スペシャリスト２

　宅間の指示で，街中のステッカーを探す姉小路。ステッカーを見つけると，そこにはアルファベットと5つの数字が。数字を聞いた宅間は，死体があるはずだと姉小路にいう。姉小路が探すと，たしかに死体があった・・・

　2日前。茜が謎のステッカーの話をした。アルファベットと5つの三桁の数字。ステッカーが貼られていた家では，落書きされて困っているという話も。興味を持つ宅間。宅間と姉小路が，茜が見つけたステッカーのところに行くと，火の手が上がっていた。慌てて対応。その場にいた男を放火の犯人として逮捕。その男は，自分が放火する様子を録画していた。茜が新しいステッカーを見つけたと連絡してきた。落書きをされた家に行ってみると，犯人は1人ではなく，いろんな人が落書きをしにやってくる。現場の写真を撮りながら。次に向かったステッカーの場所では，ちょうど女子寮に侵入しようとしている男を発見。宅間はルールがわかったようだった。ステッカーは残り2枚だと。特別捜査課のみんなにはそのルールを教えることなく，残りのステッカーがあるはずの場所へ向かわせた。相変わらず，宅間は署に残っていた。先に松原がステッカーを見つけた。アルファベットと5つの数字。内容を聞いて，次の犯行が分かった宅間は「変態が現れるかも」と。その直後，露出して楽しんでいる男が出て来た。残り1枚が，姉小路が見つけたステッカーで，殺人事件現場となった。
　被害者は，身元不明のホームレス。刺殺。テープの血痕から，確実に殺人にするため，殺してからテープで手を縛っていた。宅間は「１９９にならないから」。みんなまだわからない。宅間「刑事のクセに」。アルファベットを並べると＜CRIME＞＝＜罪＞。数字は刑法の条文を表していた。地図に合わせてみると，ビンゴになっている。そう＜犯罪ビンゴ＞。犯行を写真や動画に残すのは，証拠にするため。そろったら賞品がもらえるんじゃないかとい宅間。町中からステッカーを集めてきた。裏サイトで行われているのではないかと推理できるが，うわさも聞かない。簡単には見つからないようになっているよう。
　宅間は，北本の裁判に証人としてやってきた。普通に犯罪ビンゴのサイトを教えてもらおうとする宅間。もちろん，裁判中は認められない。しかし，最後に言いたいことはないかと言われた北本は，すらすらとそのサイトへのたどり着き方をしゃべりだした。おかげで，犯罪ビンゴのサイトを見つけ出すことができた。
　姉小路が珍しく定時で帰宅した。今日は，竹彦の命日。宅間は，大宮のお見舞いに行った。リハビリをする大宮は，事件当時のことは思いだせないという。そのころ，本部長の部屋には，高倉の昔の仲間が集まっていた。３８年前のことで脅迫されている仲間。清滝議員だけは，高倉の力で警備をつけることになった。宅間が自室で自分の事件について考えていると，茜がビンゴカードを持ってきた。何かヒントになればという気持ちからだった。そのカードをじっと見ていた宅間は，何かひらめいた。
　翌日，特別捜査課で一人ビンゴをやっている宅間。姉小路に注意されるが，わかったことがあると。ホームレス殺人事件は，ビンゴの中央の穴。これは主催者の犯行ではないかと。他のところは比較的気軽に参加できる犯行。放火は，もともと放火癖がある男が行っていた。ゲームを成立させるために，主催者があそおこで殺人を行わなければいけなかった。その理由は？「楽しいから」と宅間。犯罪者の数％は，犯罪そのものを楽しんでいる。様々な犯罪を計画し，人に行わせるというやつもいる。宅間は姉小路とともにぜにやんの店へ。どんな犯罪でも完璧な犯行プランを書く，通称「脚本家」の存在を教えてもらう。
　宅間は，以前自分がいた刑務所へ。所長に歓迎される。服役中の受刑者のリストを見せてもらう。そして”永久欠番”の２４４番の受刑服も。刑務所に潜入した宅間は，脚本家こと佐神に近づく。佐神は元刑事。刑事はつまらないという。先発ピッチャーがいい。まっさらなマウンドに立つ先発ピッチャー。宅間「監督なんじゃない？」。佐神「たしかに監督かもしれません」。その時，佐神が目を付けた２人がけんかをし独居房へ。どうやら何度も独居房に入っているらしい。佐神「今晩静かに眠れたら，明日教えてあげます」。宅間は，落ちていた本を拾い上げ，何かに気づく。その夜，あのけんかをして独居房に入った２人が，脱走を試みた。しかし，すぐに見つかり未遂に終わる。宅間が，所長に伝えていたようだ。宅間「ヒントもらっちゃったし」。独居房に何度も入っている間に，トンネルを掘ったらしい。そして宅間が拾った本には，しおりのひもが切られていた。たくさん本の差し入れがあるのに，どれもしおりのひもがない。しおりを脱走に使うロープにしていた。翌朝。佐神はよく眠れたと。脱獄が実行されていたら一晩中起こされていたから。ここにいる理由を，宅間は「シナリオのネタ探し？お客の開拓？」とたずねる。佐神は「お客」という言葉に反応し，無償で提供していると。佐神は，宅間のことも見抜いていた。そこで犯罪ビンゴの今後の展開を聞いてみた。佐神「ネタバレはフェアじゃないですね」。そういうとお菓子を宅間に渡し，立ち去った。宅間がその包み紙を見ると，＜１９７６　自由の志士＞という文字がかかれていた。
　さっそく署に戻ると，＜自由の志士＞について調べた。京都中央大学８人の天才学生の呼び名だった。ネットの情報は，北野嘉一の著書がもとになっている。北野の自宅を尋ねる。その場所は，犯罪ビンゴの場所でもあった。部屋に明かりがついているのに反応がない。鍵もかかっておらず，中に入ると，北野が殺されていた。＜２４０＞というビンゴボールを持っていた。刑法２４０条は「強盗致死」。部屋の中は荒らされ，現金がなくなっていた。宅間は，本棚にあの本を見つけた。自由の志士のメンバーに，高倉の名前があった。
　高倉に報告をし，３８年前，何があったのか尋ねる。高倉は，何もなかったから本にも書かれていないのだろうと。宅間「書けないことがあるんじゃないですか」。高倉にも犯罪ビンゴの説明をする。しかし，犯罪ビンゴのサイトは消えていた。
　自由の志士のメンバーは，高倉のほか，衆議院議員の清滝悦子，京都第２医師会の副会長の恩知由紀彦，関西教育委員会委員長の出水宣郎，宅間の弁士だった日暮勇輔。この面子が，そろって本部長のところに尋ねてきているのを堀川たちが見ていた。ほかのメンバーに，永峰勇樹・八坂祥治がいた。永峰は卒業者名簿に載っていない。八坂は，名簿には載っているが消息不明になっている。
　堀川は，警備部の先輩・芳野に清滝の警備について尋ねる。もちろん守秘義務があるので教えてもらえない。芳野は，４期上の先輩。堀川の教育係だった。一緒に組んで仕事をしていたが，あるとき芳野のミスでフォーメーションを崩し，問題を起こしてしまった。しかし，芳野は堀川のミスだと報告。それ以来，堀川は，命令に従わないということで誰とも組むことができず，特別捜査課に送られてきた。
　宅間は，河川敷のサッカー場へ。紀彦がサッカーの試合をしていた。微笑ましく見ている宅間。試合が終わり，美也子は宅間に気づく。宅間「紀彦，サッカー上手なんだね」。そこへ，美也子が今付き合っている男性が迎えに来た。見送る宅間。
　高倉は，日暮と話をしていた。清滝が国会に提出しようとしている法案は，高倉が草案を作っていた。３８年前のことで脅迫状が届いていたが，式典には参加するという。
　姉小路は，京都中央大学の捜査に関する資料を必死に探していた。そのそばでは，ソファに寝転ぶ宅間が。姉小路が，永峰が大学３年の時，講堂で自殺をしたという資料を見つけた。大学３年＝１９７６年。宅間「これがすべての始まりだったんだ」。
　そのころ，犯罪ビンゴのパート２が始まった。今度のビンゴは，基本人が死んだときに問われる罪がほとんど。誰にも挑戦させないためではないか。＜１９９＞は，自由の志士のメンバーに関する場所。連続殺人の予告と考えられる。宅間と姉小路は，高倉に訴えるが相手にしない。捜査自体を終わらせようとする。それでも特別捜査係では捜査を続ける。地図の上のビンゴと資料を前に，イラつく宅間「次の狙いがわからない」。本当の狙いがわからない。単なる快楽殺人のわけがない。「あいつはち密に計算している」。佐神のシナリオをつぶせばいい。そのために悩んでいる。その時，犯罪ビンゴのサイトに，管理者のSYの書き込みがあった。＜八坂祥治＞と思われた。八坂は，大学卒業後海外にわたり，過激派に加入。その後の足取りはわかってない。
　今回のビンゴは，街中にステッカーが貼ってない。ビンゴの殺人以外の数字は，過激派かテロに適応される罪。これも八坂が犯人と思わせるものだった。動機は・・・３８年前の永峰の自殺が関係しているのではないか。つまり，永峰の仇をとること。永峰の自殺は，自由の志士のメンバーがかかわっているのではないか。ビンゴの中央は，永峰が自殺した講堂。その講堂で創立記念の式典が行われる。来賓として出席するのが，自由の志士のメンバーだった。その式典は，今日の午後行われる。宅間「ヤバイ」。会場に向かうと，すでにたくさんの人が集まり，すぐに式典が始まった。宅間の足元に，ビンゴボールが転がってきた。そこには＜２６６＞の数字が。タブレットを見ると，犯罪ビンゴのサイトに動きがあった。中央のフリースポットがに＜２６６＞の数字が浮かび上がった。そして爆弾のイラストが。宅間は，壇上に駆け上がり，爆弾が仕掛けられたらしいと告げる。慌てて逃げる出席者たち。しかし，宅間は自由の志士のメンバーはその場に残した。そうサイトの主催者が言っているからと。
　自由の志士のメンバーに関連する場所に書かれた＜１９９＞はミスディレクション。全員を安全と思われたここに集めることが目的。誰が永峰を殺したのかわかれば，爆弾の爆発は止めるという。時限爆弾が爆発するまで３０分。永峰は，自分の意見を書いた論文が原因で公安に逮捕された。その後，自殺。今回のビンゴに書かれた殺人以外の罪は，永峰が問われた罪。永峰の論文は，武力に頼らず変革する方針をあつく語っていた。なぜか突然，根拠のない逮捕をされる。大学は退学。それを苦にして自殺。自由の志士は自然消滅。宅間は，メンバーの誰かが論文の内容を公安にばらしたんだろうと。
　宅間に，係長から電話が。宅間が調べてほしいと頼んだことの結果がわかった。倉庫で殺されたホームレスと八坂の写真からあることがわかった。宅間「そろそろ終わりにしていいですよね」。そういうと，そっと姉小路と堀川に何か指示を出した。論文を公安にばらした裏切り者は・・・高倉だった。その時，高倉に銃が向けられる。宅間は，キョッピーの防犯ブザーを鳴らす。その大音量に注意がそれる。銃が放たれるが，防弾チョッキを着た堀川が受け止めた。銃を撃ったのは・・・芳野だった。その芳野の体に，爆弾がつけられていた。宅間「やっぱ佐神の脚本だな。これくらいのどんでん返し用意してるんだ」。八坂が最初に殺されたホームレス。無関係な人は殺していない。八坂と思われた「ＳＹ」は，芳野純香。芳野は，永峰の娘だった。母親が亡くなる直前，父親のことを教えてくれた。
　なぜ３８年もたって？・・・３８年経ったからこそだった。時間がたてばたつほど，積み重なっていく恨みも存在する。永峰は、３８年という長い時間を失った。スポットライトを浴びることも，情熱を傾けられる仕事も，誰もがうらやむような地位も，名誉や権力を手に入れるチャンスさえも失ってしまった。芳野「１番許せないのは，父のことを知らずに生きてきた私。何もしてあげられなかった」。「私達は，永峰君のことを忘れて生きてきたわけじゃない」と清滝。恩知は「この場所で永峰を見つけたのは私なんだ。蘇生を試みたが救えなかった」。その恩知は医者に。出水は「若い連中に絶対に命を絶たないように教えたいと，生きてきた」。出水は教育者。清滝「若い世代が力づくで変えようとする国を作ろうとしなくていい国を作るために政治家になった」。日暮「永峰へ伝えられなかった想いを棺に誓い，それに従い生きてきた」。高倉以外が告白した。宅間「たぶん，本部長の番だと思いますけど」。高倉は「私は何も言うことはない」。宅間「それって，死んでも守りたいことがあるって言ってるのと同じことですよ」。高倉「論文は素晴らしかった。しかし諸刃の剣だった。世に出れば，それをバイブルにして，反体制の勢力が結集する恐れがあった。それをお母さんがとめてほしいと言ったんだ。だからやむなく私は・・・芳野警部補，生き続けてくれ！」。考え込む芳野。宅間は諭すように話し始める。「お母さん，恨みながら死んでいったのかな。人生不幸だったのかな」。吉野は，母の最期の時を思いだしていた。母は「本当に幸せだった」と言っていた。宅間が吉野の方をそっと抱くと，起爆装置を手にした。吉野は，抗うことなく手を放す。宅間が芳野から離れると，芳野は確保された。
　宅間は，姉小路と一緒に佐神に面会。向き合う２人。宅間は，今回の事件で八坂と北野を２人を殺した理由を尋ねる。八坂は，父親の逮捕歴をネタに,彼女を恐喝をしてきた。北野は，自由の志士の誰が公安に永峰を売ったのか知りながら，永峰に黙っていたということを告白した。宅間「正直悔しいんだけど。あんたのシナリオに一役買わされてたんだから」。佐神「名探偵役が必要でした」。宅間「だからヒントくれたんだ」。佐神「事件がきちんと展開してもらわないと，誰にもわかってもらえませんから」。宅間「結末は書きかえさせてもらったよ」。佐神「これでも悔しがってるんですよ」。宅間「狙いは高倉本部長だったんだ」。佐神にとって，高倉が考えたとされる改正ネット規制法案は問題がある。佐神「私の活動に差し障りがありますから」。そのための今回のシナリオ。驚く姉小路。宅間「こっちの勝ちでいいね」。佐神「スコアは３対４ってとこでしょうか」。宅間「いや。８対７だ」。佐神「よかった。野球で一番面白い試合だ」。２人のやり取りが理解できない姉小路「あんたたちおかしいわよ！」。宅間「いっしょにしないでほしいな」。佐神「同感です」。姉小路は「次は絶対に捕まえてみせる」と飛び出していく。宅間「最後の捨て台詞はオレも同じだ。絶対許せないんだよね。犯罪を犯した奴が捕まることのなく，のうのうと生きてるのって」。佐神「負けは負けですから，いいこと教えてあげます。姉小路さんのご主人の事件とあなたが冤罪になった事件はつながってます。わたしのシナリオではありませんよ」。宅間「だったらどうして知ってる」。佐神「一応私もプロですから。あなたが巻き込まれている事件と，姉小路さんのご主人が殉職した事件は，同じ匂いがします。というより，間違いなく同じ人間が書いたものです」。
　大宮がどこかに電話をかけている。「いいません。宅間には絶対」。
　宅間は，大宮の事件当時の所持品が保管されている段ボールを開ける。中に手帳があると開いて見てみる。そこから，竹彦が殉職した事件の記事の切り抜きが挟んであった。宅間「へぇ。ホントだったんだ」。