| ２０００年７月１日〜全１１回 毎週土曜日21:00〜21:54 日テレ 共演者：深田恭子 宮沢りえ 佐野史郎 筧利夫 八千草薫 他 |
| 壱ノ膳 | 史上最強の大食い男登場！！ | 弐ノ膳 | 大食漢力士ラーメン対決!!嘘つき姫の涙 |
| 参ノ膳 | 激辛カレー対決!!魔術・・・心閉ざした少女 | 四ノ膳 | 美女かき氷対決!!雪山に消えた恋の呪い |
| 伍ノ膳 | 大福モチ対決!!イルカに乗った仮面少年 | 六ノ膳 | 許せ九官鳥よ・・・炎の友情！納涼焼き鳥対決 |
| 七ノ膳 | あなたが僕の母さん!?涙のコロッケ対決 | 八ノ膳 | 怒りの食欲!!南米王者ステーキ大決戦 |
| 九ノ膳 | チャンプに迫る病魔・・・わんこそば７１３杯分の裏切り | 拾ノ膳 | 酒乱占師回転寿司挑戦！家族捨てた父の無償愛 |
| 終ノ膳 | 誇り高き戦死・・・九官鳥の正体はＫ |
| 「フードファイトスペシャル 香港死闘篇」 ２００１年４月１日（日）２１：５０〜２３：４５ あらすじはこちらへ・・・  |
| 「フードファイト 深夜特急死闘篇」 ２００１年９月２９日（土） あらすじはこちらへ・・・ |
| 終ノ膳 つくし園。子供たちと楽しく遊んでいる満。その時麻奈美は，園長に満と別れたことを報告していた。満には好きな人がいたと。その話を裕太が聞いていて，他の子供たちにもばれてしまう。満は演技をし続け，中流家庭の麻奈美より，冴香を選ぶと・・・。裕太は，満に「一人で食ってろ」とスタッフカードを投げつけた。 宮園会長は，フードファイトを閉じることをきめていた。大損した国会議員が，警察を動かし摘発に乗り出してきたという。そこでラストフードファイトに対して，冴香に賭を申し出ていた。フードファイト会場に呼び出された満。今度の試合がラストフードファイトだと言うことを知らされる。宮園は「いつか再開させるかもしれない。ただし，それは次の会長がきめること」と。冴香との賭とは，チャンプが勝てば，宮園全ての権利を冴香に譲り，挑戦者が勝てば，宮園の全財産は慈善団体に寄付される，というものだった。対戦メニューは，おにぎり。そして挑戦者は・・・「私だ」と宮園。満が勝てば，ボーナスをすきなだけくれるといわれる。そこで，加賀見グループの株を俊介に返すことに。喜ぶ俊介とジイ。「ただし，１つ条件がある」と満・・・・。 如月は，冴香にあることを告げていた。宮園は，何十万人かに一人という特異体質・・・胃が二つあるという。まともに戦えば，満に勝ち目はない。「私をだましたのね」と冴香。 喫茶店で，麻奈美と俊介がデートをしている。俊介は，自分が足長おじさんだったと名乗り出す。子供たちへの寄付に，加賀見グループの名前を出して，宣伝に使いたくなかったとか，麻奈美が疑わないような言葉を使いながら・・・。今になって名乗り出たのは，麻奈美があしながおじさんに思いを寄せていると，満がかわいそうだからと。そんな俊介の言葉を信じる麻奈美。でも，俊介が言っている言葉は，全て手に書いてあった。２人が立ち去ったあと，そのすぐそばのテーブルで話を聞いている満の姿があった。「そうだ，それでいい・・・」。そして満は突然苦しみだした・・・。 公園のジャングルジムの上。満と九太郎がいた。九太郎とお別れをする満。九太郎は「病気だろ」と満の病気を見抜いていた。「夜中にあれだけ苦しめば，鳥でもわかる」と。満は，ペットショップがいいと言うが，九太郎は自分で新しい飼い主を捜す，と飛び立っていった。そこへ如月が来る。九太郎との話を聞いていたのか，「あんな潰瘍なおるわけないんだ。なぜ気づかなかったんだ」。 フードファイト。満が会場に行くと，いつもと様子が違う。客がいない。そこへお遍路さんの格好をした宮園がやってきた。今回，賭をしているのは，宮園夫妻と満だけ。冴香だけが客だった。そんな中，静かにラストフードファイトが始まる・・・。如月は，裕太を捕まえ，満の病気のことを話す。あのまま病状が進んでいれば「かなりやばい状態」だという。そして「麻奈美さんを捜せ！」。満のことをとめられるのは，麻奈美だけ・・・。 １Ｒ。黙々と食べ続ける２人。１Ｒ終了時，１６：１６と互角の戦い。廊下であった２人。満は「２つの胃なんて，そんなバカな話があるか」と。実は，その通り，宮園は特異体質ではなかった。２つ目の胃は，ガン細胞の固まり。すでにあちこちに転移して，手遅れの状態。冴香と結婚したころから，ガンがあったという。口約束だけの今回の賭。どっちが勝っても，冴香に財産が行くことになっていた。「やめだ。ばかげている」と満。宮園は「男はバカな勝負が大好きだ」。満は「わざと負けてやりたいが，オレもカッコつけたいんでね」。 遊園地でデートしていた，俊介と麻奈美。俊介が麻奈美にキスをしようとすると，突然泣き出す。「もう少し前だったら，あこがれからすきになれたのに。今はまだだめです」と麻奈美。俊介は「あしながおじさんを名乗る資格はない。実はボクも偽物なんだ。本当のあしながおじさんは満君だ」と。そこへ裕太もやってきて，フードファイトのことを話す。「僕たちのために，つくし園のために，ずっと食べ続けて，もう体はボロボロなんだ。このままじゃ死んじゃうかも。麻奈美姉ちゃん，とめて！」。駆け出す麻奈美。そのころ，胃痛に苦しみ出す満の姿があった・・。 ２Ｒ終了。冴香は，満に「勝ってくれないと困るじゃない。無一文で投げ出されるのよ」と文句を言う。満は「会長はお前のために食っているんだ。今までの扱いは，愛していたからだ」と。「お前に感情を持たせるため，金より大事な物があることを知らせるために・・・」。そして宮園のガンのことを告げる。なぜ食べられるのか不思議がる冴香に「死ぬ気で食ってんだよ！」。 ３Ｒ。宮園の食べる姿を見て，冴香は厨房に入り，おにぎりを握り出す。宮園は，それを知らないが，そのおにぎりを「うまい！うまいよぉぉ」と感動詞ながら食べはじめる。一方，満は，苦しみだし，全く食べられなくなっていた。そのころ，麻奈美と裕太がフードファイト会場へ入ろうとするが，スタッフカードを投げつけてしまい，裕太ですら入れない。そこで，会長に直訴に行こうと，会長室へ。しかし，そこには誰もいない。ただ，モニターがフードファイトの様子を映し出していた。満は，かなり痛むのか，苦しみで顔がゆがむ。「悪いが，もう限界だ。すまない」と今までの対戦を思い出している。そんな満の姿を，じっと見つめていた麻奈美「食べて！」。１１階の会長室から地下のフードファイト会場まで声が届くわけがない。でも，確かに満には届いていた。麻奈美の「食べて！」の声が。猛然と食べはじめる満。開いていた差も縮まり，３Ｒ終了。カウンターは，７７：７７。如月が「フードファイトにドローなんてない！計量しろ！」と叫ぶ。すると満が「待って。その必要はない。オレの・・・」と言いかけると，宮園の右手から，一握りのご飯が・・・。「勝ちだ」と満。フードファイト会場を見渡した宮園が倒れ込む。冴香が，宮園の元へ。宮園も，冴香がおにぎりを握ってくれたことを知る。そして満の「オレの胃袋は宇宙だ。宇宙に終わりはない」という言葉を聞いて息絶える宮園。ッ一人，会場を立ち去る満。 宮園の初七日。墓前には冴香一人。そこへ如月。如月に冴香は「いつか必ずフードファイトを再開させるわ。その時までに，本物の医師免許を取って置いてちょうだい」と。そして，一人飛び立っていた九太郎は，大好きな中澤の元へ。モーニング娘。全員がそろっていたが，中澤も「鳥は怖い」と逃げだし，みんなも逃げ出してしまった。 つくし園。加賀見グループが元に戻り，俊介は，以前のように子供たちにプレゼントを配っていた。そしてジイに「ボクがこの子たちのあしながおじさんになる。彼の代わりにね」と。麻奈美への下心は全くないという。そして，彼女募集中の俊介には，「パイナップルプリンセス」かすみが。２人は，カップルに？外では，寂しそうな裕太がいた。「満兄ちゃん，どこいっちゃっているんだろう」。園長も，警察や都内の病院に問い合わせをしたが，満は見つからないと言う。「どこかでのたれ死んじゃっているんじゃ」と心配する裕太。麻奈美は「必ず帰ってきてくれる。あのとき，一瞬だけど心がつながったから」と。園長も「満を信じる。あの子が帰ってくる場所は，このつくし園しかない」。そこへ九太郎もやってきた。 ある牛丼や。大きなどんぶりにほとんど手を付けない客がいた・・・そう満。手から箸が落ち，テーブルにそのまま突っ伏して動かなくなる・・・・。 （エンドロール＆提供後） その牛丼屋のそのカウンターには，きれいになったどんぶりとお椀，そしてきれいにそろえられた箸が・・・。  |
| 拾の膳 満と麻奈美がデート中，よく当たるという占いの行列を見つける。その占いは，酒を飲み息を顔に吹きかけて占うという物。２人は占ってもらうのだが・・。麻奈美はバラ色の人生。幸せな結婚をし，子宝にも恵まれる。一方満は「珍しい相をしてる」と。一人孤独に暮らし，最期を見とってくれる人もいない人生を送る。「幸せなど必要のない人生」だと。怒った満は，麻奈美と一緒に行ってしまう。その背中に「幸せになれるはずがないんだ。君の相は，ボクの相と同じなんだ」と占い師。満は，占い師の言葉にかなり不機嫌になっている。そんな満に，麻奈美は「私の幸せをわけてあげます。あなたがそばにいてくれればいいから」と，優しく満の手に自分の手を乗せる。 そのころ，宮園夫妻はレストランで食事中。宮園は冴香の父親の話をする。本当の父親が出て言ってから，新しい父親が来たが，その父親の虐待がひどかった。でも，冴香は，虐待はなくても，本当の父親は避けに逃げ込むひどい人だったと。 つくし園で，麻奈美が園長に満とつきあい始めたことを報告する。すると立ち聞きしていた子供たちは「できちゃった結婚だぁ」と気が早い。園長は，麻奈美に「ありがとう」と。「満が誰かを愛することはないと思っていた」。満は，誰かを愛して裏切られたら，家族でさえひどい扱いするのに他人が優しくしてくれるはずがない，と怖がって，強がって，自分の殻に閉じこもってしまう，そんな子供だった。その子供の時の姿が，今でも見え隠れする。ちょうどその時，満がやってきた。子供たちは紙吹雪でお祝い。裕太は，満にビンタをして「順序が逆だろ」。ちゃんと「できちゃった結婚」じゃないことは説明するが。そんな騒ぎを，花束を持って呆然と聞いている人物がいた・・・俊介。俊介はそのまま立ち去り，自分の屋台でやけ酒を飲んだ・・・。 会社帰り，偶然，あの占い師と出会う満。無銭飲食で店から追い出されているところで，仕方なくお金を払って助けることに。占い師・菅原は「自分の運を試していただけだ。金ならある」と懐から札束を放り投げる。酒を飲んで適当に占っていたら，評判がよく，かなりの儲けになるらしい。人は，気休めでもいいからいいことを言ってもらいたい。そういう菅原に「オレには全然いいこと言ってくれなかった」。でも，菅原は「あれは悪いことじゃない。君は勝負の世界に生きているんだろう？勝負の世界に必要なのは運。その運は，自分の感に頼っている。その感を研ぎ澄ませるには，孤独が必要」と。勝負には幸せは必要ない。孤独に英雄として死んでいったセナ，幸せな結婚をし勝負の世界から引退するアレッジ・・どちらを取るか。「勝つには彼女と別れろ。勝利の女神は嫉妬深い」。そういう菅原にも，昔は守るべき家族がいた。でも，運に見放され，何をやってもダメ。そして孤独を選んでから，勝負運が戻ってきたという。 満は家に帰り，麻奈美の手料理をおいしそうに食べている。幸せを感じている。そのころ，宮園は菅原に声をかけていた。宮園が「娘に会いたくないか？」と言うと，菅原は「冴香に？」。娘が幸せなら会う気はないという菅原に，結婚した相手がひどい奴で無一文で放り出したらどうするか，と宮園。そして，フードファイトに挑戦することをすすめる・・・。 満の家では，食事も終わり，一見幸せそうな２人。だが，満はぼーっとしている。麻奈美が心配すると「幸せだなって。怖いぐらい」と満。菅原の言葉を思い出していたのだった・・・・。 会長室。次のメニューが回転寿司と伝えられる。そして挑戦者は・・・菅原。この対戦者の名前に驚いたのは冴香。そう，冴香の実の父親だったのだ。冴香は「父親なんかいないんですから」と席を外す。 居酒屋で，満と菅原。フードファイトを施設の子供たちのためにやっているというのは「事実だけど真実ではない」という菅原。勝負は「自分のためにやっている」と。勝負の世界から抜けられないから，フードファイトを続けいているじゃないかという。満は「フードファイトは，運も感もない。ただ食べるだけだ」。ふと見ると，菅原の前には大量の皿。菅原は，酔えば酔うほど食べられる体質だった。食べる量で言えば，満と互角。そうなると「あとは勝負運」。「孤独に死ぬ覚悟はあるのか」と満を問いただす。満は「勝利の女神の嫉妬をかっても，彼女と別れたくない」と。そんな満に「のんびりと結婚すればいい」と「関白宣言」を捧げる菅原。 満の家には，いつも麻奈美がいる。考え込んでいる満に「占い師の言葉をまだ気にしているんですか？」と。満は，麻奈美の結婚相手が他の人だったらということが考えられるかと。麻奈美は，たとえ足長おじさんでも「あこがれと現実は違うんです。私はどこにも行ったりはしません」。 フードファイト当日。会場には如月の姿も。公認のドクターが高齢で，やぶ医者だったので復活したのだった。会場に入ってきた満は，幸せそうな顔をしている。「緊張感がない」と心配する如月。菅原も「まるでふぬけだ。勝負師の顔じゃない」と。満はあわてて引き締めるが・・・。 会長室では，冴香が父親を出してきたことに文句を言っている。宮園は「娘のために勝つだろう。負ければ無一文で放り出すと言っておいた。ただの脅しだ・・・そうとは限らないかな」と何か考えている様子。 一方，フードファイト中の満は，いつもと違ってかなり苦しそう。もう限界に来ているようだ。１Ｒ終了。２９：２６。菅原の優勢。満は外に出て顔を洗い，「なんで食えないんだよ・・これが勝利の女神の嫉妬？」。そこへ冴香がやってきて「勝ってもらわないと困る」。父親に助けられたと思いたくないし，父親に助けたと思わせたくないと。「お願い勝って」と満に抱きつく。そこへ麻奈美がやってきて，その現場を見てしまう。サンドイッチを作って差し入れに来たという。しかし，そのまま走り去ってしまう。満は追いかけるが姿を見失う。 ２Ｒ。満は全く食べられず，うつむいたまま。５３：２６。「このまま試合放棄か？」と菅原。「守るべき物の存在はじゃまだ。娘や家族なんてどうでもいいと思えなくちゃ勝てない」。「勝利の女神は，誰もが求める幸せに背を向けた物だけに伝説を与える」ひとりぼっちの生活じゃないと勝てないが，それは寂しい生活。「だから私が勝ってやる」と菅原。 ３Ｒ開始。「いつも何かに反発してきた。空腹や社会からの冷たい目，学歴に反発して食ってきた。だけど今は・・反発する物なんかない」。「どっちにするんだ。フードファイトなんかやめて，麻奈美さんと一緒に・・・それともオレは・・・」。しばらく考え込み，急に食べ始める満。泣きながら，食べ続ける満。終了のベルが鳴って，９８：９９と満が勝利。それでも，食べて，食べて・・・。如月が「もういんだ！」と無理矢理と目にはいるまで食べ続け・・・。勝っても全然うれしくない。「あんたやっぱり娘のために戦っていた。だからオレに負けたんだ」と。菅原は「彼女を捨てたんだな」。「オレの胃袋は宇宙だ。オレは伝説になる」。いつもの自信たっぷりの表情ではなく，悲しげな顔で言い放つ満・・・。 この勝負を見届けた宮園と冴香。宮園の話では，菅原はこの勝負，１滴もお酒を飲まずに戦った。宮園は「勝負師としては甘すぎる」と言うが・・。 菅原は，酒占いから手相占いに変えていた。そこへ来たのは冴香。菅原が「親の愛情受けずに育ちましたね。ひどい父親だ。恨んでますね」と。冴香は「全然当たっていない。父親のこと恨んでなんかいない」と。菅原は「幸せになりますよ。世界一」と見送る。 つくし園から出てくる麻奈美を待っていた満。昼間のこと，全然説明していなかったからと。自分の早とちりだという麻奈美に，満は・・・。「ボクのために会長と別れる決心をしてくれたんだ」と。冴香が第１志望で，麻奈美はすべり止め，とひどいことを言う。「すぐに素敵な人見つかりますよ」と。麻奈美は，満の言葉に傷つき，泣きながら去っていく・・・。それを見つめる満は，拳を握りしめていた。 満は家に帰り，ぼーっと外を眺めている。九太郎に「あの葉っぱが落ちたら，オレは死んでしまうかもしれない」と。そして，涙を浮かべながら「道化師のソネット」を歌い出す・・・ |
| 九ノ膳 宮園総合食品に麻奈美がやってきた。受付で満を呼びだしてもらおうとするが，社員の中に「井原満」はいない。下請けの清掃業社には「井原満」がいるという。麻奈美は不思議がっていたが，そこで偶然，清掃中の満と会ってしまう。満は「黙っていてください」と懇願するが，麻奈美は園長や子供たちをだましていることを許せない。「嫌いです。うそをつく人は大嫌い！」と飛び出していってしまう。 そのころ，如月は，冴香に胃のレントゲン写真を見せていた。満の物だったが，大きな影・・潰瘍ができていた。放っておけば命の危険もあるという。冴香はそれを会長に伝えるが「予定通り，試合は行う。このチャンスを逃すことはない」。これを機会に，満を負けさせ，新しいチャンプをだそうともくろんでいる。 つくし園では，園長が満に相談している。ボランティアのかすみが，満のことを兄・とおるだと思いこんでいるという。かすみもつくし園で育ち，兄を捜すためにボランティアとして来ていたのだった。しかし「事故で死んだなんて言えないですよね」と満。園長は「生きて行くには，夢や希望・・支えが必要。どこかに家族がいるという心強さがある」と。園長は，男の子が映っている写真を取り出す。満ととおると，そしてもう一人の少年・・。 満が部屋に戻ると，豪華な料理が待っていた。九太郎が作るわけはなく，冴香の手料理だった。冴香の親切にちょっと疑問を持ちながらも，おいしそうに食べる満。冴香は満の食べっぷりを観察している。冴香は「そうやって食べ続けるのね。引退するまで。引退したら正社員として迎えてあげる」と。満は「どうせなら，昨日までになりたかった」。 喫茶店で満とかすみが話をしている。かすみは満を「お兄さん」と呼んでみるが，満は「お兄さんは・・・幸せに暮らしているよ。かすみちゃんが養女に行った後，別の家に養子に行ったような，行かないような・・・」。「一目会いたいだけ」というかすみに「連絡とってみる」と言ってしまう満。かすみがうれしそうに去っていった後，「とおるの妹か」と如月。 その如月と一緒に会長室へ向かう。そこで次のメニューがわんこそばと知らされる。そして「挑戦者早く呼べよ」と満が言うが，すでにそこに挑戦者がいた。そう今回の挑戦者は，如月だった。河原で話す，満と如月。「とおると３人でよく遊んだな」。そう園長の写真のもう一人の少年は，如月だった。「６つも年下のオレは，お前によくいじめられていた」と満。とおるはやさしくていい人で生きていれば「理想の兄貴」だった。どうして挑戦者になったのか不思議がる満に，如月は「オレもつくし園を出た，大学も言っていない偽医者だ。追い出される前に大金をもらっておこうと思ってな」。満は「素人が勝てるはず無い」というが，如月には勝つ自信があった。満にレントゲン写真を見せる。大きな潰瘍があり「次の試合で，お前は必ず負ける。その相手がオレでもいいだろう。無限の宇宙でも，必ず終わりが来る」と如月。 つくし園では，麻奈美がブランコで考え事をしていた。そこへ裕太が「ばれちゃったんだって？」と。裕太は全部知っていた。裕太は「オレのお子さま電話相談室に相談しなよ」と。麻奈美は，満にうそをつかれた園長がかわいそうという。でも裕太は「そう思わせておけば」と。裕太が父親から虐待を受けているとき，考えていたのは「これは本当の親じゃない。本当の親は別の所にいるんだ」と。「そうすれば，幸せでいられる。嘘だとしても」と裕太。 満は家で，九太郎を前に考え込んでいた。「もしもオレが死んだらどうする？」。九太郎は「新しい飼い主を捜す・・・人はみんな死ぬ。鳥もみんな死ぬ」。 フードファイト。満と如月の対決が始まる。２人とも同じペースで食べ始めるが，時々胃が苦しいのか食べるのが止まる満。そのころ，俊介はつくし園に来ていた。麻奈美はいなかったが，「私じゃダメですか？」というかすみと話をする。かすみは，兄との思い出を話す。小さい頃両親を亡くしたかすみは，兄にいつもくっついていた。でも，養女の話が来たのは自分だけ。一人じゃイヤだとだだをこねると，とおるは「お前に幸せになって欲しい」と。そして，ボロボロの靴を見て「お前に似合う，赤井靴を買ってあげる」と約束してくれた。でも，かすみが養女に行く日，朝でかけていったとおるは帰ってこなかった。そのまま会うこともなく，１２年がすぎていった・・・。 フードファイト１Ｒは，１２０：１１７で如月が優勢。如月は「お前まで，オレが殺すことになるのか。とおるを殺したのもオレだ」と。１２年前，かすみが養女に行く朝，とおるは靴屋の前で立ちすくんでいた。買ってあげたいくつには，お金が足りない。それをみた如月は「金がねぇなら盗んじまえ」と。すると，とおるは靴を盗んで飛び出していった・・・そこへトラックが来てはねられてしまった。如月の目の前で，とおるは死んでいった。「優等生で，いい子ちゃんだったあいつが気に入らなかった。だから万引きしてしかられているところを見たかっただけなのに・・・」。満が「ずっと後悔していたんだ」というと，如月は「していない。お前の潰瘍を見つけたとき，すぐに挑戦者に名乗り出たぐらいだからな」。この会話を聞いていた裕太は「潰瘍ってなに？悪い病気？」と心配する。満は「心理作戦だよ。心配するな」と笑顔。 ２Ｒ。ペースは如月より遅いながらも食べ続ける満を見て「なぜ食える？誤診か？」と心配する宮園会長。冴香が「プライドだけで食べているんでしょう」というと，会長は「それなら勝てる」と。如月の胃では，人の３倍の胃酸が出ているという。如月は，自分で胃酸が３倍出る薬を調合し，それを見せて挑戦させて欲しいと言い出した。冴香は「ドーピングでは」というと「フードファイトの試合後に，薬物検査はない」。満は，胃を押さえ，痛みをこらえながら食べ続ける。２Ｒ終了時点で，２４１：２２５。差が開いてきた・・。 そのころ麻奈美は，偶然俊介と出会った。「一流企業じゃなくても，一生懸命働いていればいいのに」という麻奈美に，俊介は「見栄を張って生きていくのが男です。あなただからこそ，正直に言えないんです・・・好きだから。うそをついている方がつらいんです」と自分に置き換えて，涙ながらに力説する。 満の元へ，冴香がドーピングのことを話しに来る。満は「潰瘍のこと知っていたのか。だから料理をつくって様子を見に来たんだ。会長に頼まれたか？」。冴香は「違う・・私は・・・」と何か言いたげだったが，そのまま行ってしまう。如月は，薬を飲みながらやってきて「どんなことをしても勝てばいんだ」。そんな姿の如月を見て，「オレはそうは思わない」と満。親がいないことでいじめられ，それが元で喧嘩になっても，親がいる子供たちは，最後には親が出てきてしまう。だから「どんなに汚い手を使われても，勝つしかないんだ。とおるは特にそういうやつだった」と満。とおるは，あのとき万引きをしてなかった。裸足で死んでいった。確かに妹のための靴は取っていったが，自分の靴と手紙をおいていった。手紙には１週間後には必ずお金を払うと。だから，靴屋の店主も万引きとしては訴えなかった。「あいつは最後までそういうやつだった。お前はまともに戦ったことあるのか」と満。如月は「まともに戦ったって，死んじまったらどうしようもないんだ！」と行ってしまう。 ちょうどその時，満の携帯がなる。麻奈美からだった。「あなたは悪くない。園長先生や子供たちの希望を壊さないように，演じていただけなんですよね。とても苦しかったと思います。あんな悲しいうそをついて。誰よりもあなたが」。「できればずっとうそをついていたかった」と満。麻奈美は「でも私にだけは行って欲しかった」。満「じゃぁこうしましょう。おあいこ。ボクも悪かった」。麻奈美が「お互い嘘は無くしましょう。もう隠し事はない？」と尋ねると，一瞬とまどって「ホントに」。「だったらホントの気持ち話します」と麻奈美「あなたのことが好き」。満は「ありがとう」と電話を切り，フードファイト会場へ向かう。「もう死んでもいい気持ちです」。 その気持ちで挑んだ３Ｒ。猛スピードで食べ続ける満のペースについていけず，給仕をしていたボーイが腱鞘炎になってしまい，給仕できなくなってしまう。そこへ助っ人の飛び出してきたのは，裕太だった。裕太は２杯ずつ入れ，満のペースもアップしていく。そしてタイムアップ。３５６：３５７。満の勝利。食べられることを不思議がる如月に，１枚のレントゲン写真を見せる満。「試合前に新しく取ったレントゲンだ」。そこにはブラックホールはなかった。「オレの胃袋は宇宙だ。宇宙に謎は付き物だ」。 かすみが待ち合わせ場所で待っている。当然，兄はやってこない。満が代わりに来て「お兄さんは，海外に行っている」とうそをつく。どこなのか聞かれ，困っていると「ドイツだよ。オレは医者だから，医学留学だ」と如月がプレゼントを持ってやってきた。かすみが箱を開けると・・真っ赤な靴が。「お前に似合う靴を探して１２年たってしまった」と如月。かすみは，「兄」に抱きしめられ，夢を叶えた。その２人を見つめ，そっと去っていく満。 満が家に戻ろうとすると，そこには麻奈美が待っていた。かしこまって正座して向き合っている２人。九太郎が「将棋か？」と言うほど，緊張して固くなっている２人。「満さんの口から聞きたい。ちゃんと言ってもらっていない」という麻奈美。満「ありがとうって言った」。麻奈美「ちゃんと言ってください」。満「サンキュー」。怒った麻奈美が出ていこうとすると，「好きです。ボクも」と満。麻奈美はしつこく「どれくらい好きですか？・・・私が死んだら？」と。満は「一生一人でいます」。「ようやくほっとした。何度も聞かないと信じられない。あなたはうそつきだから」と麻奈美。そして２人は・・・キス。「人がいるのに」と九太郎は横を向いて。 |
| 八ノ膳 つくし園では，みんなが盆踊りの練習をしている。麻奈美と満は，園長室をのぞき見している。実は，裕太に養子の話が来ていた。園長は，その申し出を断る。子供を交通事故でなくした西脇が，その身代わりとして，そっくりな裕太を引き取りたいと言っていたからだった。麻奈美は「身代わりの愛情は偽物」と。 そのころ，会長室では，次の対戦者について，宮園が冴香に伝えていた。どんな手段をとっても負けないチャンプに対抗するには，海外まで探さなければ行けない，と今度は南米のチャンプを連れてきた。短時間に子牛一頭丸ごと平らげるという。 養子の話を一緒に聞いていた裕太「オレ行くよ」と，自分から用紙になることを決意。それを信じられないような麻奈美。満は「愛情は愛情ですよ。僕ら孤児にとっては。たとえ偽物でも。いじけて和の中に入れないのはうんざりなんです。偽物でも和の中に入りたいって」。 別の日。満は部屋で浴衣に着替えていた。つくし園のみんなで夏祭りに行く。九太郎もうらやましがり，仕方なく手ぬぐいをマントのように着せてあげる。そこへ，麻奈美が迎えに来た。満は浴衣姿の麻奈美に「馬子にも衣装」と。機嫌が悪くなる麻奈美。追い打ちをかけるように九太郎もいろいろ言い出す。すっかり機嫌が悪くなった麻奈美。そのまま夏祭り会場へ。満は「照れ隠しだよ」といいわけ。麻奈美は「おしゃれを否定されると女の子の心は殺されたのも同じ」と機嫌が直らない。でも，焼きそばをおごるといわれ，やっと機嫌が直る。そこへ，偶然西脇に出会う。そして，姿を現した裕太は・・・女の子の格好をしていた。実は，西脇の亡くなった子は女の子。奥さんの方が，子供を亡くしたショックでちょっとおかしくなっている。子供が死んだことを認めることができない。そこで，偶然見かけたそっくりな裕太を女の子として引き取ることにした。裕太も，それを承知で養子の話を受けたという。麻奈美はどうしても納得行かないが，満は「あいつがこのままでいいって言っているんだ。家庭の問題だ。口出すことじゃない」。 盆踊り会場では，今まで流れていた音楽に変わってラテンのリズムが。櫓にいるのは，派手な格好をした男。満が，不審に思っていると，「次の挑戦者よ」と冴香。満は次のメニューを気にするが，冴香は「私の浴衣姿はどう？」としか言わない。「すてき・・・」と満が言うと「そうステーキ」。そこへ，園長がやってくる。何とか話をごまかす２人。園長は，努力して一流企業に就職できた満のことを誇りに思っているという。そんな園長の考えを否定する男が来た。次の挑戦者・カルロス。園長の考えを「偽善者だ」と。子供たちに向かって，「裕福で両親がそろっている子がうらやましくないか」と尋ねる。「園長は負け犬になれって言っているんだ」「持っているやつから奪い取ればいいんだ」と言い放つ。満は，その考えを否定しないが止めに入る。すると，満のことを殴り出すカルロス。「他人に優しくすれば幸せになれるなんて幻想だ」「努力すれば何とかなるなんて，まやかしだ」「いきるのに必要なのは，怒りと憎しみだけだ」と満を殴り続ける。無抵抗の満。そんなカルロスを麻奈美がたたこうとすると，園長が先に手を出した「満は子供たちの前だから手を出さなかった」と。カルロスは「慰謝料だ」と札束を投げて去っていく。夢中で拾う子供たち。満は倒れながら，握ったお札を放す・・・。 「チャンプとあなたは似ている」と冴香。カルロスは，両親に捨てられ，スラム街で育った。カルロスは冴香にも同じにおいがすると。金のために，結婚をしたと。冴香が「会長を愛している」というと，頬をたたいた。「オレもチャンプも，ポケットが破れているんだ。だから，どんどん詰め込んで食べられる。あなたはそこに金を入れているだけ。でも穴が開いているから，オレもチャンプも満足しないんだ。だから，決して誰かを愛したりしない。あなたも，チャンプもだ」と。 つくし園で，傷の手当をしてもらう満。麻奈美は，手を出さなかった満に感心している。でも満は「違う。あいつのいうことがもっともで，殴る気が失せたんだ」という。「この世の中は不公平だ。生まれたときからスタートラインが違う」。麻奈美は「ちゃんと夢を持って生きていけば」というが，「誰でも夢を持ってくじを引くんです。はずれの白玉を引き続けて，そのうち当たり玉が入っていないことに気づくんだよ。反則だって言っても，誰も取り合ってくれない。そんなときは・・・持っているやつから奪えばいいんだ」。麻奈美はその言葉が信じられず，裕太だってきっとそのうち幸せになれると・・。でも満は「あいつもそのうち気づく」と否定する。そして「本物の愛情なんてどこにもない」と。そんな満の言葉がどうしても納得行かない麻奈美「だって，努力して一流企業に就職できたんですから」。それには答えず「おやすみ」と帰っていく満。 裕太は，母親と一緒に寝て，幸せそうな顔をしている。その裕太が，女の子の格好のまま，満の部屋に遊びに来た。麻奈美が毎日家に来ているという。だから，満からもう来ないように言って欲しいということだった。満が「幸せか？」と聞くと「幸せだよ。少なくても殴られないから」と裕太。 宮園は，なぜ冴香に手を挙げたのかとカルロスに尋ねる。カルロスは「うそをついたからだ。あなたを愛していると」。カルロスは，宮園と冴香の間に愛情はないと断定する。複雑な表情の宮園。 フードファイトが始まる。いつもいる裕太の姿はそこにはなかった。カルロスは，音楽を聴きながら，リズムに乗って食べ続ける。余裕なカルロスに比べ，苦戦をしている満。１Ｒ終了時点で，１２：９とカルロスが優勢。カルロスは「ラテンは，怒りと憎しみのリズム。だから，無尽蔵に食える」「何が盆踊りだ。競争も，貧困も，命の危険性さえなく，政治家も，警察も，教育も腐りきったこの国で，脆弱にいきる日本人に音楽などはない」そういって去っていく。 ２Ｒ。冴香は「チャンプが負ける？」と不安そうな顔をするが，宮園の視線を感じて，「さすが会長が呼び寄せた挑戦者ですね」と取り繕う。２Ｒ終了時点で，２４：１９。差は広がるばかり。満は，そこにはいない裕太の姿を見つめる・・。その裕太は，母親と一緒にいたが，「きれいな緑のカーテン」と裕太が言った途端，母親が取り乱し「この子は誰？アキ子は死んでしまった」と叫び出す。夫人は，正気に戻った。無くなった子供は「赤緑色盲」だった・・・緑のカーテンといったことで，亡くなった子供と違うと言うことに気づいたのだった。裕太は家を出ていった。それを，麻奈美からの電話で知った満は「あいつもお払い箱か」。「はずれの白玉しか入っていない」という満の言葉が，よくわからない麻奈美は，納得行かない様子。元気のないままの満の元へ，冴香がやってきた。「強いよ，あいつ」「優しさや愛情の損座すら信じていない。痛みも悲しみも無いのかもしれないな。あいつは人間じゃないロボットだ」と満。冴香は「あなたは生身のチャンプ」。満は「オレはロボットみたく強くなりたかった。だけどなりきれない。弱いから。痛がり，悲しみ，悩み。あげくは絶望してしまう」と。でも，冴香は「それって弱いことなの？」。満は「あんたも同じだな。人形にはなりきれない」と３Ｒに向かう。 ３Ｒ。元気よく食べ続けるカルロスと元気のない満。そこへ裕太が顔を出した。裕太は「オレがいないと負けると思って。これじゃ，おちおち幸せに浸ってらんねぇよ」と笑顔で話す。満はそんな裕太を見て「どうして笑っていられる？また居場所が無くなったばかりなのに。はずれくじを引いたばかりなのに。それなのにこの男のように，憎んだりしないのか？」と疑問を持つ。そして気づいた。「まだ信じているんだ。信じて明日にはあたりが引ける，そう信じて死ぬまで引き続ける。それは不幸なことじゃない。明日へのあさってへの希望を信じて生きている人間の方が幸せだ」。そして，箸を要求。日本人には日本人の文化がある「俺たちは『和』になって踊る。時には手をつないで。その和の中にある大事な物のために踊る。弱いからじゃない，信じているから。和の中には，火のように燃える赤のあたり玉があると。まるで日の丸の旗のように」。そして，吹っ切れた満は「盆踊りのリズム」で，箸を使って食べ始める。どんどん食べ続け，カルロスに追いつく。そしてタイムアップ。満は３３皿を完食。そしてカルロスは・・・３２皿目，たった１口分だけを残していた。１口分でも勝ちは勝ち。「オレの胃袋は宇宙だ。大和魂をなめるなよ」。 この結果にほっとする冴香。宮園が気になるが「今回はチャンプにかけた」という宮園。「お前はそうではなくても，私は愛しているからだ」。 俊介の屋台に，満・裕太・麻奈美が食べに来ていた。偶然，屋台を引いている俊介に会った麻奈美。俊介は，本当のことを麻奈美に言えない。今度ラーメンのチェーン店を出すので，そのアンテナショップを自らやっているんだ，と説明していた。そんな俊介に感心した麻奈美。実際に食べておいしいと。満が，もらったお釣りをポケットに入れると，穴が開いていた「なんかぽっかりと穴が開いているみたい」。すると麻奈美が「私が縫って揚げますから」。２人はいい雰囲気になる。すると，俊介は悔しがり，自分でズボンのお知りの部分を破ってしまう。麻奈美に縫ってもらおうとするが「ジイが縫って差し上げます」。そんな２人を楽しそうに見ている，満・裕太・麻奈美。 |
| 七ノ膳 つくし園。みわこの母親が迎えに来ていた。他の子供たちは，なんだか元気がない。麻奈美は裕太に「お母さんに迎えに来てほしいんだよね」というが，裕太の母親は亡くなっている。「母ちゃんの顔なんて覚えていないよ」という裕太に，満は「オレも母ちゃんの顔は覚えてないよ。見送ってやれよ」と。みわこがタクシーで去っていくと，子供たちは追いかけるようにして見送っていた。 そのころ，会長室には，ある女性が来ていた。会長が冴香に紹介する「チャンプの母親だ」と。満の仕事中，冴香が満にそのことを伝えに来る。前回，加賀見グループのお坊ちゃんに勝ったご褒美として，会長が探し出してくれたと。満はお坊ちゃんがどうなったか気にするが，「無一文よ」と教えられ，複雑な表情。母親とは，今夜，近くの公園で会う約束になっていた。満が「捨てた親に会いたいと思うわけないだろう」と言うと，冴香はそのまま立ち去ろうとする。すると満は「ほくろはあったか？」と。母親の顔は覚えていないが，唯一覚えているのは手の３つのほくろだけだった。 満は，悩みながらも公園へやってきた。すると，いきなりたい焼きを食べながら話しかけてくるおばちゃんが。そうそのおばちゃんが，満の母親だという。満は，びっくりしてしまった。そのまま家につれていき，泊まることに。ひどいいびきに眠れない，満と九太郎。満は「イメージ違うしなぁ」とちょっと困惑気味。 つくし園。麻奈美が帰ろうとしていると，どこからか九太郎の声。九太郎は「鬼婆に捨てられた」と言っている。満が，アパートに戻ってくると，母親がラーメン１０杯を食い逃げをしてきたところだった。そのラーメン屋が，プリンスメロン・俊介の屋台だった。初めて，俊介がラーメン屋をやっていることを知る。俊介は，このことは麻奈美には内緒にしてほしいと。満は「麻奈美さんはそんなこと気にしない」と言うが，俊介は「同情されたくない。欲しいのは愛情だから」と，自分のセリフに酔っている。 部屋に戻ると，母親に食費を要求される。さらに，そこへ「極上寿司１０人前」が配達される。「ラーメン１０杯食べたばかりなのに。さすがオレの母親だ」と苦笑する満。その時，九太郎がいないことに気づく。母親は「捨てた」と。満は激怒。母親は「本当の母親より，カラスがいいんだ」と泣きわめく。仕方なく，その場を取り繕って，満は九太郎を捜しに出ようとした。ちょうどその時，麻奈美がやってきて，九太郎がつくし園にいることを教えてくれた。九太郎は，どうしても帰りたがらないとか。そこへ，母親が顔を出して，麻奈美が玉の輿をねらっているとか，ひどいことを言って追い返してしまう。 つくし園で，麻奈美と園長が話をしている。母親のことを聞いた園長は，不思議そうにしているが，「しばらく親子水入らずにさせてあげましょう」と，九太郎を預かってくれることに。一方，満は，母親に，麻奈美のことをきちんと話す。母親は「ちゃんと謝っておくれ。それからお前にも謝らないと」と，満を捨てたことをわびる。満は「母さんも苦労したはずだから」と，ざらざらの手をなでてあげる。 会長室。満が呼ばれていて，次の対戦についてえ教えてもらう。対戦メニューは「コロッケ」。そして，対戦相手は・・・母親だった。驚く満。２人きりになり，どうしてフードファイトにでるのか問いつめる。母は「借金があるんだよ」。だから「負けておくれよ」と八百長を持ちかける。満は「できるわけがない。借金なら，僕が少しずつ返してあげるから」と。しかし，母親は泣き落としに入る。その姿を見て，満は「ホントに，オレの母さんだよね？」と疑う。「想い出なんて無いけど，１つだけ。熱を出したときに，おでこに手を当ててくれた。そうしたら熱が引いていったんだ。優しくて温かい手には，ほくろが３つあったんだ」と。母親は，堂々と手のひらを見せる。そこには，３つのほくろが三角形に並んでいた。「疑ってごめん」と満。母親は，いつも遠くから見ていたと，運動会の時の話をし始める。満は「会えただけでもうれしいよ」と，八百長話をうけてしまう。 フードファイト。１Ｒ。満は，母親の様子を見ながら，ゆっくりと食べ始める。そのころ麻奈美は，俊介とデート。麻奈美は，あこがれている人がいることを言ってしまう。最初は自分だと俊介は思うが，「お会いしたことがない人」で，自分じゃないことに気づく。そして，麻奈美は満の母親のことを「許せない」と。俊介が「満君は許しているんでしょ」というと，「それがわからない」と。俊介は「捨てられた子の気持ちは分からないよ」と素直に言ってしまう。麻奈美は，ムキになって反論。そして帰ってしまうが，残った俊介は，窓から逃げる。そう，一文無しのお坊ちゃんは，食事代が払えない。もちろん，その時着ていたスーツは貸衣装・・・。 フードファイト。１Ｒは，２４：２２で母親リード。裕太と如月は納得しない。２人に，実状を話す満。如月が「全てを失うことになるがいいのか」と尋ねると，「普通に母さんと暮らしていくよ」と満。それを聞いた裕太は「つくし園と園長先生はどうするんだよ。見捨てる気かよ。育ててくれたのは，園長先生だろう。自分さえよければいいのか」と怒り出す。満は「嫉妬してんだろ。オレにも母さんができたから」。裕太は「つくし園が家だし，園長先生が母さんだ」と出ていってしまう。如月も「見損なったぞ」と出ていく。満は「おめぇに言われたくない」。 ２Ｒ。冴香は，会長に「これがねらいだったんですね」と。会長は，八百長も指示。さらに「チャンプの母親など探していない。それらしきひとを探しただけだ」と。またもや，全て会長が仕組んだことだった。手のほくろは，冴香からの情報で，後から付けた。２Ｒ終了時点で，４６：４１で，母親が勝っている。控え室に戻り，つらそうな満。そこへ冴香がやってきて「このまま負けるつもり？」と。そして「あの女は，あなたの母親じゃない。全ては宮園が仕組んだこと」とうち明ける。満は「ウソだよ！今更ウソだなんて信じられっかよ！」と荒れる。 つくし園では，園長が麻奈美に真実をうち明けていた。「満の本当の母親は亡くなっているの」。満がつくし園に預けられてしばらくして，事故でなくなっていた。いつか本当のお母さんが迎えに来てくれることを信じていた満に，そのことを伝えることができなかった。「本当のお母さんじゃないって知ったら，傷つくでしょうね・・。本当のこと言ってあげるべきだったかしら」と園長。その会話を，そっと立ち聞きしてた裕太。 ３Ｒ。「信じない。母さんじゃないなんて」と満。勝負は始まっているが，本当の母親だと信じ込もうと，ひたすら考えていた。そして，唯一の想い出「３つのほくろ」を思い出してみると・・・並び方が違っていた。想い出のほくろは，縦に並んでいた。裕太の言葉「つくし園が家で，園長先生が母さんだ」を思い出す。突然笑い出す満。そこへ裕太もやってきて，真実を告げようとするが，満はニヤっと笑い「しーっ」。そして猛然と食べ始める。悲しげな顔をしながら。母親・・偽の母親が，手のほくろを見せても，もう振り返りもしない。あわてて偽母親も食べ始めるが・・なぜか途中で食べるのをやめてしまう。その時点では，まだまだ余裕があったはずなのに。時間切れ。結果は８７：８８で，チャンプの勝ち。偽母親は「どうしてわかったんだい？」と満に尋ねる。満は「最初からわかっていた」と。そして「オレの胃袋は宇宙だ。短かったけど，楽しかったよ」。 会場を出ると，冴香が「強がりなのね」。満が「どうして教えたんだ？」というと，冴香は「哀れだったから」。満「強がりだな。オレに惚れているなら，惚れているって言えよ。キスぐらいしてやるよ」。冴香「本当の母親が見分けられない人に，女心はわからないわ」と立ち去る。会長は，偽母親になぜ食べるのをやめたのか追及する。偽母親にも子供がいるが，やっぱり名乗り出れない。満が手を優しくなでてくれたのを思い出すと，胸がいっぱいになってしまった，と。 つくし園。満も遊びに来ている。満がくしゃみをすると，心配そうな園長先生。満の額に手を当てようとすると，その手のひらには，３つのほくろが縦に並んでいた。そう，母親の唯一の想い出は・・・。それに気づいた満の目から涙が・・・。九太郎が「満泣いている」と心配しているが，麻奈美は「悲しくて泣いているんじゃないから」。 |
| 六ノ膳 病室では，加賀見俊介の父が危篤状態。「甘えることはもう許されぬ。敵はどこにでもいる。すぐ近くかもしれない」と言い残して，息を引き取った。一緒に見守っていたジイ・駒形は，電話をかけるが，その相手は宮園会長だった。宮園は，加賀見父が亡くなったことを知り「おもしろいギャンブルができるぞ」と何か考えているようだった。 満の部屋。麻奈美がやってきていて，足ながおじさんから返事が来たと喜んでいる。「オレ，書いていないのに」と満。麻奈美には聞こえなかったようだ。満が九太郎と遊んでいると，「満さんってホント子供ですね。彼と違う」とすっかりあしながおじさんに夢中の様子。麻奈美が食事を作ってくれると言うのだが，その食材を見て・・・「ダメ！」と逃げ出す満。九太郎も「ダメ！」。満「見ただけでじんましんが」。その会話を盗聴器がキャッチしているのも知らずに・・。 「どうして返事なんか書いた！」と如月を攻める満。如月は「かわいそうで。何通も手紙が来て・・」というが，満は最初の手紙しか受け取っていなかった。しかも，如月は勝手に麻奈美と会う約束をしていた。満は怒り出すが「俺が会う」と言い張る如月。満は「オレへの手紙を勝手に見るな」と攻めるが，如月の住所を使って匿名の寄付をする満が悪いと逆に言われてしまう。如月は医者だから，お金の出所も怪しまれないだろう，と。そして「恋が芽生えちゃうかも」。 会長室には，駒形がやってきていた。宮園はすでに，加賀見グループの株を１５％買収したが，吸収するには全然足りない。すると駒形が「おぼっちゃまが引き継いだ株を手に入れれば，他の株主も手放すでしょう」と。どうやるかというと，俊介を持ち株を掛け金にフードファイトに出場させる。もちろん，俊介は素人だから勝てるわけがない。俊介がフードファイトに出場するように，駒形が仕掛けると言う。 つくし園に俊介が一人でやってきた。子供たちが駆け寄ってくる。麻奈美とのことも応援すると言うが，今日はプレゼントがないとわかると，みんな去っていってしまう。麻奈美がやってきて「子供たちはなついていたわけじゃないんです。プレゼントがほしかっただけ」と。さらに「お金しかない人より，お金意外の物をたくさん持っている人の方がすき。満とあなたじゃ比べ物にならない。お金で何とかなると思っているなんて，軽蔑します」と追い打ちをかける。しょんぼりと帰っていく俊介。その姿を，麻奈美は駒形と見送っていた。さっきの言葉は，駒ヶ谷頼まれていったこと。駒形は「厳しくしてもらった方が，おぼっちゃまのためなんです」。 麻奈美が，お店でうれしそうに洋服を選んでいる。つきあわされた満は，落ち着かない。麻奈美は，あしながおじさんと会うときのための服を選んでいたのだった。「会わない方がいい」と何度も満が言っても，恋する乙女ムードの麻奈美「恋が芽生えちゃうかも」。 満がへとへとになって部屋に戻ると，冴香が勝手に部屋に入っていた。満の様子を見て「デートの最後にキスもできなかったみたいね」と冴香。すると満が「代わりにキスしてくれるか？」と迫る。冴香もそのまま応じるかと思ったら・・・「危ない」と満自らが逃げ出した。「応じるフリして，ビンタするつもりだったろう」と。冴香も「そうよ」と・・。今回の対戦メニューに話をすり替える。今度メニューだと見せられたのは「焼き鳥」。九太郎が騒ぎ出す。満は「食えないんだよ，一口も。鶏肉だけは」。冴香が帰った後も，焼き鳥を前に苦悩する満。鼻をつまんで食べようとするが，どうしてもできない。九太郎も「犯罪だから」。 フードファイトの医務室では，如月がきめている。試合の当日，麻奈美と会う約束をしていた。「わざとだろう」と怒っている満。つくし園では，麻奈美が出かけようとしているが，園長は寄付をしてくれている本人なのかどうか不安だと。今まで匿名で，誰にも知られないように寄付していたのに，急に会うのはおかしい。麻奈美が「誰かわかっているんじゃ？」と尋ねると「満じゃないかしら」と園長。「満さんのこと，スーパーマンみたく思っているんですね」と麻奈美。園長は「つくし園のみんなそうよ」。 フードファイト会場。満が会場に入っていくと，そこにいたのは俊介。まさか，俊介が相手とは思っていなかったので，驚く満。俊介は「必ず勝つ！自分の力で！」と意気込んでいる。ファイトが始まるが，俊介は，フォークとナイフで焼き鳥を優雅に食べ始める。だが，満は手を着けることができない。１Ｒ終了。１９：０。自信に満ちた俊介がそこにはいた。 一口も食べなかった満に，裕太が「九太郎を飼っているなんて単純な理由じゃないだろうな」と満を攻める。満はそれを認める。「勝手にしろ」と出ていく裕太。宮園会長は，満が一口も食べられないことを疑問に思う。駒形は，もしチャンプが負けた場合，俊介の相続分の配当を支払う能力が，この宮園総合食品にあるのか，と。そう，支払えなければ，逆に加賀見グループに吸収されてしまうのだ。満の部屋に盗聴器を仕掛けていたのは，この駒形だった。満が鶏肉を食べられないことを知っていて，この勝負を仕掛けていた。駒形は「先代を裏切ることはできない」と。 ２Ｒ。にこやかに食べ続ける俊介。苦悩する満。俊介は「僕は自分の力で生きていける。それを麻奈美さんに伝えてくれ。そして，この勝負に僕が勝ったら，僕と麻奈美さんの交際を，心から祝福してくれ」と勝ち誇った顔をしている。裕太は，満の部屋で盗聴器を見つけていた。九太郎に話をするが，九太郎は「絶対ダメ」と言っているだけ。満は「食ってやる。鳥じゃないんだ」と食べようとするが，できない。そして，小学生の頃，九太郎と出会ったときのことを思い出す。給食費を盗んだろう，とクラスの子からいじめられる満。そこへ飛んできて助けてくれたのが九太郎。「弱虫ぃ。いくじなしぃ」と言った後で，満の頭にのり「友達になってやる」。このときから，２人は友達だった。「できない。友達を裏切るなんて。いつもひとりぼっちだったオレの，唯一の友達を」。 ２Ｒ終了。いまだに食べられない満に対して，俊介は３６串。俊介サイドに，冴香が行き「勝つためには手段を選ばないんですね」と。今回のことを全て教えてしまった。何も知らなかった俊介。駒形は「加賀見グループのため」と。俊介は，昔からそういわれて育っていた。しかも，運動会でも受験でも，すべて最初から勝つように仕組まれていた。自分の力で戦ったことがない。「今回は別だ！卑怯な手を使ったんじゃ意味がない。麻奈美さんに見直してもらえないじゃないか」と俊介。 その麻奈美はは如月と会っていた。すっかり舞い上がっている如月。食事に誘うとしている。「お金なら，寄付するほどありますから」。この言葉に，麻奈美は疑問を持つ。さらに「麻奈美さんがきれいだからです」と言うと，「本物じゃないですね」と麻奈美。本物のあしながおじさんならそんなことは言わないはずだと。「本人に会わせてください」と真剣にお願いする。 ３Ｒ開始。九太郎が部屋からでようと苦労していると，ちょうど出前を間違えてドアが開いたすきに，外へ飛び出していった。フードファイト会場では，満だけじゃなく，俊介も食べ始めなかった。「正々堂々と食べないと意味がない」と。みんなが見守る中，満はがんばって食べようとするが，どうしても食べられない。「オレの負けだ」と席を立つと・・・頭の上に九太郎が。「弱虫。意気地なし」とあのときと同じように。「食っていいんだな」と満。九太郎は「食え，食え。腹一杯食え。お前の胃袋は何だっけ？」。満「食うぞ」と，九太郎が見守る中焼き鳥を食べ始める。「うまい」。俊介に「今までのはハンデだ」と言って，満は両手に焼き鳥を持ち，食べては投げ食べては投げ・・・串が踊る。俊介も，フォークとナイフをやめ，串から食べ始める。３Ｒ終了。５８：５９。今回も満の勝ち。「オレの胃袋は宇宙だ。食えないんじゃない，食わなかっただけだ」。 宮園は駒形に「我が社のチャンプに死角はない。加賀見グループは私の物だ」と言い放つ。駒形は，自分のせいで何もかもなくなったことを悔やむが，俊介は「負けた僕のせいだよ」。そして，初めて結果の分からない勝負に挑めたことを喜んでいた。 「ばれた！？」。控え室に如月が戻ってきていた。麻奈美に本物をつれてきてくれと，真剣に頼まれて「ついつい・・・」。猛然と怒っている満。雨の中，傘もささずに待っている麻奈美。そこへ傘を差しだしたのは，満と九太郎。「そう，僕があしなが・・」と言いかけると，「どうしてこんな所に？」と麻奈美。満があしながおじさんだとは，全く考えていないようだ。満も仕方なく「会社帰り。あしながおじさんと約束だったんじゃないの」。麻奈美は「すっぽかされちゃったみたい」と，２人は帰っていった。 満の部屋で，麻奈美は「バカみたい。一人で盛り上がっちゃって。彼は迷惑だったんですよね。手紙も本人に届いたかどうか」と今までの自分の行動を反省している。満は，複雑な気持ちで「彼も，会いたかったはずだよ。待ち合わせ場所に行っていたかもしれない。でも，麻奈美さんがあんまりすてきだから，声かけられなかったんじゃないかな。僕だったらそうすると思うから」。そこへ，チャルメラの音が。おなかがすいていた２人は，ラーメンの屋台へ。実は，そのラーメン屋は，全てを失った俊介と駒形がやっていた。満と麻奈美がやってくると，ダッシュで逃げ出す屋台。何も知らない満は，追いかけていった・・。 |
| 伍ノ膳 つくし園のみんなと満は，イルカショーを楽しんでいる。麻奈美は，大学の帰り道，加賀見グループの御曹司・俊介に言い寄られていた。ジイを引き連れた場違いな俊介の態度に，仕方なく一緒に車に乗って，満たちの元へ。イルカプールでは，仮面の調教師が５分以上イルカと潜ったまま出てこない。麻奈美が心配しているのを見て，ジイは俊介に麻奈美にいいところを見せるようにアドバイス。満も調教師を心配してプールに飛び込もうとする。自分だけがいい格好をしようとする俊介は，満をとめようとするが，２人で一緒に飛び込んでしまう。しかし，俊介はかなづち。あわてているが，満は「浅いよ」と立ち上がっていた。 つくし園で，服を乾かしている２人。園長は，すっかり足の具合も良くなり，麻奈美と一緒に服を干している。園長が，俊介のことを麻奈美に聞いているが，麻奈美は「迷惑なんです。好きな人がいるんです」。加賀見は，子供たちにプレゼントを分け与えている。子供たちは大喜びだが，麻奈美はカンカン。麻奈美には指輪をプレゼントすると差し出すが，きっぱりと断る・・俊介は理解できていなかったが。そこへ満もやってくる。困惑した麻奈美は「私は，満さんとおつきあいしているんです」と言ってしまう。俊介「腕くんだり？」。２人「ええ」と腕を組む。俊介「接吻したり？」ちょっと困った２人「ええ」。俊介「それ以上のことも？」かなり困った２人「ええ」。証拠を見せろと言うと，子供たちは「せっぷん」とはやし立てる。さすがに俊介は見たくないと，その場を去っていった。でも，子供たちは「せっぷん」とまだはやし立てる。満はその気だが・・麻奈美のビンタ！ 一方，レストランでは，会長夫妻が次の挑戦者と食事をしている。挑戦者は，仮面の調教師。夫人の冴香は，なぜ彼を選んだのか不思議に思う。会長の話では，優れた能力があるからだと。食事をして立ち去っていった挑戦者は，食事が終わるまで息を止めていられた・・。 満の部屋。鍵をいつもの場所から取ろうとすると，ない。「勝手にはいるな！」。そこには冴香。次の挑戦者を連れてきていた。「いつまでかぶっているんだ」と，満は仮面を取るが・・・九太郎が「ぎゃー」と叫ぶ。そのまま，調教師は去っていってしまう。冴香も，その後を追おうとする。「ずっと会っていなかったけど，私の弟なの」。 フードファイト前日。如月の診察が行われている。満と挑戦者・広海。今回は会長夫妻も同席。広海の診察が終わったところで，俊介が入ってくる。父親にフードファイトのことを聞いたらしい。満の姿に驚き，彼がチャンプだと聞き，さらに驚く。広場に出て，「いくらで手を引く」と麻奈美から手を引いてほしいと言う俊介。満は「いい女は金がかからない」と主張。そして「フードファイトのこと言ったらただで済むと思うな」と脅す。「麻奈美はオレの女だ。１００億用意しろ」と言い放ち，立ち去ろうとすると，俊介はジイに電話をして「１００億用意して」。満「出せんのぉぉ？」。 レストラン。会長夫妻が食事をしている。冴香は，なぜ弟を挑戦者に選んだのか問いつめる。逆に，会長は弟のことを隠していた理由を尋ねる。「怪物のことを言ったら，結婚がダメになるとでも？」。広海は，特殊な能力を持っているだけでなく，姉を恨んでいるという理由から，フードファイトに適していると。 夜の水族館。プールの中のイルカをのぞいている広海。そこへ満がやってくる。満は，広海に姉とのことを聞いた。「あの暮らしに耐えられなかったんでしょう」と広海。父が家出をした後，母が再婚。新しい父親はひどい人で，よって暴れて，広海の顔をストーブに押しつけた。そのせいで，広海の顔の左半分にケロイドになっていたのだ。広海ほどでないにしろ，冴香も虐待をうけていた。でも，姉のことを恨んでいるわけでもなく，「不幸じゃない。友達もいっぱいいる」と。満が「人間の友達は？」と尋ねると，「この顔を見ればわかるでしょ」。満は「オレは全然怖くないよ。一見普通に見える人間の方が怖い」と。「あなたも差別やいじめを？」と広海。 つくし園には，ものすごい数のバラが送られていた。もちろん，俊介から。満「盛大な無駄遣いだ」。麻奈美の好きな人は「あしながおじさん」だと判明。つくし園にいつも匿名で寄付をし続けている，あしながおじさん。もちろん，それが誰かはわからない。「金持ちのきまぐれなのに」と満。麻奈美は「何かをたくさん持っている人には，貧しい人とか社会的に弱い人の気持ちがわからないんじゃないかと思うんです。もしかしたら，一生懸命働いて，無理してこの園に・・・」。麻奈美は，振り込みの住所に手紙を出すと言っている。黙って聞いてた満は「少女趣味にはつきあってられないな」と出ていく。 フードファイト会場。今回のメニューは大福もち。如月は，診察で，広海は普通の胃だったから，楽勝だと。しかし・・。１Ｒ。冴香は心配そうにモニターを見つめている。俊介も，客席にやってきていた。順調に食べ進むが，１Ｒ終了時点で，２８：２９と広海の方が優勢。しかも，広海はトイレで全部はいていた。イルカと一緒に水に入っているうち，心肺機能が発達して，息を止めていられるだけでなく，気管にまで大福を詰め込むことができるという。 ２Ｒ。対戦中，会長は，冴香にあることをうち明ける。広海は，恨みを持って対戦しているのではない。フードファイトに出て勝たないと，冴香と離婚すると脅したんだ，と離婚届を見せる。驚く冴香。そして，２Ｒ終了後，満の元へ。満は，冴香のことを「勘違いしていたよ。昔から金持ちだと思っていた」と。冴香も昔のことをうち明ける。そして満に負けてくれるようにお願いする。自分のために戦っているだけでなく，あの顔で殻に閉じこもっていた弟に自信を持たせたいと。満は「断る」。金持ちにとってはただのギャンブルでも，チャンプとしてのプライドがあるから。広海は，また吐き出していたが，かなりつらそう。満が後をのぞき込むと，血の痕が。「気管がさけているのか」。 ３Ｒ。５９：５９になったところで，ふと満が食べるのをやめる。ざわめく会場。広海も食べるのをやめ「どんなかけひきがあったのか知らないけど，２人の勝負でしょ？」と。満は「いいのか？お前，死ぬぞ」。２人は笑顔で見つめ合う。「俺たちは金持ちのおもちゃじゃない」と２人で言って，また食べ始める。満は，広海と同じ食べ方をしてペースがあがる。 この対決の間，麻奈美は，あしながおじさんに手紙を書いている。いろいろな悲しみを背負っている人がいる。でも，人はきっと誰かに見守られていれば，強くて優しい人になれる。そんなことを書いていた。 対決は，順調に進んでいる。２人とも，対決中なのに何か楽しそう。広海は，途中で覆面をはずした。それを見た冴香は「初めてイルカ以外の友達と遊んでいるのね」とうれしそう。そして結果は，１３１：１３２で，満の勝ち。２人とも笑顔だったが，広海が倒れてしまう。担架に乗せられた広海の元へ，冴香がやってくる。「今まで一人にしてごめんね」。満「オレの胃袋は宇宙だ。心の仮面も，そうやってはずせばいい」。満が会場を出ると，俊介が待っていた。「挑戦者があんな怪物だったのがおもしろかった」と楽しんでいる俊介に，満は殴りかかる。「くそ，金持ちが」。 会長室では，会長が離婚届を見つめている。そこへ冴香が，時計のプレゼントを抱えてやってくる。「今までありがとうございました」と冴香。プレゼントは弟のため，これから一緒に暮らすと。そこへ，広海が。仮面を取ると，ケロイドはなくなっている。とっくに手術を受けて直っていたのだった。これは全て会場の策略。弟が自分のために苦労していると言えば，冴香がチャンプに負けてくれるようにお願いするだろうと。結局は，広海が負けてしまったが，約束の半分のお金を受け取った。そう，広海も，血のりまで使って満をだましていたのだ。冴香は広海をひっぱたき，「チャンプはあなたなんかと背負っているものが違うの」と。 満の部屋。満は，麻奈美からの手紙を読んでいる。九太郎が「ラブレターか？」というが，「違うよ」。「満はもてないもんな」と九太郎。「どうせ女の子からプレゼントももらったことがないよ」と満。２人が騒いでいる間，外には冴香が来ていた。そっと立ち去るが，満の部屋のドアには，時計がぶら下がっていた・・。 |
| 四ノ膳 つくし園。今日は九太郎も連れてきていた。いつものように(?)ご飯をごちそうになっていると，急に子供たち全員が腹痛を訴えた。病院に行くが，食中毒でもなく原因不明。調理員・門倉も心配して，遅くまで園に残っていた。門倉は，つくし園創設以来つとめており，満も門倉の味で育っていた。門倉はいまだ独身。それは，４０年前，雪山で遭難した彼女のことが忘れられなかったからだった。「私のせいで・・」と罪の意識に苛まれている。一方，会長室に，次の挑戦者が現れた。次の挑戦者は女性だった・・。 門倉の話を「ロマンチック」だという麻奈美に対して，満は「ボクにはそう思えなかった。罪の意識からいまだに一人でいなければならない門倉さんに同情する」そう考えていた。 家に帰ってから，九太郎をつくし園に忘れてきたことを思い出し，あわてて園に戻る満。すると，園の入り口で女性が倒れていた。満がさわると，かなり冷たくなっている。「もろタイプ」。満は，園の中に運び入れ，ストーブを総動員して彼女を暖めた。それでも冷たいままの彼女。すると今度はいきなり服を脱ぎだし，体で暖めると言い出す。「失礼します」と布団に入ろうとすると，彼女が目を覚ます。いきなりの満の行動で，また気を失う彼女。「大丈夫」とパンツ１枚のまま布団の上から乗る満。今度は麻奈美が戻ってきた。勘違いした麻奈美は，いきなり満をビンタ！満の頬には，真っ赤な手の痕が（笑）麻奈美が彼女に触ると，すでに暖まっていた。彼女も目覚めるが，なぜつくし園の前にいたのか，全然記憶がない。子供たちは一晩病院にいるので，そのまま泊まることに。 次の日。彼女が目を覚ますと，そこにはお粥が。調理場では，門倉と園長が話をしている。調理場からは細菌が見つからず，このまま続けられること，門倉もこのままつとめられることを話していた。昼間。子供たちが元気に外で遊んでいる。すると大きな百合の花束を持った満がやってくる。子供たちは，麻奈美へのプレゼントだと思ったが，実は倒れていた彼女へだった。しかし，彼女は麻奈美たちが子供たちを迎えて言っている間に姿を消していた。 会長室。満が清掃員の姿のままやってくる。「寒いぞ」というその部屋には，彼女・・藤代雪子がいた。雪子は「なんでここにいるの？」。会長室を出て，満と２人で話す雪子は，様子が違う。フードファイトのこともよく知らず，なぜ自分が対戦しなくちゃいけないのかすらわかっていなかった。時々，記憶をなくすという。満も困っていると，ふと人が変わったようになり「私はあなたの知っている雪子じゃないわ。お互い正々堂々と戦いましょう」と，満の頬にキスをして去っていった。「結婚したぁい」と満。 満の家には，会長夫人がやってきていた。「どういうつもりだ」と今度の対戦について文句を言う満。相手は女性でしかもか細い。会長夫人は会長夫人で，今回の対戦のことを心配している。いまだにメニューが決まっていないからだ。会長が何を考えているのか・・。そして，急に満のおでこに，自分のおでこをくっつけた。満は喜ぶが・・・。顔色が悪かったから熱を見ただけだった「熱っぽいみたい」。そのまま会長夫人は去っていった。そのあと「寒気してきた。頭痛い」と満・・・。 つくし園には，雪子が門倉を訪ねてきていた。最初はお粥のお礼だというが・・。「園長先生のこと愛していらっしゃるんですね」と雪子。門倉は動揺する。「雪山で凍えている人のこと，ひとりぼっちの私のことなんか忘れたんでしょ」と急に言い出す。なぜか，４０年前のことをよく知っている。名前を聞いて愕然とする門倉・・・。 満は風邪を引いてダウンしていた。麻奈美がお見舞いに来ていたが，熱はすでに38度２分。熱にうなされてか，ふとフードファイトのことを口走ってしまう満。なんとか「巨人優勝するかな」と野球の話にすり替えたが。麻奈美はお粥を作ってくれようとしたが「私は何でしょうね。雪子さんが百合で，冴香さんがバラで・・」という麻奈美に「どくだみかな」と満が口走り，怒って帰ってしまった。 そのあと，麻奈美は門倉とつくし園で話をしていた。門倉は，雪子が４０年前に遭難した彼女じゃないかと疑っている。顔は全然違うが，名前が全く同じ。園長のこともよく知っていた。「姿を変えて現れたのかも」。実は，４０年前遭難したのは，園長も一緒だった・・。 ふらふらしながらも，フードファイト会場にやってきた満。その場でメニューが証される。満の前に出されたのは・・かき氷。ただでさえ熱で悪寒がしている満。ふるえながらかき氷を口に運ぶ。一方，雪子は平然と食べ続ける。１Ｒ終了時点で，１２：８で雪子が勝っている。ふらふらと会場を出る満に「棄権しなさい」と雪子。「私は寒さを感じないの。心が凍っているから」と。そして，今回の勝負はお金が目当てではなく，つくし園を苦しめることが目的だった。つくし園は，満の匿名の寄付でなんとか運営できている状態だった。だから，今回の賞金が入らなければ，苦しいことになっていく。裕太がそこへ現れて「お前幽霊だろ」。裕太は，門倉の話を立ち聞きしていた。裕太の話を信じられない満。 ２Ｒ開始。雪子と満の差がどんどん開いていく。裕太は何かを思いつき，電話をかける。寒さで満の動きが止まり，スプーンを落としてしまう。会場がざわめく。ちょうどその時，２Ｒ終了のベルが。ふらふらと立ち上がるが，すぐ倒れてしまう満。会長は，雪子の勝ちを確信した。如月の治療が行われるが，解熱剤を使っても熱は下がるどころかあがる一方。今，４０度以上もある。そこへ門倉がやってくる。裕太が呼んだのだった。門倉が謝れば，勝てるんじゃないかと思ったからだった。ただしフードふぁとのことは伏せたままで。そこへ雪子がやってきた。本当に遭難した雪子だったら，うなじに百合の形の痣があるはずだと・・・確かに雪子のうなじには痣があった。雪子がやってきてから，どんどん部屋の温度が下がっていた。「今頃でるなんて逆恨みだろう」という満に，「この人に殺された」と雪子。 ４０年前。３人でスキーをしているうちに道に迷い，遭難した。なんとか山小屋を見つけると，雪子をそこに残し，園長をおぶって下山した門倉。門倉は「彼女の方が重傷だったからだ」というが，雪子は園長を愛していたからだと言い張る。でも重傷だったのは確かで，園長はその時の凍傷が元で，今車椅子生活をしていたのだった。門倉は雪子を迎えに戻ったが，すでに雪子は息絶えていた。門倉は土下座して謝るが，雪子は許さなかった。 ３Ｒ。試合開始前。満は雪子に語りかける。「どうしてそんなに冷たいんだ。その冷たさは，門倉さんが用意した温かい暖炉の前で待っていたんじゃなく，外で死んだからだろう」と。嫉妬の鬼として出てきたのは「君が自殺だった証拠」。雪子は，門倉が好きだった。門倉は園長が好きだった。重傷の園長を背負って下山していく姿を見て，２人の間に入れないとわかった雪子は，小屋の中ではなく外にいて自殺を図った。雪子のことを考えて，門倉も園長もお互いの気持ちが分かっていながら，今まで結ばれることなく，過ごしてきた。「もう充分だろ。君は門倉さんのこと愛していたんだろ。だったら幸せを望むんじゃないか？幸せを祈らずに，罪悪感を抱かせて，２人を引き裂くなんて，そんなの愛じゃない。本当に愛しているんだったら，心の底からその人の幸せを祈らなくちゃいけないんだ。たとえ自分の愛情が，永遠に届かなくても」。試合開始のベルが鳴る。猛然と食べ始める満。あまりの発熱のため，氷の冷たさを感じなくなったのか？差がどんどん縮まっていく。残り時間が少なくなった時点で，３２：３２。そして・・満が３３杯目を食べ終えたところで，終了の合図。「オレの胃袋は宇宙だ。迷わず成仏しろ」。雪子は「私は嫉妬していただけなのかも。毅然と咲いている蘭の花のような悠子さんに」と言って倒れ込んだ。 満は麻奈美に，門倉と園長の話をする。気の毒だという麻奈美に「そうとは言えないかもしれない。あの２人は，ああやって寄り添ってきたんです。雪子さんが霊になって嫉妬するぐらいいつも一緒に。心はちゃんとつながっていた」と。その時，園長が車椅子から転落。園長は，門倉の助けを借りて，立ち上がり，満の元へ歩き出そうとする・・・。足は出なかったが，門倉に体を預け幸せそうな園長・・。 満の家に，会長夫人がやってきた。満は，４０年前の雪子が乗り移っていた今の雪子のことを訪ねる。会長夫人の話では，運ばれた病院から忽然と姿を消したとか。雪子の顔が，今思えば１年前に亡くなった総務課の子に似ていると言い出す。その子も，恋愛の恨みで自殺・・。女の恨みが重なって，霊となって出てきたのかも・・・と満を怖がらせるだけ怖がらせて，帰っていく会長夫人。「人を怖がらせて，さっさと帰りやがって」と九太郎を抱きしめていると・・・「満さんが好きになっちゃった」と飛び込んできたのは雪子！ |
| 参ノ膳 つくし園に，マジシャンがやってきて，いろんな芸を披露してくれている。その間，園長先生と麻奈美は，つくし園にやってきてから一言もしゃべらず，心を閉ざしたままの久美子のことを心配していた。園長先生は，久美子のことを考え，専門医のいる施設に久美子を行かせる決心をしていたが，麻奈美はそれに反対。久美子は，母親が蒸発した１ヶ月後，父親が放火による火事で，久美子の目の前で焼死，という経歴を持っていた。マジックの方は，催眠術が披露されていたが，だれもかからない。でも，満だけが・・・。その後，火を噴くマジックが始まると，「しろ！しろ！」とおびえ出す久美子。 レストラン。会長夫妻が，次のメニューについて話している。次のメニューは，特別な香辛料を使った激辛カレー。会長夫人は一口食べただけで，もう食べられなかったが，それを平気で食べる男がいた。それがあのマジシャン。下の感覚がマヒしており，味覚がない。チャンプの強靱な胃袋に勝つには，他のことで勝るやつを捜さないと，と会長。夫人は，フェアーじゃないと不満だったが。 つくし園。久美子のことについて，満と麻奈美が話している。麻奈美は，夏休みが終わって学校に通うようになれば，みんなと同じように笑ったりするんじゃないか，と。でも，満は学校に行くことで，いじめにあったりしたら，もっと問題じゃないか。「心の問題なんて，そう簡単には解決しないよ」。近くで久美子は家族の絵を描いていた。父親と自分と，白い犬の絵を。 満は，久美子の家に行ってみた。そこにはがれきの山しかなかったが，たくさんの借金取りがやってきていた。久美子の父親は，多額の借金を抱えて，自分で火を付けたのだった。 会長夫人が，今度の対戦のことを告げに，満の部屋にやってくる。メニューは「カレー」とだけ告げる。満は「大好物だ」と，今回も問題はないと思っている。夫人は，激辛と言うことは伏せたままで，相手の写真を見せ，味覚がないということを伝えた。 つくし園。子供たちが大騒ぎをしている中，久美子は昼間描いていた絵を赤で塗りつぶしていた。次の日，その絵を見せられた満。麻奈美に，火事の真実を伝える。久美子の絵を見て「久美子も火の中にいた」。父親は，借金苦で自宅に火を付け無理心中を図ったが，途中で思い直して久美子だけを外に逃がした。久美子が心を開かないのは「一緒に死にたかったのかも」。だから今の久美子は「死んでいるのとおなじなのかも」と。そんな久美子を救えるかもしれない唯一の方法は「しろ」を探し出すこと。火のマジックで久美子は「しろ」と叫んでいた。きっとこの犬を探し出せば・・・。 そこへ，あの対戦相手のマジシャンがやってくる。満と２人きりで自分のことを話し出す。マジシャンはサーカス一家に生まれ，小さい頃からスパルタで芸を仕込まれていた。そのおかげで舌の神経がマヒし，転校が多く友達もできなかった。満は「明日の試合が終わったら，友達になってもいいぞ。どっちが勝っても」と優しい笑顔を見せる。マジシャンは，左手に持った２つのクルミをコツコツならしながら「あなたは私には勝てません」と念じるように話す・・。 つくし園。久美子の迎えが，今日の夕方にやってくることになった。何とか阻止したい麻奈美。満は「しろのこと探してみたら」とアドバイス。それで心が開けると意気込んでいる麻奈美に「心を開かせるなんてうぬぼれですよ。臨床医学者とかなんかの人たちがよってたかっても。心の扉は，内側からしか開かないんですから」。とりあえず，しろを探し出すのが，今のところ一番大事なことだと，みんなで探すことに。「みんなで探したら見つかるかも」と満。ただ，自分は大事な会議（実はフードファイト）があるから一緒に探せないが。そんなみんなが探す様子を，離れたところから見ている久美子。 フードファイト会場。１Ｒが開始。一口食べて，辛さに苦しむ満。体をふるわせながらも食べる満に，隣のマジシャンはスプーンでテーブルをたたき，「あなたは私に勝てない」と念じる。だんだんぼーっとしてきた満は，とうとう動きがとまってしまう。「オレは勝てない」。そこで１Ｒ終了の合図が。１：５でチャンプが負けている。このまま負けると４億のお金が入ってくる会長は，喜んでいるが，夫人の方は・・・。いつもの様子と違うことを気にする如月。「あいつの隣にいると勝てる気になれないんだ」と満。ちょうどその時，裕太から電話がかかり，保健所でしろが見つかったと。「捜し物が見つかった」と出ていこうとする満に，如月が「試合放棄する気か」と止めるが，「どのみちあいつには勝てない」と出ていってしまう満。つくし園には，情緒障害児センターの職員が久美子を迎えに来ていた。「心の問題はデリケートだから，専門的な私たちじゃないと・・・」と。 ２Ｒ開始の合図が鳴っても，そこには満の姿はなかった。そのまま勝負はスタートする。満は保健所に来ていた。裕太が自信満々で見つけだした犬は，実は違う犬だったことが判明。満は「一緒に探そう」と。「大事な仕事があるのに」という麻奈美に「今日はどうでもいいの」と。すると，麻奈美が満の頬をひっぱたいた。「そんな人と探しても見つかりません。園長先生がいつも，あなたは園の誇りだって言っていたじゃないですか。他の子は，あきらめずに探しているんです。子供たちのお手本にならなきゃいけないあなたが，そんなことじゃ・・」。満は「１発で目が覚めた」と笑顔で答えた。ガムを噛みながら外に出てくると，そこには如月がバイクで迎えに来ていた。 ３Ｒ開始。まだ満の姿はない。余裕で食べ始めるマジシャン。１０：１になったところで，満が戻ってきた。またマジシャンは，スプーンでテーブルをたたく。それを無視して食べ続ける満。いくら念じても食べ続ける満を見て，あわてて食べ始めるマジシャン。１５皿食べたところで動きがとまる。満はどんどん追い上げ，とうとう１５皿で並ぶ。残り時間は少ない。マジシャンも食べようとするが，なかなか進まない。３Ｒ終了間近，１６皿目を間食した満。そこで，終了の合図が。マジシャンは「なぜ，催眠がきかない・・・」。すると満は，耳からガムを取り出した。マジシャンの催眠術にかからないよう，ガムで耳栓をしていたのだった。「オレの胃袋は宇宙だ。今度は味わってくれ」。 しろが見つからないまま，久美子は連れて行かれることに。満は，久美子の家に来ていた。会長夫人と一緒に。麻奈美と電話で連絡を取るが，麻奈美の聞いた近所の人の話では，久美子の家では犬を飼っていなかったという。「そんなはずない」という満に，会長夫人が「私もいつも話しかけていた。小さなお人形に」。この言葉がヒントになって，夢中でがれきの中を探し出す満。 つくし園では，久美子が車に乗せられ出発するところだった。そこへ飛び出した満。「こんなところにいたんだぁ。ボクはずっと君のこと探していたんだよ。ボクがいなくて寂しくなかった？もう寂しくないよ，一緒にいるから」と，声色を変えて。訳が分からないセンター職員は，車をそのまま発車させ，満は倒されながら「くみこぉ」と何かを紙袋からだし，見せる。すると，今までじっとしていた久美子が，センター職員の手を押さえ，車を止めると飛び出してきた。そう，満の手には，すすけてしまったが白い犬のぬいぐるみ「しろ」がいた・・。しろを抱きしめる久美子・・・。満はそんな久美子を抱え上げ，みんなの元へ。 |
| 弐ノ膳 つくし園。新入りの由紀が，おもちゃのピアノを壊している。由紀は，両親が蒸発し，その後親戚の家にいたが，うそばかり付いて，たらい回しにされたあげく，つくし園にやってきた。「ひどいそんなことぐらいで」「付いていいウソもある」と満。麻奈美はそれを認めないが，園長も「誰かを守るウソならついてもいい。ただ由紀ちゃんはどうなのかしら」。ピアノはお父さんが弁償してくれると言っている由紀に，他の子たちは「嘘つき」とはやし立てる。満は「この子の言っていることはウソじゃない。寄付をしてくれているのはこの子の両親だ」と，３００万円が振り込まれている通帳を子供たちに見せる。 レストランでは，ある男がものすごい勢いで食事をしていた。それを見守る会長夫妻。「この男なら勝てる」と満足げな会長。 つくし園では，満が壊れたピアノを直そうとしている。それを見ていた由紀は，お姫様気分を続けている。それにつきあう満。壊れたピアノを踏みつけながら去っていく由紀の後ろ姿に「君の心も壊れているんだね」。麻奈美の話では，由紀は園に来てから１週間，全然眠れないという。麻奈美はそれもウソだろうと思っているが。満は「眠っているならいいじゃない」と。ウソが許せないと言う麻奈美に「今まで絶対ウソつかなった？」と。絶対ないという麻奈美に，好きなこの前ではやし立てられたら，好きじゃないとうそを付いたことはないか，と満。それはウソじゃなく「意地を張っていただけ」という麻奈美。「同じかもしれませんよ」と満。 公園で，子供たちが土管の中にいるなにかをいじめている。満は，犬か猫かと思っていたら・・・「クマ！」ではなく，「米山まさきち」というしこ名を持つ，デビット・モーコハーン。相撲部屋に入門したが「人の２倍食うけど，３倍弱い」と言われ追い出されてきた。その食べっぷりは見事だった。この「デビ」が，会長夫妻が見つけた次の挑戦者だった。住むところもお金もないデビを，家につれて帰ってきた満。そこへ会長夫人がやってきた。次の対戦メニューが「ラーメン」に決まったことを告げに。 つくし園に，デビが一緒にやってきた。夕飯を一緒に食べるが，ご飯を全部食べ尽くした上に，「あげる」という子供たちの分まで食べ尽くしてしまう。そんな騒ぎの中，由紀は全く手を着けていなかった。「こんな貧乏くさいのは食べられない」と。由紀のお姫様ごっこにつきあう満だが，ご飯を顔にぶつけられてしまう・・・。 満のアパート。お風呂から上がると，デビが焼き鳥を食べている。ふと見ると，九太郎の姿が見えない。「お前！食ったのか！」と激怒する満。「返してくれよ！オレの九太郎」。するとのんきに帰ってきた九太郎。デビが，ちょっとだけ外に出してあげていただけだった。九太郎を抱きしめ，ほっとする満・・。夜のつくし園では，由紀が眠らずに，紙のピアノを弾いていた。 おもちゃのピアノを抱えて，つくし園にやってきた満。「園に届いていたんだ。お姫様のお父さんかな」と満。由紀は，お父さんの魔法でなんでも勝ってもらえると，今度は満のスーツを買ってあげると。満が「お気に入りだから」と言ったら，「水たまりに入ればもう着れないでしょ」と，水たまりにはいることを命令する。実は，このスーツは園長先生が就職祝いにくれたもの。だから絶対そんなことはできない。困った満は「もうやめた。君がどんな経験をしたかわからないけど，ここにくる子は，そういうこと経験してくるんだよ。もう君のウソにはつきあわない」と。みんなが「嘘つき」とはやし立てると，「パパは約束を破ったことがない」と必死に訴える由紀。満は「そうでしたね。お姫様」と笑顔で水たまりに入っていく・・・。麻奈美は満の行動が理解できない。園長は「服はクリーニングに出せばまた着れる」と。満は園の一番の問題児だった。喧嘩・万引き等々，うそもいっぱい付いていた。どうして変われたのかはわからないけれど，変わることができた満だからこそ，由紀の気持ちが分かるんじゃないか・・・。 宮園総合食品。満は，如月の診察を受けていた。全くの異常なし。そこへデビもやってくる。お互いが今度の対戦相手だということを知る。デビは，小さい頃から食べることしか能がなかった。父親が死んだときも，悲しくてもおなかが減った。母親はデビの食事のために働いているようだった。そこへ相撲の話が来たが，そこでもだめ。やっと自分の能力が生かせる仕事「フードファイト」を見つけた。だから負けるわけにはいかない。 夜。つくし園。裕太がトイレに起きると，由紀がうなされていた。「パパ。ピアノいらないからそばにいて」。ほとんど眠れないと言うのは，本当だった。園長室では，満が由紀の書類を見ていた。由紀の両親は，彼女の誕生日に蒸発していた。そこへ裕太がやってきて，由紀が寝ていなかったことを教える。「ずっと寝ていないはずだよ。なぜかはわからないけど」と満。裕太は「フードファイト」の会場に行きたがっているが，満はうんと言わない。代わりに背中をたたくが・・・そこには「ＳＴＡＦＦ ＰＡＳＳ」のステッカーが。 フードファイト会場。対戦が始まるが，満は考え事をしながら，ゆっくり食べている。デビはそれとは対照的に，どんどん食べていた。１Ｒ終了後。如月と裕太が満の元へ。「理由を考えていただけだ。なぜ羊の数を数えないのかって」。２Ｒ。満はまだ考えている。「なぜ彼女は眠らない」「なぜ彼女はうそを付く。絶対にばれるウソ」「ピアノ」・・・・。２Ｒ終了。裕太が由紀はうわごとまでウソだと。偶然聞いたうわごとを，満に伝える。満は，何か吹っ切れたようで「彼女はうそを付いていない。お前をセコンドにしてよかった」と言って，３Ｒの戦いに向かった。 ３Ｒ。満はそれでもまだ食べ始めない。「彼女はうそを付いていたわけじゃない」。由紀の家は裕福ではなかったが，お姫様のように愛されて育ってきた。両親は，由紀の誕生日にピアノを買う約束をして，その日の朝蒸発してしまった。だから彼女は「眠らなかった」「眠るのが怖かったんだね」。眠ってしまうと，また大切な何かが消えてなくなってしまうんじゃないかと「おびえていたんだね」。満は涙を流しながら，猛然と食べ始めていた。お姫様のように愛してくれた両親を信じようとして，両親との約束を信じようとして。ウソだとわかると，自分が愛されていないことを認めることになってしまうから・・・。由紀の気持ちが痛いほどわかる満。そのころ，由紀は，遊具の上で居眠りして落ちてしまう。由紀のことを心配して集まる子供たち・・。 結局，戦いは，１４：１２で満の勝ち。デビは「どうしてそんなやせっぽっちの体なのに・・・」。「オレの胃袋は宇宙だ。オレはフードファイトの横綱なんだ」と言って立ち去る満。 つくし園。満は園長と麻奈美に，由紀の気持ちを伝える。「心のどこかで，両親が帰ってこないことはわかっているけど，それに変わるものが必要なんだ」と満。園長は「もうすぐ見つけるはず」。ちょうどそのころ，由紀が目を覚ました。そこには両親の約束通りグランドピアノが。そして・・・心配してくれるたくさんの友達。由紀もやっと自分を取り戻し，「ピアノはみんなのもの」と優しい女の子になっていた。麻奈美は誰がピアノを送ってきたのか不思議がる。「ボクが買ったんです」と満が言っても信じてくれない。 デビは，今まで逃げてきた自分を反省し，相撲部屋に戻って１からやり直す決心をした。 そして満は・・・。会長が渡した３００万円の小切手を突き返した「今回は結構です。相手が弱すぎましたから。それに・・・」と会長夫人を見て「別なものをいただきましたから」。そう，あのグランドピアノは，会長夫人からもらったものだった。会長室を出て，エレベーターの中でうずくまる満・・・「腹へったぁ・・・」。 |
| 壱ノ膳 フードファイトの会場。いつものように対決が行われている。今日のメニューは牛丼。余裕で食べ続けるチャンプ・井原満。挑戦者は箸がとまる・・・。それを横目で見て，勝ちを確信した満。箸を置き，口をなめる。挑戦者は気を失い，倒れ込む。「オレの胃袋は宇宙だ。お前じゃ役不足だ」と言い放ち，去っていく。満は９連勝中。「勝ちすぎだな」と会長。 つくし園。おみやげをたくさん抱えた満を，子供たちが囲んでいる。段ボールの中にはたくさんのお菓子。そして，園長先生にうれしそうに，冷凍食品の差し入れをする。園長先生は「満は園の誇りよ」と何度も。照れる満。ふと見ると，新入りの裕太がいた。裕太は「入ってきたころのあなたにそっくり」と園長先生。「みんなになじめず，暗くて，ひとりぼっち」。ボランティアの麻奈美は「満さんって暗かったんですね」。すると満は真剣な顔になり「何言ってるんですが。ボクぐらい明るくて社交的なやつはいない。趣味は社交ダンスだし」といきなり麻奈美と踊り出す。 宮園総合食品株式会社。満は，園のみんなには，この会社の正社員だと言っていたが，実は清掃員。そんな満が会長室へ。大金を手にしながら「オレに負けろって言うのか」。会長夫人が，満に「フードファイト」で八百長で負けろと言う。フードファイトは，会社の接待でもあるので，あまりにも強いと賭の対象にならないからだ。負けると言うことは，引退を意味する，と満。すると，その代わりに正社員として採用してくれると言う。 つくし園。夕食時，裕太は必要以上に早食いだ。それを心配する麻奈美。満は，笑ってみている。すると今度は，裕太が隣の子の分まで取ってしまう・・。満が止めにはいるが，急所を蹴り上げられ，さらにズボンが破れ，ピカチューパンツが丸見え・・(^^;) 外のブランコで，麻奈美がズボンをなおしてくれる。そして，裕太が事件を起こすのは，事件を起こして刑務所に入っているお父さんに会いたいからじゃないかと。満は笑っている。「育ちのいいお嬢さんなんだね。あのこの気持ち，わからないの無理もない」と満。そして，核戦争が起きて，世界で自分と赤の他人だけが生き残ったら，目の前にある食べ物をどうするか，と質問する。麻奈美は，分け合うと「人は助け合って生きていくものでしょ」と何の疑いもなく。満は「そういう経験がないんだ・・・裕太はたぶん。小さい頃から，飢えと恐怖と闘っていた」と。麻奈美が「あなたも？」と聞くと，笑っているだけだった。 満の部屋。医者で満の理解者・如月が来ている。満の親友・九官鳥の九太郎もいる。賞金が３００万円も入るのに，質素な生活しているのを驚いている。満は八百長の話を如月にする。正社員になる方を選んだ満。 フードファイトの会場。会長夫人と今度の挑戦者坂下。フードファイトは，１ラウンド１０分間，３ラウンドの対決。インターバルは何をしてもいい。それまでに食べたものを吐いても・・・。自信満々の坂下だが，八百長の話を聞かされる。 つくし園。園長先生は，満がちゃんと食べているか心配している。満は「思いっきり。ヤダって言うほど」と。園長は何も知らない。満には早く幸せになってほしいと。園のことも心配しなくていい。一度に３００万円もの大金を，何度も寄付してくれる人がいるから。「甘えていればいい」と満。その時，満が喧嘩を始めていた。裕太が逃げ出していった先は電気店。テレビを真剣に見ている。「Ｋ１」の中継だった。 お好み焼き屋。満と麻奈美が一緒にお好み焼きを食べている。麻奈美は，つくし園に来てから一度もお風呂に入らない裕太を心配している。「お父さんと一緒に暮らしたくて反抗している」と考えている。満は「あそこの毛でも生えてきたんじゃない？」とちゃかしている。そこへ，坂下が絡んできた。すぐに自分の席に戻ったが，これ見よがしに食べ放題のお好み焼きを注文し，食べ続ける。お店の人が，お金を渡して勘弁してほしいと言うぐらいに。坂下は満足げに「またお会いできる日を」と満に言って去っていった。 会長室。満が八百長を承諾したことを，会長に報告。会長夫人は，お金のために愛のない結婚をした。それは会長も承知しており「お前は私のペットだ」と。 裕太がグローブ（Ｋ１用）を万引きする。そのころ，満の部屋には会長夫人が来て，次の対戦相手を伝える。どうせ負けるんだから，とやる気のない満。「オレと不倫しに来たの？」と強く言っておきながら・・・「不倫・・・じゃなくてプリン食べる？」。２人がふとベッドに倒れ込んだところに，麻奈美がやってくる。誤解は晴れたものの，裕太が万引きしたことを知らされる満。裕太が万引きしたデパートへ。警備員は「仕方ないですけどね。親のいない施設の子ですから」と。そこへつれてこられた裕太はけがをしていた。警備員は，言うこと聞かないから殴ったことを認める。満は「同じことします？社長の子供でも。綾ってください。あいつにも謝らせますから」。警備員は何を言われているのかわからない。そんなやりとりを聞いていた裕太が突然飛び出していった。 裕太を見つけた満。Ｋ１が好きだという裕太に「誰が好きだ？」と言いながら，どこかに電話をかける。そしてつれていったのが「正道館」。アンディ・フグにも会わせてあげ，グローブにサインをしてもらっている。つくし園の前では，麻奈美が心配して待っていた。何の連絡もなく，さらに盗んだものと同じものを買い与えた満を注意する。「すいま百円」と満。ただ「自分を許してくれる人がいるってことをわからせるのが大切だ」と。麻奈美は「甘やかせすぎ」と理解していない。 フードファイトの日。家を出る満を，裕太が後を付けていた。警備員の追跡を逃れ，フードファイト会場へ入り込む裕太。一方，満は八百長試合を始めていた。今日のメニューはチャーハン。相手のぎりぎりのライン１３皿でやめると。いつもよりゆっくりのペースで食べ始める満。１Ｒ終了。会長夫人に，グローブのお礼を言う満。八百長をやると言う満に「負け犬じゃない」。それでも満は「何言ってんだ。飼い犬の手を噛むのか？」。すると会長夫人は「私はペットじゃない！」。２Ｒ終了間際，裕太の存在に気づく。２Ｒが終了すると，今度は如月がやってくる。八百長をやめるように。「お前は生まれながらのフードファイターなんだ」。理想的な体を，満を捨てた親がくれたんだと。それでも「こんなの見せ物だ。オレは猿回しの猿だ」。すると裕太が「わざと負けるのかよ」。満は「オヤジの所帰りたいか？・・一つだけ約束しろ。風呂に入れ」と言って，３Ｒの戦いへ向かった。だいぶ限界に近づいた坂下。逆に，ペースがアップした満。坂下は１４皿食べたところで気を失う。勝ちを確信し，ゆっくりと皿を置く満。「オレの胃袋は宇宙だ。素人にしちゃよく食ったよ」。 会長は「いくら損害が出たと思っている」と夫人に。チャンプに勝てる相手を見つけてこいと。そして，負けた坂下は，町中で刺されてしまう。刺した相手は「一発逆転をねらって，全財産かけたんだ！一家で首をつらなくちゃならない」と叫んでいた。勝てば天国，負ければ地獄のフードファイト・・・。 つくし園。夕食時。裕太は，ものすごい食欲だ。「オレの胃袋は宇宙だ」と満のまねをしている。満はちょっとあわて「風呂入れ！」。その言い方を注意する麻奈美。満は「お前にオヤジなんかいないもんな」と裕太に。さらに怒り出す麻奈美。父親代わりになって，手なずけて甘やかしているだけだと。「ボクとこいつは同じなんです・・・ボクも・・・風呂に入らなかったのぉ」とおちゃらけて言う満。すると裕太は「風呂にはいるか」。麻奈美が一緒におふろ場に行くが，なかなか服を脱がない。やっと脱いだ背中を見て，満の言葉を思い出す麻奈美。満の背中にも，裕太の背中にも，ひどい傷跡が・・・。父親の虐待の後だった・・・。 |