ＴＥＡＭ４

２００３年９月２６日（金）２１：００～２２：５２　「金曜エンタテイメント」
　出演：草なぎ剛，西村雅彦，水野美紀，戸田菜穂，黒木瞳，大杉漣，内博貴，他

　風見の部屋。風見は，特撮のビデオを見入っている。その後ろには，綴の姿が。綴は，もう丹波と一緒に住んではいないが，時間が遅いからと帰る。綴を駅まで送る風見。２人が走って駅まで行こうと楽しんでいると，路地から飛び出してきた少年とぶつかってしまう。その鋭い目つきが印象的だった。駅で綴と別れた風見は，帰り道，公園の茂みに人が倒れているのを発見。血だらけの腕・・・。
　丹波が殺人事件現場へ向かう。第一発見者は・・・風見だった。第一発見者として，調書をとられる風見。「文科省の仕事も忙しいんだな」という丹波。風見が遅い時間に駅からの道を歩いていたと言うことは，仕事が遅かったからだと思ったようだった。しかし，綴と一緒だったと知ると・・・いきなり，取調室へ放り込まれる。しかも犯人扱いまで。風見と一緒だったという綴も，取調室に呼ばれる。１人激怒している丹波。捜査本部で待っていた風見は，目つきの鋭い少年とぶつかったことを思い出す。取調室の綴の元へ。丹波にも事情を話す。
　少年事件課。風見と綴が別々に似顔絵作成に協力している。坂上（現丹波）課長は，捜査一課から捜査の応援を頼まれているが，自分以外は手が空いていないから夫婦でやろうか・・と丹波をからかう。そんな中，似顔絵が完成した。綴の記憶による似顔絵は良くできているが，風見のは・・・。ただし，鋭い目つきだけは良く表現できている。「目だけは忘れません」と風見。
　文科省。季織に事件のことを話す風見。話を聞いて，先に「ダメ」という季織。また風見が捜査に参加したがっていると見抜いていた。風見は「あの目は忘れたくても忘れない」と。でも，季織は「忙しいでしょ」と相手にしない。２人が今関わっているのは「小中高校の教室にエアコンを入れる予算要求委員会」。風見が一番やりたいことではなかった。
　一方，丹波は，容疑者・吉村栄太の父の元へ。しかし，３歳の頃別れたっきり一度もあっていないという。栄太の母親は，パチンコにおぼれ，そこで知り合った男と栄太を連れて駆け落ち。それっきり連絡が取れていない。丹波は，自分の家で息子をじっと見つめる。栄太が父親と別れた頃と，それほど変わらない。厳しい顔つきの丹波に坂上は「ジュンの前では仕事を忘れる約束でしょ」と。坂上の元へ，風見から捜査状況を確認する電話があったという。丹波の話では，捜査本部には「うちの子じゃないか」という親からの問い合わせが殺到しているという。栄太の父親にあったが「やりきれなかった」という丹波。そして「風見が必要だ。少年の顔を見ている。それに少年の行動を・・・」。「向こうの上に話してみる」という坂上は「事件には厳しく，子どもには優しく」と丹波に約束させる。「あいつ次第だ」と丹波。

　季織は「丹波姉さんのお願いだから」と風見に捜査研修の許可を出す。ただし，３日間限定。今の季織にできる精一杯の期限だった。こうしてまた，丹波・風見の「ＴＥＡＭ」が結成された。「ホントは仲がいい」という綴だったが，早速ケンカをする２人。
　２人がまず向かったのは，栄太の母親の元。アパートへ行ったが誰も出てこないので，パート先へ。そこで母親と話す。でも，今は一緒に生活していないという。新しい父親になじめず，小学校に入学する頃，兄の元へ預けた。それ以来連絡をとっていないと言う。次に，その預けられた母の兄の元へ。米屋の兄は「かわいい家族と思っていた・・・でも寂しかったんだろう」。そこにも栄太はいなかった。小学校卒業の頃家出をして，それっきり行方知れず。帰り道「孤独だったのかな・・寂しさを埋められないならやけになることもあるかも」と話す風見。「子供時代のことと犯罪のことを簡単に結びつけるな」と丹波。１人家に帰る途中，風見は現場の公園を通りかかり，手を合わせる。
　２日目。栄太の知り合いという男が見つかった。栄太から「人，やっちまった」という電話があったという。その声は怖がっていたと。それで警察に連絡してきた。栄太が１３歳の頃から３年間，建設会社の寮で一緒に生活していたという。栄太は，彼女と暮らすといって去年その寮も出ていった。その彼女の元へ向かう２人。丹波は風見に「孤独だって言ったな？女とつきあって，どこが孤独だ」と言い放つ。彼女のバイト先で話を聞く。確かに一緒に住んでいたけれど，先月別れて出ていった。別れた原因を問いただすと「何もしてくれなかった・・・楽しくないって感じ。愛してくれていない感じだった」という。携帯に連絡してもすでに他人の元へ渡ったらしく，連絡は取れなかった。彼女に写真をもらい，顔を確認する。風見がであった少年に間違いない。彼女の後を付けて，アパートを見つける。彼女の部屋は２階。丹波は，風見に命令して，塀に上がって部屋をのぞかせる。嫌々従う風見。そこへ近所の人が通りがかり・・・「痴漢を逮捕する」と丹波は風見を逮捕し，その場を逃げ切る。
　彼女の部屋が見えるアパートの一室を借り，２人の張り込みが始まった。夜は交代で眠る。捜査研修３日目の朝，綴が差し入れにやってきた。なぜか朝御飯は風見の分だけ。不服そうな丹波。張り込みの最中の一時の休息。綴が帰った後も張り込みは続く。丹波は「綴と結婚するのか」と尋ねる。「そのつもりですけど，綴さんがカウンセラーの勉強に集中したいって」と答える風見。何も変化のない１日。栄太は本当に彼女の元に戻ってくるのか・・・。「厳罰なんかで押さえられる分けない」という考えの風見。「彼は落ち着いて育った場所がないんですよ。だから大事なこと教わってないんじゃないかな。育ったこととか関係ないとは思わない」と主張。一方丹波は，自分の所の新人刑事の話をする。彼は，小さい頃事故で両親を亡くし，施設で育った。それをバネにして警察官になった。そう言う人を知っている。だから「犯罪を育った環境のせいにするな。犯罪は，本人が悪いんだ」と主張。風見の研修のタイムリミットがやってきた。仕方なく張り込みをしていたアパートから去っていく風見。その後ろを通り過ぎる少年の足・・・。１人で張り込んでいる丹波がふと目をそらした瞬間，彼女のアパートの電気がつき，またすぐ消えた。
　文科省。事件を解決できず戻ってきた風見。季織は「委員会に出ないと，ここにもいられなくなる」と注意する。その季織は，局長と食事。その後ろ姿を見送りながら「早く偉くなって，オレの人事を自由にできるようになってね・・・また甘えているよ」と風見。
　１人張り込みを続ける丹波。部屋の電気は消えたが，風呂場から湯気が出ていた。その異変に気づき，彼女のアパートへと向かう。丹波が声をかけると，ドアが開き，そこには栄太が立っていた。栄太は逃げるでもなく「やりました，オレが」と犯行を認めた。その場で逮捕。風見が駆けつけてくる。途中，綴と一緒になった。２人とも面通しのために呼ばれていた。マジックミラーで，取調中の栄太を見る２人。あのときの少年と認めるが「あのときの目じゃない」と風見。ふと栄太の袖口から見える腕に気づいた風見は，勝手に取調室に飛び込んでいく。そして栄太に「腕を見せて。服めくって」と言い出す。そこにはひどい傷跡が。さらに風見は「裸になってくれないか。腕だけのはずがない」と。最初は躊躇しながらも，丹波にも促され，その言葉に従う栄太。上半身裸になると，その場にいた全員が絶句。全身にひどい傷跡があった。栄太は被虐待者だった。その夜，風見は夢の中に栄太の傷跡が出てきてうなされていた・・・。
　少年事件課。栄太は，素直に自供しているが傷のことは何もしゃべらない。丹波は事件の捜査の方を優先するという。すると「あれは虐待じゃない。傷害だ」という風見。「愛されていない気がした」という彼女の言葉が気にかかる。そんな風見に坂上課長は「何をしたいの，風見君は」と。風見は「１７年間をもう１度歩き直さないと。何も見えないまま罰せられるだけ。それじゃ彼はやりきれない。あんな傷まで負って。僕だってやりきれない」。その場にいたみんなが同じだった。丹波も「あの傷を見て何も思わないヤツがいたらくそ野郎だ」と。最終的に坂上課長は「２人で同じ人達にもう１度会ってきてください」と２人を送り出す。ただし丹波は「忘れるな。あいつはなんの関係もない人を殺したんだ」とくぎを差す。
　栄太が送検されるまで４８時間。捜査一課では，丹波と風見に連絡が取れないと言うことで，熊代捜査一課長怒りまくっている。少年事件課に文句の電話をかけてくるが，坂上課長にうまくかわされてしまう。それだけでも気が重かった坂上課長だが，さらに季織にも連絡をしなければならない。連絡を受けた季織は，最初は不服そうだったが「虐待」という言葉を聞いて態度を変えた。坂上課長は，綴に「待ってましょ。あの２人，私の知る限りでは最高のチームだから」という。栄太の取り調べは続いていく。時間だけがどんどん過ぎていく。もう残された時間が無くなってきたが，まだ丹波と風見は戻ってこない。坂上は，季織に時間稼ぎを依頼する。季織は綴を連れて，一課長の元へ。「虐待」を理由に，児童相談所にカウンセリングをするように「上から」言われたと告げる。「上から」と言われると断れない。「だったらカウンセラーを連れてこい」と一課長が言うと，綴がカウンセラーの名刺を差し出した。
　季織と綴のカウンセリングが始まった。リードするのは季織。風見と同じようなアプローチをしている。綴が，栄太に彼女の言葉「愛されていない感じがした」を伝える。すると栄太は「何をしてあげれば良かったんですか？愛してあげるって」と質問をする。戸惑う２人。季織が「デートの時手をつなぐとか，キスをするとか・・・」。「しましたよ。テレビやマンガでしていることでしょ。それが愛することなんですか？」とまた質問する栄太。季織が「相手を思いやること」と教えると「そうなんですか。キスをするって事は，そう言う意味なんですか」と初めて知ったような栄太。「オレ，そう言うこと良くわかんないんですよね。そうなのかぁ」。
　栄太の拘置延長は認められなかった。まだ丹波と風見は戻ってこない。一課長が戻ってくる「４８時間がたった」。栄太を連れ出し，廊下を歩き出すと・・・向こうから，丹波と風見が真剣な面もちでやってきた。丹波は「栄太君と話をする」と言い切る。初めは認めなかった一課長だったが，丹波と風見の顔を見て「丹波，何を見た?!」と丹波の様子に驚く。そして「検察は延長を認めていない。オレがトイレに行っている間だけだ」と２人に時間を与える。綴は「あの子，誰からも愛されていない」と２人に告げる。

　取調室に入る丹波と風見。風見がリードする。栄太をしっかりと見つめ「君の今日までの１７年間を歩いてきた」と告げる風見。丹波は「お父さん，君の一言に心痛めていたぞ」。「本当のお父さんのことですか」と栄太。しかし，栄太は本当の父親のことは顔すら覚えていなかった。母親とも１０年会っていない。風見が「会ってきたよ」というと「そうですか。元気でしたか？」と栄太。

　丹波と風見が母親のアパートを訪れたときのこと。中には義父が。今回は，義父に話を聞こうとするが，なかなか話をしようとしない。風見が，栄太の傷のことを話しても何も話さない。すると丹波が，栄太が一緒に住んでいた頃を知っている近所のおばあさんの話をする。そのころこの部屋からは，悲鳴のような声，耳を覆いたくなるような悲しい子どもの声が聞こえてきたと。さらに，病院にはやけどや骨折で４年間で１９回も通院していたというカルテも残っていた。風見は「暴力を振るっていたんじゃないですか？傷は，２人がやったんでしょ。なんのために・・」と。すると義父は「躾です」と暴力を認めた。風見が「躾の域を越えています・・子どもにも人権がある」と主張すると「家の教育方針だ！」と怒鳴り出す。そして母親は「こっちにはこっちの生活があるんです」と言い出す。「傷害で起訴することもできるんですよ」と伝える風見・・・。

　取調室。風見は「躾と言っていたけれども，虐待を認めたんだ。君も認めるね。これは犯罪なんだよ」と栄太に伝える。丹波も「送検できるんだ。話してくれれば，警察は動く」と。しかし栄太は何も話そうとしない。「全部話してくれ」と風見。すると栄太は「違うんです。お父さんと暴力を振るった人は，違う人みたいなんです・・・よくわかんないけど・・全部ぼんやりしていて・・」とうつろな目をし始める。今度は「傷はその時の物だけじゃないよね」と風見。

　母親の兄の家。息子のまさふみに話を聞こうとすると「何も覚えていない」と避けるように父親の仕事を手伝い始める。風見が追及しようとすると，丹波は「言えやしない。時間がないんだ」と風見を連れ出す。次に向かったのは公園。そこで，栄太と一緒に家出をした友人・村下と会った。村下は，家出と言っても一晩うろうろして家に戻っていた。栄太だけが戻らなかった。その理由を知っている村下。「おじさんの子どもに・・隠れて無茶苦茶されていたって」。かなりひどいいじめで，バットで殴られたり，ライターで火を付けられたり・・・。それを叔父に言えば，家を追い出すと脅されていた。「あいつ，元気でいますか？忘れないです。あいつがいつもしていたこと」と村下。それは，いつも公園に来て，落ち葉を集めて火を付けていた。それが燃え尽きるまで，ずっと見続けていた・・・。「なんであんなことしていたんだろう」。

　取調室。丹波「もう隠さなくていい。何をされたのか話してくれ」。風見も「君に不利にならないんだよ。言ったっていいじゃないか」。２人の言葉にも，何も話さない栄太。困った２人は，一旦廊下に出る。状況を季織と綴に伝える。誰も，なぜ栄太は話さないのか理解できない。季織は，父親の虐待を傷害罪としては訴えられないと言う。時効は５年。すでに間に合わなかった・・。季織は「そんな顔しないで。最後までやりなさい」と風見を激励する。取調室に戻る２人。栄太に別の話をする。「お父さんとおじさんの息子，その自身のことを聞いて欲しいんだ」と丹波。

　外に義父を呼び出した丹波と風見。実は，義父の体にもたくさんの傷跡があった。そう，義父自身も被虐待者。「躾何かじゃない。腹立ったから親父は殴った」と。そして「他のやり方を知らないから，栄太をそう言う風に・・・・栄太に恨みはない。許せないのは親父だ！」と自分の気持ちをやっと吐き出せた義父。

　「虐待は親子で続くんだ」と風見。

　さらに，叔父の家へ。まさふみは「お父さんがえこひいきするから」と暴力を振るったことを認めた。ただ，父親は一切手を挙げたことはない。まさふみは「お父さんに殴られたことはないけど，サッカーチームのコーチが・・・」と話し始めた。コーチによる暴力をうけていたのだった。

　この話を聞いて「あいつもお父さんもそんなことされていたんですか・・・だから僕に・・・」と栄太。風見は「やられていたから，やり返したんだ・・・そうなんだよ」。そしてやっと「傷はお父さんとまさふみにやられたんです」と認める栄太。風見が「なんでさっきあんな風に言ったの？」と言うと「すいません。毎日やられていたから，されていること感じないようにしないと辛くて耐えられないから」と栄太。父親ではない，他の宇宙人がやっていると思いこむことで，辛さを軽減させていた。そうしているうちに，だんだん本当のことのように思えてきて，記憶がごちゃごちゃになってしまっている。母親は手を出さなかったけれど，見て見ぬ振りをしていた。叔父の家に預けられると聞いて，逆にほっとしたという。少し離れていれば，義父も変わってくれるだろうと思って。

　小さな栄太が母親に連れられてくる。母は１週間で迎えに来ると言って，そのまま去っていってしまった。その時の母親の背中をしっかり覚えているという栄太。しかし，母親は１週間待っても，１ヶ月待っても迎えには来なかった。母親に会いたい栄太は，１人でアパートまで出かけていった。やっとたどり着いたが，母親は「ここに来ちゃダメ！」とドアを閉め，栄太を追い出した。

　「見捨てられたのかなって思いました」と栄太。風見が「今，お母さんのことどう思う？」と質問すると，栄太は「今ならわかります。お父さんを選んだのは仕方ないし。僕のためだってしてくれたことですから，感謝しています。と。友だちとよくケンカしたけれども，母親の悪口を言われるとどうしても許せなかった。実の父親は覚えていないし「たった１人の親だから」。そして栄太は「僕のことなんて言っていましたか？心配してくれましたか？えらいことして，迷惑かけちゃったな。会いに来たら謝らなきゃな・・・あえますよね？」と母親のことを気にかけ，会えると信じている。栄太の質問には答えず「会ったら何をして欲しい？」と質問する風見。栄太は「そりゃ，７つの時から会っていないし・・・だっこして欲しい」。
　母親と離れ叔父の家に行った後も，いじめはひどかった。「そのころは・・根性あるなって，先生に誉められたことあるんです。根性には自信あるんです」。義父やまさふみに暴力をふるわれ，我慢し通した栄太は「何をされても平気で，何も感じなくなった。ついでに笑うこと，忘れちゃいましたけどね」。そのころから，人が近づくだけでびくっと体が震えるようになった。「みんなが僕に乱暴するんだと思って」。ある日，朝起きたら髪の毛が真っ白になっていた・・・。一緒に家出をした友だちから聞いた，落ち葉に火を付けていたということは，良くやっていた。火を見ると安心するという。「落ち葉ってゴミでしょ？僕もゴミのようなもんじゃないですか。燃やすと火の粉が踊るんです。それを見るとほっとするというか」。

　栄太が家出をし，次に住むことになった建設会社の寮を尋ねた丹波と風見。社長はなかなか寮を見せたがらなかったが，２人は半ば強引に中へ。雑然とした寮。１つの部屋に，多数の男達が一緒に生活している。その中の若者が，シンナーを吸っていた。それを見つけると，その若者のところへ駆け寄り，暴力で制裁をくわえる社長。ケンカばかりしていた栄太を叩きのめしたことを自慢げに話す。

　ケンカばかりしていたのは「相手が悪いヤツだったから」と栄太。にらんできたり，お金を取ったり・・・。「そんなことされると，カッとして，体熱くなって，わけわかんなくなって，やられる前にやらなきゃ。暴力は最高の武器」という栄太。悪いヤツには暴力をふるってもいいという。「だってお父さんやまさふみが暴力をふるったのは，僕が悪かったからでしょ」。風見は「違うよ。君は悪くなった。悪いことしていないだろう？被害を受けたんだ」と教える。ただ，風見が疑問に思ったのは「これだけの傷を負ったんだから，傷つけられる人の気持ちだって・・」。栄太の答えは「わかんないです。人の気持ちなんて・・」。風見が「人は大切な物だろう？」と問いかけても「そうなんですかぁ？みんなはそう思っているんですか？そうなんだ・・」と初めて知ったかのような栄太。「人が何を思っているのか，考えられないのか？」とさらに尋ねる風見。丹波も「だから金が欲しいから人を殺したのか」と。「とんでもないことしちゃったと思っています」と栄太。犯行時の事を話し始める。公園で被害者の男性に出会い，「ちょっと金くれる？」と言ったら，被害者の男性は「ふざけるな！」と怒鳴り，背中を向けて去っていこうとした。「その背中見たら，別れたときの母さん思い出して，捨てられたときの背中思い出して・・・そこからは何も覚えていません」。丹波が「ゲームセンターで遊んだだろ」というと「お金持っていたって意味ないから・・・最後にゲームやってみたかったんです」。今までゲームセンターで遊んだことがなかった。お小遣いも少なかったし，働きだしても給料は少なかったし・・・。「すいませんでした」と謝る栄太。やりきれない丹波と風見。栄太は「お母さんに会いたかったな」と泣いた。
　そこでドアが開き，一課長が入ってくる。「時間だ」。一課長達に連れて行かれる栄太。その背中を見送る，丹波・風見・季織・綴の４人。栄太が車に乗り移送されるときには，シートが被さられているにもかかわらず，群がってくるマスコミ達・・・。

　少年事件課。無言の５人。沈黙を破るように坂上課長がみんなに指示を出し始める。「風見君と丹波君は，栄太君が送検されたことをお母さんに伝えてください。気持ちは胸の中にしまえるね。綴さん，カウンセリングの依頼が来ています。被害者のご家族よ。ご主人を亡くされて辛い時期ですので，慎重に」。季織は「虐待防止の指導をもう一度見直します。上に話して，徹底してもらいます」と。みんなを見渡し「私達にできることをやりましょ」と伝える坂上課長。
　それぞれが仕事を始める・・・。綴は，カウンセリングのため，被害者の家へ。季織は，資料を作り「上」にアピール。丹波と風見は，栄太の母親の元へ。栄太が送検されたことを告げる。風見が「お母さんも調査をうけることになります。栄太君のために，証言をしてあげてください」というと「今の生活が大事なんです」と母親はドアを閉めようとする。風見は，無理矢理ドアを開け「待てよ！それでもあんたは・・・栄太君は，誰からも大切にされていないと思ったんだ。自分は価値はないって。そう言う１７年間だったんだ。それがわからないのかよ！なんなんだ，お前は？・・被害者を殺したのは，栄太君だけど，あんたも被害者を殺したんだ！」とつかみかかる。母親は，ドアを閉め，部屋の中へ。「開けろよ！閉めんなよぉ～！栄太君は今だって・・・」と泣きながら叫ぶ風見。
　今回の殺人現場に向かい，手を合わせる２人。風見は「文科省へ帰ります。呼んでくれてありがとうございました」と。丹波は「栄太君は立ち直れるか？もう遅いか」と心配している。「そんなことないです。誰かが彼を思ってあげれば。親じゃなくったっていいんです」と風見が言うと「そうだよな。誰かでいいんだよな」と納得する丹波。風見は「彼はそう言う人と今まで会っていないんです。そうだと思います」。「そうだといいな」と丹波。「じゃぁな，エラ」と丹波が言うと「またな，ツル」と風見。丹波「またはないと願っているよ」。２人は，また別々の道へ・・・。