマルコハムの男達が集まっていた。行くまではあんなに大騒ぎしていたのに，「落ち着かなかった」と文句を言っている３人。所長は草介の部屋を見渡し「汚ねぇけど，いい部屋だよなぁ。本来人間あるべきの姿がわかってくるような気がするよ」。草介は「もともと違う世界の人だってわかっていたじゃないですか。目の前にいたって同じ世界には住めないんですから」と自分に言い聞かせるように言った。パーティーが終わったヒカル子の部屋には，眠ってしまった麗子だけが残っていた。その麗子が目を覚まし「ヒカル子さんがホントに好きな人は中田さんかと思っていたんですよ。笑っちゃいますよね。中田さんはＯＬのつぼみと仲良くやっていれば良いんですよ」と言い出す。ヒカル子は麗子にあわせて「関係ない話」と笑ってみせるが，つぼみの存在が気になる。 サンマルコハムでは，草介がつぼみにお祭りの会合があることを確認された。すっかり忘れていた草介。ちょっと考えた草介は「あのイタリアンレストランの割引券，まだ使えるかな。会合終わったら一緒に行かない？」とつぼみを誘う。その夜，楽しそうに二人きりで食事をする。「また来ましょうね」とつぼみはいろんなレストランの割引券を見せる。楽しそうに家路につく二人を，飲んで帰った３人組が見つけてしまう。牛山は二人の姿を見て，パニック。ここでやっと所長と次屋も牛山の気持ちに気づく。 草介が家に帰ると，留守電に２５件ものメッセージが。慌ててメモを用意して聞いてみるが・・・「ヒカル子です」「ヒカル子です」と言うメッセージのみ。聞いている途中で，実際にヒカル子から電話がかかる。２５回も電話を掛けてきたことを草介が言っても「何のこと？」といつものヒカル子。そして「何のご用件でしょうか」なんて言い出すヒカル子。草介は笑いながら「ヒカル子さんの方ですよ，かけてきたのは」と。「何のこと？」というヒカル子に「まぁいいや」と苦笑いの草介。ヒカル子は「仕事以外外出できなくてつまらないんです。またサンドイッチ作りに来てください」と気軽にお願いする。草介は，困ったあげく「それはもうできません」と涙を浮かべながら告げる。「今日は，久々に，デートしまして・・・ボク，その子のこと，好きになると思うんですよ」。それを聞いたヒカル子は「そうですか。一般人は一般人同士仲良くしてください。応援しています」と電話を切る。言葉は淡々としているが，電話を切った後もボーっと一点を見つめている。そのヒカル子のマンション前にあやしげな男がジョギングをしている・・・。 サンマルコハムでは，お祭りの準備で忙しい。準備中もつぼみと草介は仲良し。なんとかつぼみに取り入ろうとする牛山だが相手にされず，仲の良い二人の姿に落ち込む。そんな３人を面白がっている所長＆次屋。屋台の準備に神社へ向かうが，雨が降り出す。「小雨決行だ」と所長は張り切っているが，突然どしゃ降りに。仕方なく撤収するサンマルコハム。そのころヒカル子は，楽屋に用意された花に文句。それが「つぼみ」だったから。ここのところなんだか機嫌が悪いヒカル子。「ＳＰはもういらない！」と三枝に伝える。でも，三枝は聞いてくれない。そして，トイレに入って掃除の人のユニフォームを交換し，ＳＰの目をごまかして脱出してしまった。それをじっと見ているあやしげな男。 お祭りが中止になり，落ち込むみんな。大量に作ってしまったハムサンドがむだになってしまう。そんなときに，三枝から連絡が入る。ヒカル子がいなくなってしまい心当たりがあったら連絡して欲しいと。「そんなこと言われても・・・」と最初は困惑していた草介だが「あっ」と何かに気づき，突然走り出す。ヒカル子は途中お店で着替え，どこかに向かっている。その後をずっとついて歩いている男。途中バイクにぶつかりそうになりながらも，ひたすら走る草介。つぼみも，草介がヒカル子に話していた言葉を思い出していた。 草介がついたところは，お祭りが予定されていた神社。でもヒカル子の姿は見えない。とりあえず三枝に連絡し，ヒカル子を待つことに。すると案の定ヒカル子がのんきにやってきた。やっと会った二人。そこに「ボクの彼女に手を出さないで！」と現れるストーカーの男。「何をしようとしているんですか。これは立派な犯罪ですよ」と草介がとがめると，「ボクはヒカル子ちゃんを愛しているんだよ」と男。草介が「わかりますよ。あなたが熱狂的なファンだと言うことは」と言うと，今度は「そこらのファンと一緒にしないでくれ」と。草介が「スタアを本気で好きになってどうするんですか」と言うと「君にわかるわけない。ボクがどれだけ愛しているのか。草介は「わかりません」と冷静に対応しようとするが，ひかない男に対して「はっきり申し上げましょうか。スタアを本気に好きになってどうするんだって言っているんですよ」。男は「じゃどういう人を好きになるんだ」と。草介は・・・「それは・・・一般の方を好きになりますよ・・」と悲しげな顔。「それで・・それで・・・突然現れて寝たりしない人で・・・突然キスしたりしない人で・・突然家に来たりしない人で・・勝手にひとんちのお風呂に入らない人で・・・・それで，その・・あの・・ボクの切ったハムをおいしいって食べてくれる人で・・・ボクの作ったサンドイッチもおいしいって言ってくれたり，ボクが家に帰ったときにはですね，『お帰りなさい』って言ってくれたり・・それと・・あと・・ボクの大切な物が壊れたらですね，それをなおしてくれたり・・ボクはですね，そう言う人がいいんで，スタアなんて絶対好きなりません！」。 すると男は「早く消えてよ。ボクを怒らせないで」と，ポケットに手を突っ込み中の何かを握りしめながら二人に近づく。ヒカル子をかばう草介。その男を押さえたのは三枝だった。ＳＰもやってきて，男を取り押さえる。草介はヒカル子に「何考えているんですか！なんで一人できたんですか！」と怒鳴る。そんな二人の姿を，少し離れてずっとみているつぼみ。「怒鳴ってすいません。焼きそばが食べたかったんですよね」といつもの草介に戻る。ヒカル子はただ「ごめんなさい」と言って涙ぐんでいる。三枝は「ありがとうございました」と頭を下げる。そんなヒカル子と三枝を置いて，つぼみと帰っていく草介。それをただ見送るだけのヒカル子・・・。 |
| 第６話 弓道場に草介の姿。「君の射る矢は君の心そのものだ」と草介を見守る先生。近々昇段試験があり，草介もうけることになった。一方ヒカル子は，映画の撮影現場で長刀の練習中。今度の監督は，設定をコロコロ変えている。長刀になったのもつい最近。さらにヒカル子の練習を見て「設定を変える。見てたら撮る気がなくなった。オレは女優を撮りたいんだ」と言い出す監督。ヒカル子のことを「恋愛映画しかやったことがないアイドル」と見ていて「女優」と見ていない。草介がアパートで自分の弓の手入れをしていると，弓道の先生から連絡が入る。 映画の楽屋。ヒカル子の楽屋に麗子もやってくる。麗子が欲しがる物は何でもあげちゃうヒカル子。でも麗子があのブタさんを欲しがると「これはダメ」と。そんなヒカル子を見て，麗子はヒカル子が草介のことが好きだと確信し，みんなに言ってみるが誰も信じない。ヒカル子がスタジオにはいると，そこには草介の姿が。監督は長刀から弓道に設定を変えていた。弓道の先生の代理で草介がヒカル子に教えることになった。言葉で教えていると，「アイドルなんだ。手取り足取り教えないとダメだ」と監督。ぎこちないながらも，ヒカル子の後ろに回って手を取って教え始める草介。そこへ麗子が突然入ってきて，妙に草介にべたべたしてみる。ヒカル子は気になって仕方がない。そのまま弓をいじっていると，折ってしまった。その弓は草介が持参した物だった。「大丈夫です」といいながら，ちょっと悲しげな草介。周りの人間は，ヒカル子がケガをしなかったか，それだけしか気にしていなかった。草介はアパートに戻り，テープで補修してみるが，やっぱりダメ。 ヒカル子の周りでは，今度の共演者・竜崎が新恋人だと騒がれ始める。サンマルコハムでも，その新聞記事をみんなで見ていた。つぼみがなぜか機嫌がいい。そんなみんなを無視して仕事を続ける草介。「うるさくて仕事にならないんで・・・」と言っていると，突然麗子が登場。とりあえず，外に連れ出し帰ってもらう。すると今度は，携帯にヒカル子から電話が。早退するという草介に，機嫌が悪くなるつぼみ。他のみんなも，草介の元にだけスタアが集まってくるのが許せない・・。 草介が向かった先は，映画の撮影所。ヒカル子は「１発で的に当たる技を教えてください」と。草介は「ボクは当てるまでに３年かかったんですよ」と言うが，ヒカル子は真剣。ヒカル子に弓道を始めたきっかけを聞かれ「弓道部が一番人数が少なかったからです」と答える草介。人数が少ない分，すぐにレギュラーになれる。そんな動機だった。「でも初めて的に当たったときは，飛び上がるほどうれしかったんです。こんなボクでもできることがあるんだなって思って。それからずーっと続けようと思いました」。そこへまた麗子が突如やってくる。妙に草介にべたべたする。するとヒカル子は機嫌が悪くなり，「一人でやります」と草介を追い出してしまう。折ってしまった弓の変わりに高級な弓を渡して。麗子は「ヒカル子さん，怒っていたでしょ？麗子，間違っていなかった」と一人うれしそう。 草介が一人撮影所を歩いていると，金田中監督に偶然で会う。「君はハムだけじゃなく，弓も詳しいのか」。二人でお茶を飲みながら話をする。草介は，初めて試合に出るまで的に当たったことがなく，田舎の神主さんにもらった弓で初試合に出たら当たったという話をする。その弓が，ヒカル子が折ってしまった弓だった。草介はヒカル子の名前を出さず「壊してしまった」とだけ。金田中は「もったいないですね。魔法の弓なのに」。金田中と別れた後，竜崎と二人でいるヒカル子の姿を見つけてしまった。二人はセリフあわせをしていただけだったが・・・。 居酒屋では，サンマルコハムのみんながそろっていた。つぼみがやけ酒をしている。そこへ草介を捜しに来た麗子が。みんなは草介ばかりがもてるのが気に入らない。荒れるつぼみは，牛山に「牛おやじ！」とからんでいる。急に固まり落ち込む牛山。そこへ金田中がやってくる。草介と話をしてこの店に来たくなったと。急に牛山が元気を出し，金田中を行きつけの店に連れていく。とっかえひっかえお姉ちゃんを相手にお酒を飲む牛山。でもどうしても満たされない。金田中が話を聞きアドバイスをする。「あの女がオレの大事な人？」と牛山。そのころ草介は，一人部屋でラーメンをすすっている。そしてヒカル子は，一人弓の練習をしていた。 草介がいつもの弓道場で練習をしているが，全く的に当たらない。「何かあったのか」と先生。草介は「この弓が使いこなせません」と。でも先生は「弓のせいじゃない。心に迷いがあるからだ。目を閉じて３つ数えろ」と。ヒカル子の撮影でも，的に当たらない。監督は吹き替えを考え始めた。サンマルコハムでは，２日酔いのつぼみが牛山にお茶を出す。いつもと様子が違う牛山。「牛山さんが仕事をしています！」と驚くつぼみ。その時遅れてきた草介が入ってくる。所長と次屋はつぼみが草介に気があるようなことを言い出すと・・・叫んで飛び出していく牛山。ヒカル子はどうしても的に当てることができない。それでもやる気は十分。監督は「後１回だけチャンスをやる。明日の朝１回だけだ。オレは女優を撮りたいんだ」と。 草介のアパートに麗子がやってきた。「みんな麗子のこと聞いてくれないの」と。麗子は１つのことを考え始めると，他のことが考えられなくなると言う。今は，ヒカル子が草介のことを好きだと考えてしまっている。「人ってそう言うことありますよね」と草介だけは認めてくれた。麗子は草介をとあるホテルに連れていく。そのホテルは，ヒカル子が撮影が朝早いために宿泊しているところだった。新恋人と噂される竜崎も泊まっている。麗子がフロントに行っている間，ヒカル子と偶然出会う草介。まだ的に当たらないと言うヒカル子に，草介は先生にいわれた言葉を伝える「目を閉じて，３つ数えるんです。的をねらうんじゃなくて，自分の心のに向かってまっすぐ射る」。そこへ竜崎が姿を現し，麗子も「部屋が取れました」と草介の元へ。麗子はヒカル子を挑発するため「盛り上がっちゃっているんです」と。ヒカル子は「死ぬまで盛り上がっちゃってください」と，竜崎と共にエレベーターの方へ姿を消す。草介は一人落ち込んでいる。麗子は，ヒカル子の対応に驚き「ヒカル子さんが好きだったの，草介さんじゃなくてブタさんだったんだ。ごめんなさい」と草介と組んでいた腕を放す。草介は一人家に帰る。そしてヒカル子は，部屋に行こうとする竜崎に「私行きたいところがあるんです」と。 ヒカル子が向かったのは，撮影所。弓道の練習をしていた場所だった。そこへ金田中もやってきた。「おろされるかも知れません」とヒカル子。金田中によると，あの監督は感受性が深いだけこだわる人だとか。ヒカル子は「ホントは逃げ出したいんです。でもこの仕事，私にとって大切な作品なんです」と金田中に相談する。金田中は「どうしても撮れないシーンがあった」と自らの体験を語る。何日も撮影をストップして，一人苦悩していた。その時，友人の作家から１通のハガキが届いた。そこには「書けないときには，書けないと言うことを書くしかない」と言う言葉が。そして金田中は，逆に追いつめていって，撮れないと言うことを映像にした。それがデビュー作だった。今もそのハガキは大事に持ち歩いている。「逃げないで。うまくできないときは，うまくできない自分と向き合うんだ」。そして「そうだ。中田草介君に会いましてね。明日昇段試験だそうです。それなのに，田舎の神主さんから頂いた弓を壊しちゃったそうです」と言った。 弓道を教えてもらっているときの草介を思いだしたヒカル子。竜崎に京都に行きたいと言い出す。京都に行く前に，草介のアパートによる。草介はいなかったがドアを突破し，部屋に入る。そしてその後，京都へ竜崎の車を飛ばしてもらう。ヒカル子は，京都の撮影所にいる小道具のプロに，草介の弓をなおしてもらいに行ったのだった。その弓を見たプロはどんな人が使っているのか，ヒカル子に尋ねる。「その弓みたいに，とーってもあったかい人です。心のまっすぐな。私の一番大事な・・・弓の先生です」。 朝，三枝はヒカル子がいなくなっていることに慌てる。また失踪か，と事務所でも。とりあえず三枝は，撮影現場へ。なかなか現れないヒカル子。サンマルコハムでは，草介の昇段試験が今日だという話に。草介は「今日行ってもムダだと思うんです」と全く自信がない。その昇段試験。ヒカル子にもらった高級弓で挑むが，１本目的には当たらない。そこへ先生が待ったをかける。あの草介の弓を持ってきた。「壊した人が置いていったそうだ」。わざわざ京都まで行ってなおしてもらった弓で昇段試験を受ける。そのころ，映画の現場では，吹き替えで撮影を始めようとしていた。そこへヒカル子が登場。約束通り，１回だけやらせてもらうことに。草介は昇段試験，ヒカル子は撮影で，それぞれが矢を射る。目をつむり３つ数える二人。放たれた矢は，どちらも的の真ん中へ。草介は「不合格」と言う声にも，満足げな表情。先生も「つかんだな，中田君」とうれしそう。一方，映画の撮影の方も「ＯＫ」の声。「ありがとう」と頭を下げる監督「おかげで良いシーンが撮れたよ。君は素敵な女優さんだ」。 |
| 第５話 ヒカルこの事務所の社長が，Dr.に相談している。ヒカル子がセリフを言えなくなった！Dr.の話によると，スタアのために孤独を感じる。それは人間である前にスタアだから。今ヒカル子は，「孤独」と言う恐怖と戦っている。本人が意識しているかどうかはわからないが。「彼女自身の大中にしか解決方法はない」。一方，サンマルコハムの所長は，本社に呼び出されていた。営業所の成績が悪く，閉鎖の危機が。これを乗り越えるためには，営業成績を伸ばすか，人件費の削減・・つまりリストラをしなければならない。リストラか閉鎖か，判断は所長に任された。 ロケ現場では，どうしてもセリフが言えないヒカル子の姿が。マネージャー・三枝が「私にできることは？」とヒカル子に尋ねると「なんにもない・・・」とヒカル子。サンマルコハムでは，所長一人が落ち込んでいる。「くび」という言葉に妙に反応してしまう。一人冷蔵庫にこもり考え込む・・・ 草介が出勤しようと慌てて家を飛び出そうとすると，そこにはヒカル子の姿が！現実を受け入れられず，ドアを閉めてしまう草介。そして部屋の中から，自分がドアをノックすると，ヒカル子が「はぁい」とドアを開ける。草介が出勤するところだと告げると，「待っています」と部屋に入り込んでしまう。「今から１０時間後ぐらいにしか戻って来れないんですけど」と一人慌てている草介。それでも待っていると，のんびりヒカル子。一通り部屋を見渡し・・・「お部屋はどこ？」。そんなヒカル子を残し，出勤する草介。 ヒカル子の事務所では，ヒカル子が失踪したと大騒ぎ。とりあえず三枝が今日１日のスケジュールを調整した。そのころ，のんびりと草介の部屋で過ごすヒカル子。電話が鳴り，勝手に出てしまうが，それは草介から。「そう来ると思っていました。電話にも出ないでください。人が来てもドアを開けないように」と注意。そんな草介を，次屋・牛山・つぼみの３人が取り囲む。いつものように騒ぎ出すが，所長一人は仕事を進めている。そして・・・「いい加減にしろ！くびになっちゃうんだぞ！」。所長は，みんなに事情を話す。営業成績を今の３倍にしなければ，誰か一人をリストラしなければならない・・・。 仕事が終わり，いつもの居酒屋で所長の文句を言う４人。話をしているとヒカル子の名前が出てきて，やっとヒカル子が家にいることを思いだした草介。慌てて家に帰る。そのころヒカル子は，家賃の請求に来た大家さんとその知り合いを招き入れ，楽しそうに過ごしていた。草介が帰ると，その騒ぎの後はあったが，誰の姿もない。ヒカル子は，お風呂に入っていた。「ボクんちのお風呂に・・・」と呆然としている草介。お風呂から上がり，ドライヤーをかけているヒカル子に「何をしに来られたのでしょうか？」と草介。ヒカル子はあっけらかんと「今夜は泊まっていきます」。ドライヤーを強くするとブレイカーがあがってしまい，草介があたふたしている間に，ベッドに寝てしまうヒカル子。そのころ社長とマネージャーがしみじみ話をしていた。三枝は，ヒカル子について１０年。社長は「このまま事務所を閉めたら？」と言い出す。借金が残ると言う三枝に「この１０年間楽しかった。ヒカル子がやめたいならやめても良いよね」と社長。三枝は一人事務所で，ヒカル子の今までの写真を見ていた・・・。 次の朝。草介が出社しようとするときには，まだヒカル子は寝ていた。そのまま出社する草介。次屋は所長を冷蔵庫に連れ込み，家庭の事情を話しながら，リストラ対象から外すように脅かすようにお願いする。牛山は，とある食堂に営業に行くが断られる。その時，あのブタさんキーホルダーを店に落としてしまった。全員がそろったサンマルコハム。所長が「早めに結論を出した方がいいと思う。悩んだ結果，営業成績で決めるのが公平だろう」と言い出す。この言葉で，リストラされるのが牛山だとわかる。 ヒカル子が失踪して２日目。三枝は，スケジュール調整し，サンマルコハムへやってくる。草介と二人きりで話す。「どうしてわかったんですか？」と草介。「よくわからないんですけど，マネジャーさんって大変なんでしょうね。ヒカル子さんのことよくわかっていないとできないお仕事ですね」。すると突然三枝が「天使が舞い降りて来たのかと思いました」と言い出す。ヒカル子と出会ったときのこと。草介が「何かあったんですか？」と尋ねても「伝えていただきたいことがあるんです」としか言わない。 自分のアパートに戻る草介。すると「お帰りなさい」と出迎えるヒカル子が。「なんかすごく良いですね，お帰りなさいって」と，草介のためにお茶を用意しようとしているヒカル子の姿を微笑みながら見ていた。事務所に戻った三枝は，社長に報告していた。「あと１週間休ませてあげてください。そして戻ってきたのを見届けたらやめさせてください。ボクはヒカル子さんに必要とされていません」と三枝。 草介はヒカル子といろんな場所へ出かける。コインランドリーでは「草介さん，洗濯機だけはこんなに持っているんですね」と驚くヒカル子。１００円ショップでは，全部が１００円ということに驚き，自分の等身大パネルがおいてあるレンタルビデオ屋にも行って・・・。新発見に楽しそうなヒカル子だが，偶然で食わした周りの人々は，もっと驚いていた。屋台でラーメンを食べているときに，草介は三枝からの伝言を伝える。「１週間仕事はずしたんで，ゆっくりしてください」。「なんか元気なかったみたいですよ」と草介が言うと，「そう・・」とヒカル子。草介は「飲みに行きましょうよ」といつもの居酒屋に連れていく。そこで，会社の実状を話し，牛山のことも話す。でも，それが理解できないヒカル子。「じゃ，売り上げ３倍にしたら？」とあっけらかんと言う。「ヒカル子さんにはわからないんです。無理なんです」と何度も繰り返す草介だが，ヒカル子は「やってみればいいのに・・・」。その言葉にちょっと考え込む草介。 サンマルコハムで，草介が「牛山さん，今頃どうしているんでしょう」とつぶやくと，所長は「もう忘れよう」。他のみんなも，自分を納得させるように，牛山の悪い点を言ってみるが，草介がそれぞれ良いところを言ってフォローする。さらに追い打ちをかけるように，ファミレスが手を引くという電話連絡が入る。もう営業成績を伸ばす可能性がない，とみんなは落ち込む。でも，草介はヒカル子の言葉を思い出していた。そして「やってみましょうよ。牛山さんが帰ってこれるように」と言い出す。みんなが絶対無理と言っても「わかっています。でもやってみましょうよ。人生何が起こるかわからないんですよ。何もまだやっていないじゃないですか。やりましょうよ」とみんなを説得する。 その日から，人が変わったかのように，みんなが仕事に燃えだした。あっちこっちに営業に走る。ヒカル子が待っているアパートに戻っても，草介はくたくたになって眠ってしまう。そして朝にはヒカル子が寝ている間に，草介が出社。そんなある日，草介と一緒にヒカル子が出社してきた。サンマルコハムの上着を着て，留守番をするヒカル子。その分，つぼみも営業に出かけることができるようになった。試食作戦で少しずつ契約も取れてきた。そんなとき，草介はお弁当のチェーン店を見つける。そこにはハムのメニューがない。会社に戻りみんなに話をして，早速親会社へ。でも，受付の時点で全く取り入ってくれない。 牛山は，どんなに面接をしたり，電話連絡をしても，全く就職先が決まらない。何となく向かった先がサンマルコハム。会社の前に立っていると，みんなが戻ってきた。所長が「忙しいんだよ。売り上げ目標３倍だからな。戻ってきてくれよ」と声をかける。一緒に会社に戻ると，ヒカル子が「戻ってきてくれたんですね」。そんなある夜。牛山が以前営業に行った食堂に強盗が入る。しかし，偶然牛山が落としていったブタさんキーホルダーに足をすべらせ，強盗は気を失い難を逃れた。次の日の朝，サンマルコハムに電話がかかる。食堂の主からで「ハム買ってやるよ。ボンレスハム毎月９０００本」という。小さな食堂の割に，かなりの数の注文。不思議がると・・・「ビッグフレンド弁当にも入れてやるよ」。そう，この主はお弁当チェーン店の会長だった！ ヒカル子は「何か気持ちいい」。草介も「ありがとうございました。今日で休みもおしまいですね。変な１週間でしたね」と。「楽しかったです。初めてのことばかりで」と言うヒカル子は「草介さんの会社で雇ってもらえないでしょうか」と言い出す。草介は「ダメですよ。ハムのこと知らないから使い物になりません。それに，戻らないと仲間のみなさんが悲しみますよ」。「私には草介さんのような素敵な仲間はいません」と言うヒカル子に「いますよ。それはヒカル子さんもわかっているんじゃないですか？」と草介。ヒカル子が「どうして草介さんの所に来たと思いますか？」と尋ねると，「ボクが違う世界に住む住人だから・・・羽を休めに来た天使・・・らしくないですね」と笑う草介。そしてヒカル子は「セリフが言えなくなっちゃったんです。言おうと思うと声が出なくなっちゃったの。セリフの言えない女優なんて聞いたことがありますか？もう無理かも知れない・・・」と。すると「無理？まだやってもいないのに？やってみなきゃわからないんでしょ。やってみましょうよ」と草介が今度は励ます。 ヒカル子の事務所。社長は「１週間たったわね。明日，ヒカル子来るかしら・・・」。その次の日，ロケ現場にサンマルコハムの車で向かうヒカル子の姿が。「ここで結構です」とヒカル子は，ロケ現場の手前で草介に言う。「私はスタアです。現場にこの車で降り立つことはできません」と毅然と言い，現場へと歩いていく。そこには，社長・三枝の他，いつもヒカル子と一緒の「仲間」が待っていた。メイクも終わり撮影に向かうヒカル子に，三枝が「何か私にできることありますか」と尋ねる。するとヒカル子は「私のことここで見ていて。いつもみたいに」と言って，撮影に挑む。ヒカル子は，無事せりふを言うことができた。「私気づいたの。あなたのこと愛していることに。それに気づくのに時間がかかってしまった」・・・。 いつものように，楽しい雰囲気に戻ったサンマルコハム。ヒカル子のロケ現場では，三枝が「ちょっとお話が・・」とヒカル子に。ヒカル子は「スケジュールでしょ・・・待ってるね，三枝」。この言葉に三枝は「社長，１つお願いが・・・」。「もう少しいてくれない？あの子，あなたじゃないとダメみたいだから」と社長。 |
| 第４話 会社のみんなに彼女を紹介される草介。でもみんな何か問題(?)あり。草介は「僕は恋愛には向いていないみたいですし，一人で立ち直ります」と今は恋愛より仕事に燃えるという。所長は，ファミレスでハム祭をやるという大口の仕事を取ってきていた。ヒカル子の方は，急遽ロケが中止になり，その日の夜が暇になった。いろんな人に電話をかけるが，誰もつきあってくれない。次の日には，共演者・桜井とお茶をするが，通学途中の高校生をじっと見つめている。「芸能界って，今度ご飯でもって話をしても実現しないですよね。うわべだけの世界」とヒカル子は，あの居酒屋でのことを思い出しながら話していた。 草介は，つぼみに遊園地に行こうと誘われる。気軽な気持ちで返事をした。そのころ所長はハム祭に向けて仕事をしていたが，離婚をして今は別に住んでいる娘・ちかの担任から連絡が入った。いじめにあっていて１週間無断欠席をしているという。このことがすごく気にかかる所長。休みの日。草介はつぼみとの約束に遅れそうになり，慌てて部屋を出ようとするが，携帯がなる。ハム祭を予定していたファミレスの店長からだった。その日はハム祭の初日だったが，肝心のハムが届いていないとカンカン。所長は，娘と二人きりで遊園地に来ていた。草介とつぼみが待ち合わせしていた遊園地。いじめにあっているちかに「お父さんにはいざというときに助けてくれる友達いるぞ。そう言う友達を作れば・・・」と話をしていた。そこへ草介から電話。ハムが届いていないと聞き，発注を忘れてしまったことに気づく。所長は，その場にいたつぼみにちかを預け，ファミレスへと向かった。 所長はファミレスで謝るが，かなりの損失が出たため，なかなか許してもらえない。全員が集まっていた会社に，所長が戻ってきた。１つの条件をクリアすれば改めてハム祭を開催してくれると言う。その条件とは・・・ヒカル子をハム祭のポスターに起用するというもの。大反対する草介。そんな草介には黙って，所長・次屋・牛山がヒカル子の事務所に行って，ポスターのお願いをする。もちろんあっさりと断られた。所長は，ポスターをあきらめて，いいハムを集めて納得してもらうと必死で駆け回る。 同窓会から戻ってきた麗子は，ヒカル子にサインをお願いしていた。同窓会でヒカル子と同じ事務所に入ったことがわかると，麗子に会うことよりヒカル子のサインをねだられた。「友達も態度変えますよね」と。ヒカル子は，イヤな顔せず大量のサインをしていた。 あっちこっちハムを集めるために駆け回っていた所長が倒れた。草介も病院に駆けつけると，すでにみんな来ていた。心臓が弱っているという。草介だけが病室に残っていると，所長の別れた妻とちかがやってきた。草介は席を外す。ちかのことを心配する所長に「余計なことしないで」と突っぱねる妻。ちかは，ヒカル子が父親の友達だと信じており，ヒカル子が絶対助けてくれると信じている。でも「あんなスターがパパのこと助けてくれるわけないでしょう」と言われてしまう。それを病室の外で聞いてしまった草介。ロビーで一人座っているちかに，草介が話しかける。ヒカル子のことを「いるだけで周りを楽しくさせて元気にさせてくれる」と草介が言うと，「パパのことも元気にしてくれる？」とちか。 ちかのためにもヒカル子に力になって欲しい草介はヒカル子の事務所に向かう。ヒカル子はいなかったが，麗子に偶然あった。そのころヒカル子は桜井とあの高級レストランで食事をしていた。生ハムを食べて草介のことを思いだす。そこへ携帯が。麗子からで「ハムを食べたい」という草介からの伝言だった。「行く。ハムを食べたいから行く」と食事をやめてしまい，桜井に車で送ってもらう。場所は多摩川の土手。草介だけでなく，次屋も牛山も一緒だった。たくさんのハムを食べてもらう。草介がポスターのことを説明すると「事務所に聞いてください。ハムを食べたいから来ただけです」とヒカル子。そんなヒカル子の姿を，こっそりカメラで写す牛山・・・。 草介が会社の車でヒカル子を送る。トラックなんかに乗ったことがないヒカル子はどこからのっていいのかすらわからない。「そこはハムが乗るところで・・こっちです」と丁寧に教えてあげる草介。あくまでも「ハムが食べたかっただけですから」と言い張るヒカル子。「クラロッテのサンドイッチがなかったのがとても残念です」。その後，草介はもう１度ヒカル子の事務所へ。マネージャーに契約料を聞いてびっくりする。清涼飲料水の契約料は２億だった・・・。そのころ，次屋と牛山は隠し撮りした写真で，勝手にポスターを完成させてしまった。所長は単なる貧血と過労だったと言うことを知るつぼみ。実は草介を動かすため，次屋と牛山がうそを言っていたのだった。 ファミレスに向かう草介。そこでみたのはヒカル子のポスター。「これ，あのときの・・・」。ヒカル子の事務所でも大騒ぎになっていた。マネージャーが弁護士に連絡を取る。肖像権の侵害で「告訴」という言葉を聞き，「待って」とストップをかけるヒカル子。社長が「あの男に情がうつった？」というと，「あの人呼んで。直にあってお離しをしたい」と。草介が事務所にやってくる。ひたすら謝るだけの草介。ヒカル子に知っていたのか聞かれ「はい」と答えてしまう。ヒカル子は「いいお勉強になりました。あなたはうそのつけない正直な方と思っていましたけど，違ったんですね。サンマルコハムの人達もいい人たちだと思っていました。小学校にもまともに行っていない世間知らずの私は騙されたんですね」。何を言われても謝るだけの草介。ヒカル子が「こんなことしてもう２度とお会いできなくなると思わなかったんですか」と言うと「・・思いました」と草介。「こんなことなら最初からお会いしなければよかった。さようなら」とヒカル子。 草介は会社に戻るが，涙目でじーっとイスを見つめている。誰も何があったのか知らない。次屋と牛山が所長に報告に行く。隠し撮りのことは最初は内緒にしていたが「やばいことやったんじゃないの？」と感づく所長。ヒカル子は，ドラマのロケ先で麗子に「友達だと思っていると痛い目に遭う」と話していた。そこへ所長が直談判にやってくる。「草介は騙されることはあっても人を騙すことができない」と事実を説明する。「責任は全部所長の私にある」と。次の仕事場には，次屋が直談判にやってくる。「あいつは何も知らない！あいつはバカだから人を騙すようなことはしない」。次の場所には牛山が。「あの救いようのないバカは・・・」。すると「もうわかりました。草介さんは悪くないんでしょ？幸せですね。草介さんはいいお友達がいっぱいいて」とヒカル子。そのころ草介は一人でポスターの撤去をしていた。そこへヒカル子から電話が。「今回のことは僕一人でやったことですから。僕の責任です」と草介が言うと，「怒っています」とヒカル子。必死で草介が謝ると「私と２度と敢えなくて良いって思っていることに怒っています。みんなもいってましたけど，救いようのないバカかです」とヒカル子。 所長の娘・ちかが学校で，父親がヒカル子の友達だと言って「うそつきだ」といじめられている。そこへヒカル子がサインを持って登場する。「ちかちゃんのお父さんの友達の桐島ヒカル子です」と。これでみんなのちかを見る目が変わった。 そして，ファミレスではサンマルコハムの全員が謝りに言っていた。ハムだけのポスターで何とかして欲しいと。でも納得してもらえない。その騒ぎの中，ヒカル子がやってくる。「ポスター撮りの現場ってここかしら？」。「この前の写真はアングルが気に入らないと」とマネージャー。メイクもちゃんとやり直している。「あなたのためじゃなく，あなたのお友達のためにやったんです。神様に感謝です」とヒカル子。マネージャーは「ヒカル子の一番安い仕事です」と草介に。「いくらですか？」と尋ねると・・・「クラ・・テッ・・ロのサンドイッチ１個・・だそうです」。 |
| 第３話 ヒカル子の車を追うバイク。どこかの出版社らしい。写真を撮り続ける。ヒカル子は「ああいう方も大変ね。そろそろ新しい恋を初めてあげないと」とのんき。事務所の中では，草介との交際は終わっている（うそだった）ということになっているが，何も知らない麗子は，マスコミ相手に「ラブラブですよ」とぺらぺらしゃべってしまっている。社長とマネージャーは，今回のことは慎重に対応しないといけないと相談していた。一般人との交際に，世間は好感的。１週間で終わったとなると，マスコミはバッシングをかき立てるだろうから。そうなるとＣＭやドラマなど，仕事に影響が出てくる。 サンマルコハムでは，４人が草介を慰めている。でも草介が「一瞬なんですけど，つきあえるんじゃないかって・・・」と言った途端，所長が激怒し，草介を締め付ける。そこへ，ヒカル子の事務所の社長とマネージャーが尋ねてきた。他の４人がいると話づらそうにすると，一応帰ったフリをする４人組。社長から，交際宣言をもう少しの間だけ本当のことにして置いて欲しいと頼まれる。「せめて１ヶ月。ヒカル子をマスコミ攻勢から守るために」。ドアの外で立ち聞きしていた４人が，一斉に出てきて大反対（所長は止めていたが）。でも，マネージャーにヒカル子の限定トレーディングカードを渡され，ごまかされる。草介はヒカル子のためと言われ「わかりました」と承諾する。 主演映画公開初日。舞台挨拶に来たヒカル子に，社長がうそを続けるようにお願いする。するとヒカル子は「あの人は？」と草介のことを気にする。社長が「快く引き受けてくれたわ。結局騒がれたかったのよね」と言うと，「わかった」と納得する。舞台挨拶でも，交際が順調だと話をした。その会場には，あのバイクのカメラマンもいた。そのヒカル子の姿を見て，安心する社長。マネージャーは「リセットした相手を気遣ったのは初めてです」と複雑。映画が始まったが，途中から退場する人や居眠りをする人が続出・・・ 次屋が「お前はうそつけないからなぁ」と草介を心配している。草介は「フリをするだけなら・・・」と。するといきなりたくさんの人に囲まれ，写真を撮られたり握手を求められたり・・・。一方，ヒカル子の周りの人間は，妙に映画の評判がいいと連呼している。社長とマネージャーには，例のカメラマンが接触してきて，交際宣言がうそ臭いと言われる。「１週間見てきて，中田さんと接触していない」と。でもマネージャーは「一般の方なので配慮しているんです」と突っぱねる。草介が取引先の店にいると，そこにまでマスコミがやってきて取材をしようとする。店の中は混乱し，備品を壊してしまう。これに激怒した店主は，つきあいを辞めると言い出す。 ヒカル子の事務所では，麗子がヒカル子に「映画，ブタこけなんですね」とあっけらかんと言ってしまう。みんなは大慌て。麗子は連れ出されてしまう。ヒカル子は「ブタこけ？」と意味が分かっていない。でもみんなの反応に「なんか変」と思いだす。映画館は相変わらずがらがら状態。事務所では，映画が打ち切りの危機にあると慌てている。ヒカル子にとって初めての挫折。社長は事務所がつぶれてもヒカル子にダメージをウケさせたくないと考えている。そんな相談をしているときに，ヒカル子が戻ってくると，映画大ヒットのお祝い！とみんな騒いでみる。ちょっと不思議そうなヒカル子。そこにまた麗子がやってきて「ブタこけなのに前向き」と言い出す。また連れ出される麗子。ヒカル子「ブタこけ？」。 会社にもたくさんの取材陣。いつもの居酒屋にもたくさんの取材陣。必死でうそを突き通しながらがんばる草介を心配する４人。そこに金田中監督がやってきた。ちょうどヒカル子の映画を見た後だという。みんなががらがらだった，難しいと言っているが，監督は「時間をかけないと認められない映画もある。いい映画だよ」と認めていた。草介は，まだ映画を見ていなかった。そのころヒカル子は，マネージャーに「本当のことを言ってね。隠し事をしていない？」と言うが，マネージャーはとぼけている。「いいや」とヒカル子。草介の部屋にも，雑誌社から電話がかかってきたり，夜遅くまで取材が来て近所に迷惑をかけてしまっている。そんな草介の元に，父親から電話がかかってきた。実家にも取材が来ているという。驚いた父親はぎっくり腰に。草介は「ごめん・・・うそじゃないよ。つきあっているよ」と父親にまでうそをつき，苦しんでいる。 次の日，ヒカル子はお忍びで自分の映画を見に行った。１８００円なのに，１万円出してお釣りをもらわずに行ってしまうようなヒカル子。映画館にはお客は２人。一人は居眠り中のおじさん。唯一見ていたのは草介。でも，お互いに気づかない。映画が終わり，やっと気づく。ヒカル子が「おもしろかったですか？」と聞くと「もちろんおもしろかったです」と答える草介。そのまま別れてしまうが，映画館を出たところでたくさんの人に見つかり，デートのフリをする。どこに行ってもぞろぞろと人がついてきてしまう。お好み焼き屋でも，ボウリング場でも，夕日を見ているときでも・・・。「じゃ，今夜はずっと一緒にいましょう」とヒカル子。２人で豪華ホテルへ。ディナーを楽しんでいると，カメラマンの姿が。ヒカル子は，そんなカメラマンにも差し入れをしたりしていた。 ホテルのスイートルーム。ヒカル子はバスルームへ。一人待っている草介に，会社の４人組から電話が。仕事を放り出していたので文句。会社で飲んでいるから来いと言われるが断り，電話を切ってしまう。ヒカル子が，バスルームからお酒と本を持ってきて欲しいと。草介は，ヒカル子を見ないように後ろ向きで入っていく。全く気にしないヒカル子。ヒカル子ができても，その姿を見ないようにして，自分がバスルームへ。その間にまた会社の４人組から電話。今度はヒカル子が出て，みんなビックリする。「今お風呂に入っているのででられません」とヒカル子。ホテルにいると知り，倒れる所長。ヒカル子は，全く気にせずバスルームの草介に携帯を持っていく。次屋が「風呂までだ！それ以上は行くな！どこまでおもちゃにされれば気が済むんだ！バカ！」と。草介は電話を一方的に切り「バカって言うヤツがバカなんだ。家に帰るまでが遠足なんだ」とつぶやく。それをその場で聞いていたヒカル子。 草介はソファに横になるが眠れない。チョコを食べ「おいしい。もって帰っちゃおう」。その後もカバンにいろいろ詰め込んでいく。洗面所で物を落としてしまい，大きな音。それでヒカル子も起きてしまう。２人でトランプをして遊ぶ。バスルームでの草介の言葉が気になったヒカル子。あの言葉は，小学校の時の担任の先生が，弱虫でいじめられていた草介を励ますためにいっていた言葉。「遠足〜」は，家に帰り着くまで気をつけなさい，ということ。ヒカル子は，小さい頃からスタアだったので，学校にはほとんど通わず家庭教師に教わっていた。たまに学校に行きたくなり行ってみると，みんなが気を使う。特別扱いされる生徒だった。「今も同じ。本当のこと行ってくれる人なんて誰もいない」とヒカル子。そして「映画，おもしろかった？」ともう一度草介に聞く。草介は「本当のこと言いますと，ボクにはちょっと難しくてわかりませんでした」と正直に言う。ヒカル子は「同じ。ブタこけってことだけはすごくわかった」と。そんなヒカル子に「でもあの映画好きですよ」と草介。「ヒカル子さんがきれいでした」。「すいません。小学生みたいな意見しか言えなくて」と草介。ヒカル子は「でもすごくうれしい。ありがとう」と，草介の頬にキス。草介は「誰も見ている人いないんで，そういうことは・・・」と困る。ヒカル子も「そうだよね」。 ２人でカードタワーを作り出す。草介は担任の女の先生の言葉をヒカル子に教える。それは草野球でボロ負けしたときいわれた言葉で「スコアボードの得点だけが得点じゃない。負けても次がんばればいいんだ」。カードタワーが完成。「すごい！ボク３段までしかやったことないのに！」と喜ぶ草介。ヒカル子も喜んで「この部屋あっているのかもしれない。また試してみましょうよ。時々こうやってあって・・」と。この言葉に「おかしいですよ。こういう楽しい夜は，うそでも１度あればいいですから」と草介。草介は「後１ヶ月うそつきますから。心配しないでください」と。ヒカル子が「無理しないで」と言うが，「無理していません。すごく楽しいんです。あなたのファンに囲まれて。取材にも恋人気分でぺらぺらしゃべったりして。うそでも楽しいんですよね」と無理して答える。するとヒカル子は「草介さん，うそつくのすごく下手。急に早口になっている」とうそを見抜く。草介は「まいったなぁ。やっぱりうそってちょっとしんどいですね。なんて言うんだろう・・自分が自分でなくなっちゃうみたいで」と正直に話す。朝。ヒカル子が起きると，置き手紙を置いて草介は出ていった後だった。「あと１ヶ月。がんばりますから大丈夫です」。マネージャーが迎えに来る。その時，カードタワーが壊れ，何か考えるヒカル子。 ドラマの制作発表。交際が順調のフリをしていたヒカル子。例のカメラマンが映画の成績が悪いことについて質問すると，社長の心配をよそに「ホントにがらがらですね。私が見てもちんぷんかんぷんでした。でも少ないお客さんでしたけど，あの映画を好きだっていってくれた人がいました」とヒカル子は堂々と話す。そして，その瞬間，草介の言葉を思い出す。「それから・・・皆様に謝らなければならないことがあります」とあの交際宣言が真っ赤なうそだったと発表してしまう。カメラマンが「中田さんは，でっち上げとわかっていてスター気取りでうその荷担をしていたんですね。なんでそんなバカなサラリーマンと交際宣言したんですか」と笑いながら言い出すと，「バカって言うヤツがバカなんです。家に帰るまでが遠足なんです」とヒカル子。「私はあの人にとても大切なことを教えていただきました。うそをつくのはいけないことです。人にうそをつかせるのはもっといけないことです。そんな小学生でも知っていることを，私知らなかったんです。中田草介さんには本当にご迷惑をおかけしました」と堂々と謝るヒカル子。そんな姿を見つめているマネージャー。ヒカル子は「私達は二度とあうことはないと思います」と宣言した。 そのころ草介は，マスコミの取材に必死でうそで応対していた。その最中にそれぞれヒカル子の会見のことが伝わり，一斉にその場からいなくなる。草介は「ヒカル子さん，言ったんだ。本当のこと」とちょっとうれしそう。ヒカル子はマネージャーに「スポンサーさんとか大変なことになるんでしょ」と。ＣＭやＴＶに影響があることを伝えるマネージャー。ヒカル子が「ごめんね」と言うと，「大変立派な会見だったと思います。映画の件，黙っていてすいませんでした」とマネージャー。ヒカル子は「こけてもまた次がんばればいいのよ。スコアボードの得点だけが得点じゃないわ」と堂々としている。そんな姿を驚きながら見つめるマネージャー。 |
| 第２話 あの恋人宣言から一夜開けて・・・ 昨日大失恋した。そしてその直後に大スターの桐島ヒカル子がボクとおつきあいしていると言った。そんなことが現実にあるのだろうか。あるわけない・・・ いつもの生活を始める草介。周りの人々の視線は草介に向けられているが，本人は全く気づかない。スポーツ新聞にも１面トップで２人のキスの写真が載っているが，それすら知らない。「その証拠に何も変わらない」と，普通に会社に出勤し，仕事を続けようとする。もちろん，会社のみんなは冷たい視線で見ているのだが・・・。会社の隅のゴミ箱には，ぐちゃぐちゃにされたスポーツ新聞が・・・所長はたまらず，草介に在庫整理を言い渡す。草介が席を立った途端，会社の電話が一斉に鳴り出す。全て草介についての問い合わせ。 一方のヒカル子も全くのんき。彼女なりの普通の生活をしている。みんなに「中田草介」という名前を言われても「誰？」と，なんのこと？といった様子。事務所の社長は見抜いていた。昨日の記者会見が土方を振り向かせるための芝居だったと言うことを。 サンマルコハムの前では，所長が報道陣にもみくちゃにされ，事務所の中では他の３人が電話の応対に追われている。今日１日全く仕事にならなかった。結局，電話線を全てぬいてしまった。そこへ１日中在庫整理をしていた草介が，何も知らずに戻ってくる。あまりにも本人がのんきなので，とうとう４人はブチきれて追及し始める。ちゃんと説明しろと言われた草介は「あのイスに座っていたんです・・・パーティーの招待状が来まして，ああいうことに」と誰もが納得できない説明を。初めて新聞記事を見せられ「こんなに大きく載っているんですか？」と初めてことの重大さに気づく。 ヒカル子のマンション。土方からメッセージを添えて花束が届けられる。「いつものレストランで待っている。君が来るまでずっと待っている」。このメッセージに喜んだヒカル子は外出すると。マネージャーはてっきりその「いつものレストラン」だと思っていたのだが・・・・。そのころ草介はテレビを見ながら，カップ麺をすすっていた。誰かがドアをたたくので，開けてみると・・・そこにはヒカル子。でも，現実とは思えず，そのままドアを閉めてしまう。またカップ麺をすすっていると，ドアをたたく音が。開けてみると，やっぱりヒカル子。まだ現実とは思えず，閉めてしまう。テレビではヒカル子が「よく見て。現実を認めて」と言っている。草介もふと気になり，ドアを開ける。やっぱりそこにはヒカル子の姿が。やっとこの現実を認めることができた草介に，ヒカル子が「明日の夜７時。忙しいですか？」と。もちろん忙しいわけがない。ヒカル子は，「いつものレストラン」に草介を誘ったのだった。「はい」と返事をした草介は，そのまま帰るヒカル子を見送るが，ふと我に返り「どういうことですか？」。すると「デートです」と言う返事が。ヒカル子の姿を追って部屋の窓を開けてみると，フラッシュの嵐。ものすごい数の報道陣が。ただ驚くだけの草介。 次の日も，アパートの住人や大家さん，近所の人達がインタビューを受け大騒ぎになっている。会社では，みんなに怒られている草介。昨日の夜のこともしっかりスポーツ新聞の１面を飾っていたのだった。一方のヒカル子の元には，また土方から花束が。もちろん「いつものレストランで待っている。君が来るまでずっと待っている」というメッセージ付きで。 土方が待っているレストランに，ヒカル子に誘われた草介もやってくる。レストランの店員は，草介の身なりを見てトイレに近い悪い席に案内する。そこへ偶然金田中監督がやってきて，草介に挨拶をする。草介もうれしそうに話をし始める。首を傾げる店員。すると，偶然来ていた麗子も監督に挨拶をしにやってくる。ますます首を傾げる店員。そこへヒカル子もやってきて，トイレに近い草介が座っていたテーブルは，有名人だらけ。そこへ他のお客たちも全員が監督やヒカル子に挨拶をしにやってくる。一人その様子を見つめていたのは，土方。金田中が「ここは落ち着かないな。ハムのおいしい店を案内してくれ」と草介に。草介は「みなさんをお連れするような店じゃないんですが・・・」と言いながらも，ヒカル子・金田中を連れて出ていく。なぜか他の客も出ていく。この様子を見ていた店長に首を言い渡される店員・・・。 草介が２人を連れていった店は，いつもみんなで行く居酒屋。偶然，会社の４人組も飲みに来ていた。いきなりのヒカル子の登場に，一斉にパニックになる４人。訳の分からないことを口走っている。金田中はカウンターに座り，いざ屋かの親父さんが出してくれる料理に「うまい！」と喜んでいる。ヒカル子も初めての居酒屋に驚きながらも喜んでいる。みんなでうち解け，盛り上がっていた。居酒屋を出て，ある酒屋の前に。酔っぱらい集団は，缶ビールの自販機を叩き始める。最後にヒカル子が蹴りを入れると，自販機が壊れ，中からビールが転がりだした。この騒ぎに店の店主が出てくると，にっこり微笑むヒカル子の姿。その後ろにはヒカル子の巨大ポスター。この現実が受け入れられないうちに，草介がヒカル子を連れて逃げ出した。 ２人が逃げたのは，多摩川の土手。２人きりになった。「普通の恋人同士ってこういうところでデートするんだ」とヒカル子は驚く。草介が田舎でのデートの話をしている。お金がないから，サンドイッチを作ってこういう土手で食べる，ささやかなデート。そのサンドイッチの味は「日なたの味がします」と草介。「今日行ったレストランなんて，一生手に届かないところです。でも彼女もそう言うところに行きたかったのかも。だからふられたのかな。ボクは結婚したかったんだけど」と草介。「男の人ってどういうときに結婚したいと思うの？」とヒカル子。結婚には冷静な判断が必要で，結婚と恋愛は違うと。でもその考えを否定する草介「好きだから結婚するんじゃないですか」と。その人を好きになると，全身が心臓になったように「ドクンドクン」となって・・・と。その話の最中，草介の肩にもたれて眠ってしまうヒカル子。 そのまま朝を迎えてしまった。早朝ロケがあり，慌てたヒカル子がマネージャーに電話すると，すでにマネージャーは後ろでスタンバイしていた。あっという間に行ってしまうヒカル子を呆然と見送るだけの草介。会社では，みんなにヒカル子のことは夢だったとあきらめるように言われる。草介もそれを認めて，納得しようとしている。 一方，ヒカル子の元にはまた土方から花束が。いつものメッセージを添えて。ヒカル子は映画のロケ先でも土方を完全無視していた。その映画もいよいよクランクアップ。土方は大勢のスタッフのいる前で，クランクアップのお祝いと指輪をヒカル子にプレゼントする。「ボクにはキミしかいない。結婚しよう」とプロポーズ。近くのレストランで土方は「好きだって気持ちだけじゃない。２人ならばうまくいく。結婚と恋愛は違うからね」とヒカル子に。するとヒカル子は草介の言葉を思い出す。土方が席を外している間に，自分の胸に手を当ててみる。「ドクンドクン」しているか・・・。日方が戻ってくると，指輪だけが残っていて，ヒカル子の姿はそこになかった。 草介が仕事をしていると，携帯がなった。電話の相手はヒカル子。「もう１度会っていただけますか？」と。あの多摩川の土手で会う約束をする。草介は，会社の冷蔵庫にサンドイッチにするとおいしいとヒカル子に話した高級ハムが入っていることを思い出した。滅多に手に入らないハムだったが・・・意を決してそれでサンドイッチを作り出す草介。もちろん，会社のみんなには内緒で。 草介は約束の土手で待っていた。レジャーシートを敷いて，サンドイッチが入った袋を大事そうに持って。そこへヒカル子がやってきた。笑顔の草介に光る子がいった言葉は・・「謝らなくちゃいけないことがあるの。あなたを騙していました。あの会見うそなんです。ごめんなさい。好きな人を振り向かせたくて，あなたを利用していました」。草介は無理して笑顔を続け「そうですよね・・ボクもそう言うことじゃないかって思っていました。でも途中からひょっとしたらって思っちゃって・・」。でも気になっていたキスのことを聞くと「私，女優だから演技でできちゃうんです」とさらっと言うヒカル子。「すごい楽しかったです。良い夢見れました」と無理をしている草介。サンドイッチを手渡すと，ヒカル子は車に乗っていってしまう。ヒカル子は何かを考えているのか，マネージャーが今日の予定を話していても全く聞いていない様子。そして草介が会社に戻ると，あの高級ハムのことでみんながもめていた。「ボクが食べました」と草介・・・。ヒカル子は，ロケ先で捨てられそうになったサンドイッチをいとおしそうに囓る・・・ こうしてまたボクはいちサラリーマンにもどった・・・ |