プールに沈められた死体発見。シートをはずしてみると，真っ赤なバラの花びらが。死体の口の中にも・・・。この殺し方は，３年前の事件と全く同じであった。その事件とを思い出す，高坂警部たち。その様子を，ビルの屋上から双眼鏡で覗いている男（百合岡）。慌てている捜査陣を見て，笑い転げる百合岡。百合岡は，スタンガンを持っていた・・・。
安曇野のメンタルクリニックに，沙粧妙子は通っていた。「現実感喪失症候群」彼女の病はまだ癒されていなかった。古道具屋の２階の妙子の部屋に，真っ赤なバラの花束が届けられていた。そこには「妙子へ 新しい物語の始まりを祝して」というメッセージが。
そんな妙子の元へ，高坂警部がやってきた。新人の竹本と一緒に。今回の事件は，梶浦の友人「谷口こうじ」からの電話で発覚。電話の声は，ヘリウムで変えていた。すべて，３年前の事件と関連があった。梶浦も谷口もすでに死んでいた。なにかあると考えた高坂は，妙子の護衛として，竹本を連れてきたのであった。高坂は東京へもどると言って去っていったが，それに疑問を持つ妙子。竹本を尋問し，高坂の居場所を確認する。
３年前の最初の事件。それはプロファイリングチームの一員だった梶浦達が，快楽殺人者（谷口）を作り出し，実際に殺人を起こさせた事件。谷口は，相手を絞殺し，右手の指の爪をはぎ，バラの花びらを加えさせた。そして最後には，バラの花びらの浮かんだプールに飛び込み自殺・・・。
妙子の部屋の下では，高坂が盗聴をしていた。店の主人は警察に頼まれて，妙子の行動・訪問者等チェックしていた。張り込んでいる高坂の元へ，今回の事件の被害者の身元判明の知らせが。被害者の名前は「谷口こうじ」。３年前の事件との関係は名前だけ。過去の事件を再現するために利用されたのだった。その電話のすぐあと，また電話のベルが。ヘリウムで声を変えて「アルプス公演へ行ってみな。そこにも昔があるから」と。急いで妙子も一緒に公園へ。途中，百合岡の車とすれ違っていることも知らずに・・・。
公園には，花に囲まれたウエディングドレス姿のマネキンが。それも３年前の事件の再現であった。３年前は，妙子と一緒にそうさをしていた村岡の婚約者が，同じように殺されてた・・・。竹本の恋人が危ないと気づいた高坂は，犯人が次ぎねらうのはその恋人だと断定した。次の日から恋人（直子）が護衛されるようになった。その直子が護衛を振りきっていなくなった。犯人に連れ去られたと思い慌てて捜索を開始。しかし，直子は連れ去られたのではなく，自分から別の恋人の所へ行っていたのだった。
そんなとき，妙子が通う陶芸教室で若い女性の死体が発見された。３年前と同じように。「妙子へ」というメッセージと共に。殺された女性は，妙子とよく話をしていた，同じクリニックに通う子だった。自分と関わったために殺されたと，妙子は精神状態が不安定になってしまう。
最初のプール殺人の被害者とトラブルがあった者のリストが，高坂の元へ届けられた。その中に婦女暴行の前科のある百合岡のデータもあったが，３年前との関連がはっきりしない。とりあえず，引き続き調べることに。
鎮静剤の効果でぐっすり眠り込んでいた妙子の部屋の下では，店の主人が殺されていた。竹本も眠り込んでいて全く気づいていなかった。やはり，口と手の中には赤いバラの花びらが。現場検証をしている所へ，妙子の元へ電話が。「妙子。ボクのプレゼント受け取ってくれたかい？」百合岡の声だった。現場近くにいるはずだと，捜索開始。百合岡は，あるアパートの通路で，双眼鏡を使ってみていた。そのアパートに住む女性が帰ってくると，スタンガンで失神させ，部屋に連れ込み・・・。彼女が発見された時には，話ができる状態ではなかった。この犯人は百合岡と判明。ちょうどその時，陶芸教室に残された物がＤＮＡ鑑定の結果，百合岡の物と判明。これで百合岡が捜査線上に。しかし，まだ高坂達はどうやって３年前の事件のことを百合岡が知ったのかわからなかった。妙子は独自に何かつかんだようだったが。
主治医の吉村と電話をしていたはずの妙子がいなくなった。妙子はクリニックに行っていたのだった。吉村が３年前の事件と関係のあった卯木とあっていたのを知ったからだった。卯木は何も話せない状態だったが，吉村は催眠療法で話を聞きだし，梶浦のファイルを手に入れた。妙子の治療のためにファイルを手に入れたという吉村。そんな吉村に，今回の殺人事件のことを話す妙子。妙子は犯人は「女」だと断定。すでに妙子は犯人がわかっていた。カウンセリングに通っていた女性が，このクリニックでファイルを見たと。そこへその犯人「もえこ」がやってきた。もえこは，吉村の気持ちが妙子に向かっているのを許せず，妙子を苦しめるために今回の事件を考えた。梶浦のファイルには，快楽殺人のことが詳しく載っていた。病的なサディストのもえこ。男達は，もえこの魅力に惹かれていってしまう。吉村もその１人だった。そして百合岡も。竹本が妙子を探しにやってきた。もえこは逃げていった・・・。もえこはタクシーを使って，東京まで逃げてきていた。タクシーの運転手も，もえこの魅力に惑わされ・・・。次の日，運転手は襲われて発見された。
もえこと百合岡は，渋谷で出会っていた。百合岡がいざこざを起こし，殺したいと思っていた相手が「谷口」ということを知ったもえこは，運命的な出会いと感じ，今回の事件を思いついた。もえこの部屋には，殺していった人間の写真が貼ってあり，そこには印がついていた。しかも，たえこの部屋を盗聴していた。店の主人ももえこの魅力に惑わされていたのだった。まだ殺されていないが，印がついている写真が発見された。それは，妙子の妹，みよこの写真だった。
もえこも百合岡も，なかなか発見されなかった。海外旅行から帰ってきたみよこは，警察に保護された。３年前にも，谷口に襲われたみよこ。
捜査一課に妙子がやってくると，もえこから電話がかかってきた。みよこの居場所を知っているような口振りのもえこ。みよこたちの荷物を調べると，発信器が発見された。犯人がこの場所を知っていると断定。捜査の目が全てみよこのもとへ。妙子も竹本と一緒に駐車場で張り込んでいた。竹本の所へ，直子から電話がかかってきた。あの一件以来，２人の仲は気まずくなっていた。直子はずっと待っているからきてくれと。竹本の言葉で，犯人の言葉を思い出した妙子。「くだらないいたずらじゃないからね」。妙子が，アルプス公園のいたずらにいたいしていった「くだらないいたずら」を根に持っているもえこだった。あの時は，まだ直子の存在を知らなかったが，今は知られている。妙子は竹本と，直子のマンションへ向かう。電話をかけても，連絡が取れない。部屋の電話の留守電へメッセージを入れる。
直子が部屋にもどると，留守電のメッセージを聞く前に，宅配便が。それは百合岡だった。大きな荷物だったので，ドアを開けてしまう直子。百合岡は，スタンガンで直子を失神させた。妙子と竹本が駆け付けたときには，部屋の中には，直子の姿も，百合岡の姿もなかった。どこかに潜んでいるはずの百合岡。ベランダに直子の姿を発見した竹本は思わず飛び出していった。その竹本をスタンガンで失神させる百合岡。妙子に太股を撃たれるが，逆に拳銃を奪ってしまう「沙粧妙子，死んじまえ」。気がついた竹本が襲いかかり，百合岡と格闘。百合岡は，ガラス窓に飛び込んで外へ。それを追いかける竹本。そのまま２人は格闘を続ける。一方的にやられている百合岡が，竹本に手錠をかけられると反撃に出た。百合岡が「もえこぉ，背中にいっぱいガラスがささっちゃってさ，血がいっぱいで手痛いんだよ」といった視線の先には，もえこがボーガンを構えていた。「そいつを殺してから助けてあげる」ともえこ。そこへ妙子がやってくる。もえこがボーガンをひくのと同時に，妙子の拳銃が発射された。妙子の弾がもえこにあたり，ボーガンの矢は百合岡の左胸に突き刺さった。崩れ落ちる百合岡。そ
のまま息絶えていた。「わざとはずしたの」というもえこに，「生きて苦しみを味わいなさい」という妙子。
半年後。竹本は直子と別れ，地方の警察署へ。妙子は，本庁に復帰していた・・・。