| 少年と少女がガード下の人気のない場所へ。２人でいいムードになるが・・・どこからか集団が現れ，少年があっと言う間にフェンスに針金で固定されてしまう。少女も仲間だった。そして，ハンマーで両膝をうち砕かれる。その一部始終を仲間がビデオで撮り続けていた・・・。捜査一課が現場に向かう。その中には丹波の姿も。手際よく犯行が行われていた。現場には，犯行の手順をマンガにした物が落ちていた。ゲームのように行われた強盗。人気も少ない場所で，目撃者もいない。 文部省の建物から勢いよく飛び出した風見。目的地に向かう前に・・綴の元へ。実は，風見の父親が職場で倒れて入院。ケンカ別れして以来，５年も会っていないので，１人では会いづらいから，綴を誘いに来たのだった。病室を訪れると，久しぶりにあった父は「仕事さぼっていいのか！また警察の研修に行ってているんじゃないだろうな。成績上がらないことやってどうする・・・なにをやっているんだ！なんのためにお前を官庁に・・」と怒鳴るばかり。そんな父親に「あんたのために生きてるんじゃないよ！！」と怒鳴り返す風見。 第２の犯行が行われる。今度の現場は自宅の部屋。同じように，針金で手足を縛られ，膝を砕かれていた。完璧な犯行。ただ，今回は向かいのマンションで犯行を目撃した男がいた。目撃者によると，犯人グループは少年達。しかも，ビデオ撮影をしていたと・・・。 警視庁の審議官・栗栖の公演を，季織の計らいで聞くことができた風見。栗栖の考えは「少年の事件は，厳しい罰ではなく原因を根本的に考え直すことが大切」と言うもの。「ボクの考えと同じだ」とうれしそうな風見。公演終了後，栗栖と言葉を交わすことができた風見。栗栖は，風見が警視庁に研修に行っていたことを知っていた。そのことを喜ぶ風見。そして栗栖は「いつでもいらっしゃい。丹波君といいコンビだそうじゃないか」といつでも研修に来れるようにしてくれると約束。「文科省に帰りたくなくなっちゃった」と風見。 少年事件課。丹波が，捜査協力のためにやってきた。坂上課長にだれとコンビを組みたいか聞かれ「あいつ以外なら・・・こんなおもちゃを飾るようなヤツ以外・・・」と丹波が言っていると，風見が登場。そう，風見が栗栖の計らいで研修に来ていたのだった。また，丹波・風見の「チーム」が誕生。 被害者が入院している病院。最初の被害者の少年のカウンセリングをしている綴。まだ事件のショックが強く，話せる状況じゃない。偶然廊下を歩いていた学生の姿でおびえる少年だった。第２の被害者も話をしようとしなかった。ただ，２人が帰ろうとすると「だったらしょうがないかな。仕返しされたんだったら」。少年２人，志村圭太と永井真二２人とも，去年の「新宿歌舞伎町男子中学生傷害致死事件」で逮捕されていた。全部で４人が逮捕され，家庭裁判所で審判をうけている。審判の結果は，初等少年院送致。すでに仮退院し，現在は保護観察中。残りの２人は，鈴木昭文と岩下輝夫。岩下輝夫には捜索願が出されていた。 １年前の被害者・松田紀一の家を訪れる２人。両親から話を聞く。事件は，ケンカの結果，紀一が死んでしまったという事になっている。父親は「ケンカするような子じゃない。一方的に暴行されたんです。相手の一方的な言い分だけで判断されてしまうなんて・・・」と。２人が訪問中に，紀一の担任だった村瀬が松田家を尋ねてきた。 捜査本部。昼御飯を食べずお菓子ばかり食べる風見を叱りつける丹波。その時，紀一の両親にはアリバイがあることが判明。操作のため出ていくメンバーに「本当に子どもがやったのかな。犯行が巧妙すぎませんか？子どもだけじゃできませんよ。他に誰か関わっているんじゃないかな・・」と風見。でも丹波は，それが今の子ども達だ・・・と取り合ってくれない。 紀一が通っていた中学校へ。担任の村瀬が，紀一と仲の良かった生徒達を連れてきた。まじめそうな子ども達。事件の話をし始めると，すすり泣く声が。丹波が生徒達にいろいろ聞いている間，村瀬は何をいらついているのか，ずっと爪をかんでいた。風見は「復讐するような子に見えないな」と。丹波はそれよりも気になることが・・・「お前のオヤジのこと，なんで綴が知っているんだ」。「つきあってますから」と風見。 その日の夜。綴と会っている風見。お昼のお弁当を今頃食べている。「丹波さんの前では食べられないよ」と風見。お弁当は綴の手作りだった。大好きな特撮のＤＶＤＢＯＸを買うため，ランチ代を浮かしていたのだった。綴は，風見と父親の仲を気にしている。風見と父親はいつも喧嘩腰で話をしている。父親は，国土交通省のノンキャリア。ノンキャリアのため思うように出世できず，ずっと風見に期待をかけていた。５年前の正月，父親の「俺の夢を代わりにかなえろ」という言葉に「ぶちっと切れた」風見「オレはオヤジの一部じゃない」。子どもの頃からずっとプレッシャーの中で生活してきた風見「綴ちゃんを見ていて，好きなことを力ぬいてやるのがストレスたまらないんだなって思った」。そして「パートナーとして・・」と切り出したが，「結婚？考えてない。カウンセリングの仕事もっと勉強しなくちゃ」と綴。「そうだよねぇ」と無理して明るく振る舞う風見・・・。 そのころ丹波家には，子どもと遊ぶ丹波の姿が。以前だったら，捜査本部に泊まり込んでいた丹波だったが，子どもができてからはそう言うことが無くなっていた。「大学出すまで，働かないと」と言う丹波。坂上課長は「一課長が，丹波君が丸くなって突っかかってこなくなって寂しいって言っていた」と伝えるが，気にしない丹波。そして，このとき，綴が風見の父にあったことを知る。「あなたも私に子どもができたとき，お父さんに会わせてくれたでしょ？」と坂上課長。 次の日。屋上で，いきなり丹波に殴られる風見。「妊娠なんてしていませんって！何勘違いしているんだよ。そう言う丹波さんは，できちゃった結婚だろ！武士なら切腹だよ！」と逆襲する風見。＜初めて勝った＞と喜んだ風見だが・・・。丹波に「結婚する気か？」と聞かれ「いけませんか？お兄さん」と答えた風見。また体が吹っ飛ぶ。「でも・・結婚する気ないって言われました」と風見が言うと，丹波はうれしそう。 街で鈴木昭文を探す丹波と風見。やっとゲームセンターで遊ぶ昭文を見つけた。今回の事件のことを伝える。でも明文は「弁護士に聞いて」としか言わない。なめた態度に腹を立てる丹波。次のターゲットは昭文と思われたが，丹波がガードをしないと言い張るために，風見が１人で昭文を監視する。 そんな中，夜，季織に誘われ，栗栖審議官と会食をすることになった。「定期的にあって欲しい」と言う栗栖。少年犯罪は，犯罪の抑止が大切で，教育の現場について教えて欲しいということだった。この言葉にうれしくなる風見。風見は「去年の中学の事件は，自分と同じでした。父と気持ちを通わせたことがありませんでした。ボクと彼は紙一重だったんです。分かれ道がどこにあったのか考えるのがボクの仕事なんじゃないかと思います」と。「何でも力になるよ」と言う栗栖に，栗栖が自分の父親だったら・・と思う風見だった。栗栖を見送った後，季織と２人になった。そこで季織から「プロポーズ断られたんだって？」と。すでにみんなが知っていると聞いて焦る風見。 風見は，昭文の監視を続けた。犬の散歩に出かけようとするのを見て油断すると，自転車で犬を連れ出す昭文。慌てて走って追いかけるが，途中で見失ってしまう。犬の鳴き声で，空き家に昭文が連れ込まれたのを発見。風見に気づいた犯人グループは慌てて逃げ出す。追いかける風見。やっと１人を袋小路に追い込む。でも，後ろから他のメンバーがやってきた。困惑する風見だったが，変装用のマスクが取れた子が・・・「顔ばれちゃった」と，風見に顔を見せる。他のメンバーも。そのグループは・・・中学校であった，紀一の友だちだった。信じられない風見。 １人ずつ事情聴取が行われた。一周忌の時，みんな松田家に集まった。その時に，犯人の１人が弁護士と一緒にやってきた。でも「友だちとライブ行くから早く帰ろうよ」と弁護士に言う少年は，まるで反省の色がない。それで，犯人達に仕返しをして二度と遊べなくしてやろうと，紀一の前で誓ったという。「みんなで計画を練って，役割を決めて，練習をして」。ビデオは，紀一に見せるために撮っていたという。 少年事件課。「復讐だったのね」と坂上課長。ビデオには，行方不明になっていた輝夫も同じ手口で襲われているところがうつっていたという。ただ，風見はビデオカメラのことが気になり，まだ納得しない。丹波が昔のように少年を取り調べているのを見て，止めにはいるが，取調室を追い出されてしまう。 風見は，松田家へ。両親に確認すると，ビデオテープは一度も持ってきたことがないと言う。一周忌には村瀬もきていた。村瀬は，犯人の少年の言葉に「恥を知りなさい！」と激怒。次に風見は，季織の元へ。教員データを見せて欲しいとお願いするが，「警視庁」の人間には見せられないと。ただし，自分の所の人間が見るには問題がない・・と，見せてくれた。データによると，村瀬は，教育委員会の調査を２回うけている。１回は体罰。もう１回は，去年の事件のことでであった。 丹波と一緒に村瀬の元へ向かう風見。村瀬が共犯者じゃないかと疑っていた。村瀬は，つかまった生徒達のことばかり心配していた。風見は，去年の事件の後，教育委員会の調査をうけていることを確認する。その問題は，自分のＨＰを作り，そこで加害者４人の実名を公表していたということだった。「怒りを抑えられなくて，あの子達と一緒にやったんじゃないですか」と問いつめる風見。村瀬は「殺してやりたいと思った。でもやってはいません。何も知りません」と認めない。捜査本部に戻る。捜査の結果，村瀬のアリバイが確定した。丹波は「事件とは関係ない。大人なら仕返ししてやりたくても，我慢する。オレだって我慢できたんだ。綴だって・・・」と自らの体験から話す。 病院では，綴が永井のカウンセリングを続けていた。そして自分の体験を永井に語る。「仕返ししようとしたけど，ある人が止めてくれた。その人，今も大切な人」と綴。「思い出したことあるんだ」と話し出す永井。少年事件課では，ビデオを見直していた。永井の証言で「足長おじさんの言うとおりに」と少年達が話しながら犯行を行っていたと言うのがわかった。ビデオを解析した結果，確かにその言葉が聞こえてきた。さらに「足長おじさん，見ていますか？」と言う声も。 ビデオについて，撮影していた少女に問いただす。会ったこともない人から指示をされたという。復讐すると誓ったけれど，やり方もわからないし，そんな勇気もなかった。みんなが復讐を忘れたころ，手紙が来た。それには，犯人の名前・住所が書いてあり，写真も同封されていた。１日の行動についても詳しく書いてあった。復讐のやり方が細かく指示してあり，ハンマーを購入するお金も入っていたと言う。ビデオテープは，指示通りに渋谷のコインロッカーに入れておいた。手紙には名前もなかったので，みんなで「足長おじさん」と呼んでいた。これだけ細かく指示されれば，子ども達だけで犯行を行うのは可能だった。村瀬の事情聴取が行われる。ただ，風見は丹波に捜査をさせてもらえなかった。納得行かない風見は，栗栖の元へ。 村瀬の事情聴取。丹波は「足長おじさん，最初の被害者は？」と村瀬に問いただす。村瀬は，全く認めない。偶然，テレビに栗栖の顔が映し出される。「あの人，警察の人だったんですね。お通夜にも一周忌にも来ていたんですけど。捜査していたんですね」と村瀬。疑問を抱く丹波。調べてみると，紀一の両親は再婚同士で，現在の父親は実の父ではなかった。近所の聞き込みで，実の父親ついてわかったことは「警察のお偉いさん」ということだった。「文科省呼べ！」と丹波。 そのころ，風見は栗栖に，事件の経過を詳しく話し，自分が捜査を続けられるように懇願する。風見が退席した後，何かを考えている栗栖。風見が少年事件課に戻ると，栗栖が紀一の実の父親だと言うことを教えられた。丹波は，来栖が風見を送り込んできたのは「情報を聞くためじゃないか？」と。すぐに理解できない風見。１人になって考えている・・・ 丹波家。坂上課長は「まずいことになりそうね。相手が大きすぎる」。それに対して丹波は「こいつが大きくなるまで首になるわけにはいかない」と。風見は，入院中の父親の元へ。眠っていた父親が目を覚ました。４０年間官庁勤めをしてきた父親に，相談してみるが，父親は「上司の不正は見て見ぬ振りをしろ。自分の信念はどこにある？不正は身をもって隠して差し上げろ！」と言うだけだった。＜この人にはわかってもらえない・・・＞ 捜査一課長・坂上課長・季織の３人がこっそり顔を合わせる。季織は「信じられない」。坂上課長は「つらいわ」と。季織は「トップの方を追いつめるのは，彼のために良くない」とわかっているが・・・。一課長に「初めて意見が一致したな」と言われ「私の考え間違っているかな」と季織。「相手が悪すぎる」と一課長。丹波と風見の２人。丹波は悩む風見に「綴と一緒になりたいなら，これからのことを考えろ」と保守的な意見を・・。 捜査一課長・坂上課長・季織の元へ，それぞれの上司がやってきた。風見の研修を終わらせ，丹波も捜査からはずすというのだった。栗栖が動いたに違いない。また３人が顔を合わせる。季織は「こういうの古くさくてすごい腹が立つ」と激怒。「どうします？」と坂上課長。一課長は，黙って立ち去る。３人がそれぞれとった行動は・・・。捜査一課。課長が，丹波に捜査をはずす事を伝える。すんなり受け入れる丹波に「殴りかかってこないのか？」と課長。丹波は「そういうのは卒業した」と。課長は「殴りかかってこいよ！・・一度は目をつぶろうとしたよ。だけど，今時圧力だよ!?そんなんで従う人間がこん中にいると思ってんのか!?丹波，昼寝は終わりだ」。文科省。戻ってきた風見に「何で帰ってきたの」と季織。風見は「季織ちゃんのために・・」と言うが，「研修に戻りなさい！」と季織。「事実を公表できなくていいの!?子ども達だけに罪を押しつけて終わりにしていいの!?部下の悩みを消すのも私の仕事なの」。保育室。丹波が我が子をあやしている。坂上課長がそんな丹波を見つける。「仕事に戻って。子どもかわいがるだけが，父親の役目じゃないでしょ。この子，あなたの背中見ているんだからね！背中見せて！」と坂上課長。この言葉に，やる気を取り戻す丹波。風見もやってきた。 ２人が向かったのは，審議官室。「任意で署までご同行していただきたい」と丹波。初めは「冗談でしょ」と認めなかった栗栖だったが，２人の真剣な目を見て・・・「圧力というのは，もはや時代遅れか・・」と観念する。その時，栗栖がリモコンのスイッチを押すと，犯行ビデオが流れはじめた。「足長おじさんはあなたですね」と風見。「テープがすり切れてしまいそうだよ」と栗栖。捜査本部が置かれている警察署前には，一課長と坂上課長が待っていた。栗栖は「風見君は思ったより優秀な捜査員でした」と。「そのことをお伝えしておくべきでした」と坂上課長。 取調室。「講演会で話したことはウソだったんですか」と風見。丹波は「オレが話を聞く」と。しかし，栗栖が「風見君と話がしたい。風見君に誤解させたまま別れたいくない」。「相手は子どもじゃないぞ」と風見に耳打ちし，交代する丹波。栗栖は「公人としてはそう考えている。でも，私は父親でもあるんだよ」。子どもの思い出を語る栗栖。家庭のことを顧みなかったため，離婚。それでも毎月１回は会っていたが，新しい父親ができたときに，もうあわない方がいいだろうと，会うことをやめた。「１年前の事件のことを教えてください」と風見。「因縁を付けられてのリンチだった。だから刑事処分だと思ったら，保護処分だった」。それは，ケンカとして扱われたからだった。紀一が持っていた本で身を守ったことが「ケンカを仕掛けた」と判断されてしまった。そして，加害者からの香典を受け取ったことが，加害者は反省して償おうとしている証拠となった。たった６ヶ月で家に戻ってきた加害者達。事件で子どもを亡くした親は，まずショックを受ける。そして次に深い悲しみの状態に。それを越えると怒りになり，さらに自分を責めることになる。「一周忌のこと教えてください」と風見。一周忌での加害者の言葉も，友だちの誓いも聞いていた栗栖。「でも，復讐できなかった」と風見。「彼らだけでできるわけが無いじゃないか。だから望みを叶えてやった」と栗須。最初は心配だから現場に行った。「あの子達はよくやった」。「手を出したんじゃ・・・？」と丹波。栗栖は「友人と親じゃ，怒りの質が違ったんだね。何回か蹴ったら動かなくなった。車の載せて，海に向かった」。「沈めたんですか？」と丹波。 「どうして仕返しなんて・・・そんな単純な犯罪を・・」と風見。栗栖は「なら，私の息子返してくれ。人は理屈だけで生きていないんだ」。感情だけで判断しはじめてしまう。加害者は法律で守られている。被害者の生きる人権は奪われたままなのに。「傷ついたのは，子どもだけじゃない。友人も，家族も，みんな一緒に殺されたようなもんだ。なのにあの程度の罰でいいのか!?あんなんで済むわけないだろう！だから正当と思われる罰を与えてやった」。「少年法が変わったじゃないですか。少しずつですけど，被害者の権利が守られようとしている。それなのに・・」と風見。栗栖は「法律が悪いんじゃない。悪いのは人間だ。紀一を殺した少年達が・・」。「民事裁判を起こせば・・」と風見。栗栖は「民事裁判の相手は親だ。子ども達が償うわけじゃない」。「だけど，やっちゃいけないことがある。復讐や仕返しなんかしても悲劇しか生まれないじゃないですか。あなたが事件を生んだんです。あなたが被害者を作ったんですよ」と風見が問いつめる。栗須は「君の恋人が殺されても言えるか？」と風見に。「自分の子どもが殺されてそう言えるか？」と丹波に。「答えてくれないかね。私は後悔していない。堂々と胸を張って手錠をうけようじゃないか。世間の審判をうけようじゃないか」と開き直る栗栖。 丹波「私にも子どもがいる。もし殺されたら，仕返ししたくなるでしょう。しかし，世の中は気持ちだけじゃ動けない。妹も犯罪の被害者です。事件の後，私だって荒れた。でも殺さなかった。秩序という物がなくなるからです。あなたが堂々と胸を張ってつかまったら，また悲劇が起こる。こんなことは起きちゃいけない。惨めにつかまっていただきたい。世間に軽蔑されてつかまってください」と。風見は「子どもを犯罪者にしたんです。あの子達は，しばらく学校に行けない。友だちとも遊べない。人を傷つけたことを，一生背負って生きていくんです。許されない。子どもに罪を負わせたことは・・」。 捜査一課長に連行される栗須。廊下では，丹波と風見が見つめていた。その二人の姿を見て・・・立ち止まった栗須は「君のコートを・・」と一課長に。「おかけしますか？」と一課長。コートを頭からかぶり，マスコミに囲まれながら，惨めに連行される栗須の姿・・・。 丹波と風見が心痛な面もちで歩いていると，「ご苦労様」と綴がやってくる。「お父さんのお見舞いに一緒に行こうと思って」と綴。そのまま３人で病室へ。父親は，文科省の上司と思い起きあがろうとするが，警察の人間と知り，態度が一変。「自分の仕事をしないか！遊んでいる暇ないだろう！いつになったら立派になれる！私が生きているうちに，よそ様より一番できる子になってくれ。私が叶わなかった・・・」と相変わらずだ。すると丹波が「立派な官僚です。最後まで子どもの気持ちを知ろうと力を尽くした。誰でもできる事じゃない」と。綴も「罪を犯しても，風見君に話を聞いてもらって，救われた子ども達がいっぱいいるんです。私も立派だと思います。出世はできないかも知れないけど」。風見は「事件が無くならない限り，ボクは警察の仕事やめないよ。これだけは父さんの言うこと聞けない」と宣言。「勝手にしろ」と父親。ただし，今までの表情とは一寸違う・・・。「今日さ，子供を失ったお父さんと話をしたんだ。父親の気持ちが少しだけ分かったよ。もしボクが誰かに殺されたら？」と風見が質問すると「出世してたら線香あげてやる」と父親。父親は，綴の存在が気になるが，丹波の手前「今度ゆっくり紹介するよ」と，風見。「また来るね。時間はあるんだ・・・ゆっくり話そう」。 丹波と風見の２人。父親の態度を「愛してくれていると言うことだ」と丹波。これから忙しくなるだろうという丹波「今は警察をだれも信じないだろう・・」と去っていこうとする。風見は「そんなことないです。みんながあんな人じゃないです。丹波さんみたいな人もいます」と。「慰めるな」と丹波。風見が「オレ，綴さんと・・」と言いかけると，「またお兄さんなんて言ったらな・・・」と丹波。「言いませんよ・・・おにいちゃま」と風見。じゃれあう２人。「おにいちゃまなんていうな！」と丹波は去っていく。１人になった風見は，夜の街を歩いていく・・・。 |